Pacific Rim: Uprising/パシフィック・リム:アップライジング | 不健康ランドの小乱闘

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かなり無理。でも負けない。

ギレルモ・デル・トロ監督は

前作「パシフィック・リム」の

最初の10分で、

その映像(とくにメカと怪獣)と音(効果音と音楽)によって

オタク心をとりこにした。

 

そしてとりこになったオタクたちは

その人間ドラマに涙した。

 

その後、続編の話は、

ワーナー、ユニバーサル、レジェンダリーと

中国資本の絡みで

二転三転のうえ一旦は立ち消えとなり、

その後ギレルモはプロデューサーに退き、

別の監督で実現することになった――それがこの作品。

 

見事に、

オタクという狭い市場にしか受け入れられなかった前作から脱皮し、

一般ウケして巨大市場に受け入れられる

 

 

軽くて浅薄な映画になった。

 

 

怪獣との戦争が終結してから10年、

ペントコスト司令官の息子ジェイク(ジョン・ボイエガ)がやさぐれていたところ、

たまたま「ヤミのイェーガー」を作っている15歳(少女以上大人未満)のアマーラ(ケイリー・スペイニー)とともに

防衛軍から追われ、果敢な抵抗を試みるも捕まり、

森マコ(菊地凛子)の計らいにより防衛軍のためにはたらくことになる。

 

イェーガーを製造する上海のシャオ・インダストリーズは折しも

無人で動くドローンのイェーガーを製造し、防衛軍に認めさせようとしていた。

その決定が行われるシドニーでの会議の直前、

海中から「そいつ」が現れた。

 

――という辺りまでは、

ハラハラドキドキワクワクだったんだけれど、

その後が、なんじゃこりゃ?

 

人間ドラマもメカもストーリー展開も

軽い浅い薄い。

どんでん返しもキャラに筋が通らず

軽い浅い薄い。

ファイトも単調。

怪獣もキャラが立ってない。

かの音楽もちょびっとしか使われず、しかも編曲が軽い。

 

おまけに

「東京」の漢字が簡体字だし。

東シナ海から富士山へ行くのに東京を経由する意味ないし。

てか、東京が富士山の麓にあるって、世界地図しか見たことないから近くに見えたってことかしら。

そもそも環太平洋に星の数ほどある火山の中でなぜ富士山を目指すのか説得力皆無だし。

怪獣は富士山を目指す、という過去の映画の伝統に従っただけなのかしら。

 

杜撰さに、愛のなさを感じた。

適当につくって適当に儲かりゃいいんだよ

っていう声が聞こえた。

 

そういう映画以上を期待したのがいけなかった
ってことね。

さらなる続編も作るっぽいエンディングだったけど、
わずかに残った日本要素は今回で一掃されただろうから、
次は完全な「ハリウッド製中国映画」になるでありましょう。