現憲法の護持と改正の綱引きは長州閥の末裔の安倍晋三首相の手綱捌きにかかっている | 日本の歴史と日本人のルーツ

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天皇家は護憲派とされるが、改憲派の代表として現首相の安倍晋三があげられている。

実は、天皇家は現憲法護持、A級戦犯の祀られた靖国神社への不参拝の立場にあるが、これに対して、自主憲法の制定や戦犯の名誉回復などを目指す保守系団体の靖国会は徳川家ゆかりの人物の集まりであった。すなわち、憲法護持と改正の綱引きの勝負は、保守系与党と野党の関係よりむしろ、天皇家と徳川家の力関係でもあった。

改憲派とされる安倍晋三首相は明治維新に貢献した長州閥の末裔として、天皇家と徳川家の間に挟まって、うまく調整しているとも考えられる。


参考

① 池上彰氏が解説 新天皇と安倍首相の不思議な緊張関係

NEWSポストセブン(2019.1.1、参考)

皇室と安倍首相は?(撮影/上野ヒトシ)

改憲を訴える安倍晋三首相と、ことあるごとに憲法を守る主旨の発言をする現在の天皇や皇太子、秋篠宮は意見に対立があるようにも見える。「天皇」について解説した著書『池上彰の「天皇とは何ですか?」』(PHP研究所)もあり、NHK時代に宮内庁も担当したジャーナリストの池上彰氏が、皇室と安倍首相の不思議な緊張関係について解説する。

* * *

この先、注目されるのは憲法をめぐる新天皇と安倍首相の関係です。

安倍首相が「今の憲法には問題がある」と改憲を打ち出してから、天皇は護憲派の象徴になりました。

両者の関係は不思議です。憲法の中には憲法擁護義務があり、公務員は憲法を守らなければなりません。天皇もこの義務を負い、今上天皇や皇太子、秋篠宮は折に触れて「憲法に則って~」と発言します。これは憲法の規程に則ったまっとうな発言ですが、憲法を変えたい安倍首相としては面白くないでしょう。

しかも次の天皇となる皇太子は、戦後70年にあたる2015年の誕生日の会見でこう述べています。

「私は、常々、過去の天皇が歩んでこられた道と、天皇は日本国、そして国民統合の象徴であるとの日本国憲法の規定に思いを致すよう心掛けております」

皇太子ご一家(共同通信社)

通常、世界各国で与党は憲法を守り、野党は政権交代して憲法を改正することをめざします。ところが日本は与党が憲法改正、野党が護憲とねじれている。ゆえに結果として、憲法を守ろうとする天皇と、憲法を変えたい首相の間に緊張関係が生じます。

即位後、新天皇がどれくらい護憲のニュアンスを打ち出すのか。それに対して安倍首相はどのような姿勢を示すのか。新しく即位される天皇の「お言葉」が注目されます。

●いけがみ・あきら/1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年NHK入局。報道局記者や番組キャスターなどを務め、2005年にNHKを退職。ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』『考える力がつく本』(小学館刊)、『池上彰の「天皇とは何ですか?」』(PHP研究所)などがある。

※週刊ポスト2019年1月1・4日号


② 昭和天皇は現在の日本国憲法の草案に対し「これでいいじゃないか」と自ら全面的に支持して護って来られ、また極東国際軍事裁判(東京裁判)で裁かれたA戦犯の靖国神社への合祀も反対しておられたが、今上天皇も昭和天皇の御心を受け継いでおられる。

この日本国憲法に不満を持つ政治団体は左から右まで各種あるとは思うが、自主憲法の制定や、極東国際軍事裁判で裁かれた戦犯の名誉回復などを目指す保守系団体として旧徳川幕府系の靖国会の存在がある。