山口県長門市油谷町の最北端の日本海に面する後畑地区の東後畑の棚田が農水省の棚田カードの第一弾となった。以前から棚田の風景や漁火が映える棚田の夜景が注目されて、観光客が押し寄せていた。
現地は山の斜面を開墾した水稲の棚田である。ただし、面白いことに地名は東後畑となっており、かつては段々畑であったのを水稲の棚田に改修したのであろう。
江戸時代、米の増産の要請に応えて山の頂上辺りに溜池を作って、畑から水田に切り替えたようだ。
東後畑棚田を日本海を見下ろすように眺める
東後畑棚田の航空写真(1975年)、最上段(右下)の深田ため池を含め5箇所の溜池が見える
参考
① 農水省が「棚田カード」 第1弾は山口・長門市の「東後畑」
棚田の魅力を伝えるきっかけにしようと、農林水産省はこのほど、山口県長門市油谷後畑(ゆやうしろばた)の「東後畑(ひがしうしろばた)の棚田」を紹介する棚田カードを作成し、無料配布を始めた。
東後畑の棚田は、丘陵地が海岸近くまで迫っており、眼下に日本海を望める。棚田を照らす夕日と日本海に浮かぶイカ釣り船のいさり火などを入れた風景写真の人気撮影スポットで、今年10月13、14日に長門市で開催される全国棚田(千枚田)サミットでは、現地見学会のコースの一つにする予定だ。
農林水産省が制作した全国の31府県56地区の棚田カード第1弾の一つで、写真提供などで県が協力した。カードの裏には棚田の概要や水田の耕作時期などの基本データも記載されている。
市役所油谷支所宇津賀出張所(0837・32・1140)で、アンケートに答えると1人1枚もらえる。受け付けは午前9時~午後5時(土、日曜日や祝日も可。12月28日~1月3日は休み)。【祝部幹雄】
東後畑の棚田は海に面しており、これは狭い国土を利用しようとした先人達の結晶でもあり、日本独自のものです。しかしこの地域には川らしい川がなく、水の確保が困難な地域でした。
これに対応するため多くの溜池が造られてきて、ここ後畑でも1728年(享保13年)に30ヵ所、1842年(天保13年)に59ヵ所もの溜池があったと記録されています。
そして東後畑棚田については、ため池百選にも選ばれている「深田ため池」を主水源として守られています。