《これまでのお話》

ヒプノセラピー:宇良古姫①

 

宇良古姫のことを調べてから少し経った頃、講座でヒプノをかけてもらいました。

こんな風にテーマが来るときは、出たい人がいる場合が多いと聞いていたので、

宇良古姫関係の人が出てくるのかと思っていました。ですが、このときに出てきたのは、

先に書いたベラルーシの女の子でした。

 

次の回では、父方の祖父が出てきました。祖父は若い頃に大怪我をして身体が少し

不自由でした。後遺症で痛みが出たり、日常生活を送っていく上で不自由に思うことが

あったり、いろいろ辛かったようです。それを私にもわかってほしかったようでした。

 

そして、夏が過ぎて秋になる頃には、宇良古姫のことはすっかり忘れていました。

ヒプノの前世で宇良古姫が出てきたのは、そんな時期でした。

 

私は16,7歳ぐらいの若い女性で、質素な着物に、草履のようなものを履いており、足は

土で汚れていました。家に帰ってみると、そこそこ大きい家で、厳しくて怖そうな髭面の

父親が待っていました。一体どこに行っていたんだ? と怒っている様子です。

この父親の顔は、全く見覚えがありませんでした。母親は、すでに亡くなっているようで、

家のことは私がやっているようです。

 

別の場面に移り、よく晴れた日に畑仕事のようなことをしていたら、一人の男性が

通りかかりました。かさ地蔵のお話で、おじいさんがお地蔵さんの頭にのせたような

笠を目深にかぶっています。その笠をちょっと上げて、顔を見せて挨拶をしました。

私より少し年上で、にっこり笑ったその顔は、なんとモラハラ化する前の夫でした。

そうだった、私はこの笑顔が好きだったんだ、と思い出しました。

前世の私は一瞬でこの男性を好きになり、この男性も私に好意を持ったようでした。

 

場面が数年後に移りました。結婚しようという話になりましたが、髭面の父親は頑として

許してくれなかったようで、二人で駆け落ちしました。そして、自分たちで建てたのか

どうしたのかはわかりませんでしたが、家財道具も何もない、一間だけの小さな家で、

二人で暮らし始めました。やがて、男の子が生まれました。

 

さらに数年後、夫が遠くに働きに行くことになり、見送りました。しばらく経ったら帰る

はずだったのに、どれだけ待っても帰ってきません。手紙を出そうにも、私は読み書きが

できないので、書くことができません。こんなに何年も、一体どうしたというのでしょう。

事件や事故に巻き込まれたり、病気になったりしたとしたら、連絡がありそうなものです。

他に好きな人でもできて、息子のことも私のことも、忘れてしまったのでしょうか。

私は、だんだん恨めしくなってきました。日々の食べ物にも困っていたので、そのうちに、

病気になってしまい、肺が重たく苦しくなってきました。宇良古姫のことを調べていた時に

感じていた苦しさと同じでした。それでも夫は帰ってきませんでした。

 

旦那さん、どうしたんでしょうね? ということになり、夫にフォーカスしてみました。

夫は、赴任先で家々を訪問しては何かを説明したり、受け取ったり、届けたりしていて、

行ったり来たりしていました。すごく真面目に働いているのですが、要領が悪いのです。

これじゃあ、いつになっても終わらないし、帰ってもこれないわ、と思いました。

そういえば、現世の夫も、こういうところがあったなあ、と思い出しました。

 

そして、死の場面へ。帰ってこない夫を恨めしく思いながら、一人息子を心配しながら、

息を引き取りました。息子は、7歳ぐらいになっていました。息子には、髭面の祖父を頼る

ようにと話してあったようで、私の死後、息子は一人、家を離れて、祖父の家を探して

山道をとぼとぼ歩いて行きました。

 

ヒプノセラピー:宇良古姫③