「家族を犠牲にすれば、仕事はできる 」
色々の事情はあるでしょうし、何をもって“犠牲”と呼ぶのかは人それぞれでしょうが、私の感覚ではそんなのは自分の大事な命の時間の多くを費やしていい仕事ではありません。
あまり国の提言とか若手PTとか、普段はそういうニュースのことを取り上げてブログに書いたりしないのですが、何だかこの件については書かずにはいられませんでした。
「働き方改革」を先導する厚労省の働き方は? 若手職員チームの提言が悲鳴に近かった
「人生の墓場に入ったとずっと思っている」。厚労省の職員や退職者の叫びと改革への動き。
これは厚生労働省が省内に設置した「厚労省改革若手チーム」によりまとめられた提言に関する記事です。
冒頭のコメントは、この提言の作成過程で実施された省内のアンケート調査で課長補佐級職員からのコメントとして紹介されているものです。
公式の発表はコチラ
私も一時期、派遣研修で内閣府地方創生推進室(現在の地方創生推進事務局)と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局で働いていましたが、厚生労働省の「強制労働省」っぷりは国の職員の皆さんから聴いていました。
提言をまとめるという作業自体は、組織の中でこれまでの自分たちの在り方を見つめ直す上で価値あるものだと思います。
たとえそれが変化に繋がらなくても。
しかし、この内容を重く受け止めて欲しい国会議員の皆さんは、彼らの働き方の改善が国民にもたらす価値の増加に繋がると本心から受け止めるでしょうか。
そのために
「他の国会議員はともかく私一人だけでも早く通告を出そう」
と誓えるでしょうか。
与党が委員会の審議の内容を……
野党が委員会の日程を……
とかもっともらしい理由を見出して、結局前日夜になってから通告するんじゃないでしょうか?
党の会議に急に呼び出して、官僚が徹夜で資料を準備するなんて当然だと思ってるんじゃないでしょうか?
この内容を重く受け止めて欲しい厚労省の幹部の皆さんは、部下の働き方の改善が国民にもたらす価値より、何だかんだと理由をつけて上司や政治家からの評価が高くなるような振る舞いを優先するのではないでしょうか。
次官や審議官のために、これからも部下に急な資料作成を要求するんじゃないでしょうか?
政務や与党の部会委員に求められて、部下に徹夜で資料の準備をさせるのではないでしょうか?
一人の国民として、上で書いたようなことを誓えない政治家には一票でも得票を減らして欲しい。
一人の国民として、上で書いたような賤しい振る舞いを優先する厚労省の幹部には一円でも税金から払われる給与を減らして欲しい。
「厚労省改革若手チーム」は、本来の業務もある中で、大変な作業を重ねたのかもしれません。
そして、その内容は大変有意義なものなのかもしれません。
でも、思うのです。
こんな提言がなくたって、変わるべき人が変われば働き方は改善するのに。
その人たちが変わるだけで大きな変化を生み出せるはずの人たちとはかけ離れたところで、こうして頑張って調査をして、省内を駆け回って、提言をまとめる若手の職員の方々がいることはとても大切なことだと思います。
そう思う一方で、とても悔しいのです。
そうやって省内を変えようと思って頑張る人がどれだけ充実した提言や報告書をまとめたって、本当に変化に対する影響力を持つのは、そうやって頑張った人たちではない誰か。
その変化を目指す頑張りが、変化に直結する手応えが感じられそうにも無いところが、本当に悔しいのです。
いずれも私の思い違いで、こういう提言が出たことで国会議員の皆さんも、厚労省の幹部の皆さんも変わってくれるなら、もはや私が何か言うことは意味を成さないのですが。
そうですね、意味を成さない方が私にとってもいいのですが。
私にできることって何だろう。
まずは投票に行くことでしょうか。
そして、こうやって自分が思うことを書いて発信することくらいでしょうか。
相変わらず微力です。
でも、無力では無いかな。
写真は私が内閣府にいた頃に撮った夕方の霞が関。写っているのは外務省と総務省……だったかな?(記憶が曖昧)
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