多くの人にとって、きっと今日は今年度最後の業務ですね。
人事異動の内示が出ていて、来週からは今日とは異なる職場に出勤する人もいることでしょう。
公務員にとって異動はごくごく普通のことであり、ある種のルーティンではあります。
全く異なる職業に転職するかのように仕事の内容がガラっと変わる場合でも、スグに新しい部署の新しい仕事に慣れて、サービスのレベルを維持することが求められる公務員。
この適応する技術ってある意味、すごい技能なのかもしれません。
でも、それがいくらスゴい技能だったとしても、やはり各職場(転出されてしまう職場も、転入者を受け容れる職場も)にもそれぞれ負担はありますし、何より本人は大変です。
それなのに、異動する理由や意図が明らかでは無いから、異動する本人も上司や周りの職員も、みんなモヤモヤするんですよね。
少し前置きが長くなりましたが、そんな風に異動のことでモヤモヤする皆さんに向けて、1年前に書いたブログ記事をリライトしてお届けいたします。
元記事はこちら
さて。
上で、
“異動する理由や意図が明らかでは無いから、異動する本人も上司や周りの職員も、みんなモヤモヤする”
と書きましたが、この春にまさに異動するという皆さんは、実際のところいかがでしょうか?
または
異動する部下を持つ皆さんは?
異動してくる部下を受け容れる皆さんは?
人事異動の理由や意図って、明らかになるといいな~と思いますか?
では、人事異動の理由や意図が人事当局から開示されたら問題は解決するのでしょうか?
実は、私はそのようには考えていません。
じゃあ、どうするのか。
異動する理由は分かりません。
分からないという、このゲームの条件を受け容れた上で、
自分で意味付けをする
というのは如何でしょうか。
確かに、一見するとゲームの条件を安易に受け容れる前に、人事当局がイチイチ異動の理由や意図を開示することも、もしかしたら解決策になるのかもしれません。
でも、恐らく、これは私の推測の部分が半分、残り半分は関係筋からの話を考慮して書きますが、人事異動の中には、異動する人の能力や適正などを考慮しているような説明しやすい理由ばかりではなく、他の人が異動した穴を埋める必要があって引っ張られたり、人数調整的に異動するケースもあるのかもしれません。
「あなたの異動は、AさんがB課に異動することに伴う、玉突き異動です」
こういう理由って、本当に明らかになった方がいいのでしょうか?
明確な理由無く異動している職員がいる限り、総ての職員に理由を説明するということを、組織としての対応として実現するのはハードルが高そうです。
でも、理由が分からなければ、それで終わりなのかと言えば、そうではないと思うんです。
それが、自分で意味付けをしたらいいのではないか、ということ。
こういう異動をするのには
こういう意味があるんだな
(実際のところ人事がそんな意図を持ってるとは思えないけど)
そう考えるということです。
(カッコ内も含めるかどうかはお任せしますがw)
ちなみにここで言う“自分”というのは、異動する本人でもあり、異動する本人にフィードバックをしたいと考える上司でもあります。いずれにしても人事当局ではなく、ということです。
こうした意味付けによって、異動するまで頑張っていた仕事に対しても肯定的になれますし、異動先での仕事に対してもモチベーションを保つことができると思うんです。
それは決して、人事当局によって理由が明かされなければできないことではなくて、理由が分からない中でも自分のチカラで意味付けすればいいんだと思うんですよね。
なんせ、
(実際のところ人事がそんな意図を持ってるとは思えないけど)
ですから。
「意味付けをしたらいい」
そう言われても、意味付けをするとは何をすることかが分からないということもありますよね。
私も専門家ではありませんから、アカデミックな理論と言いますか、技術的に正しいことを知っているわけではありません。
だから、
こういう異動をするのには
こういう意味があるんだな
と考える方法も、私が正解を知っていて、それをこの場で指導するというものではありません。
でも、私は私なりに、例えば、私の経験としてこんな風に考えました。
市役所の環境部門で新しいプロジェクトを立ち上げ、新しく生まれた事業をゴリゴリと推し進めているときに、急に化学技師が行くことは通常では考えられない内閣府に2年間派遣されることになったときには、
「どうして急に国に行くことになるんだろう? まだまだプロジェクトでやることは山積なのに」
「しかも、私は化学技師だけど、人事当局は私のキャリアパスをどう考えているんだろう」
と思いましたが、
国でただの研修員として働くことで
化学技師という職種から自由になる
外の空気を吸って、学び、刺激を受け
公務員としての幅を広げる
そういう意味があるんだと、自分自身で考えました。
内閣府からまちづくりの部局に戻ってきたときは、正直、環境部門でプロジェクトをやり、国で地方創生をやってきた私が、何故“まちづくり”なんだろうって思いました。
そのときは、
市長の思い入れがあるのに
課題の多いこの事業をなんとかせい
と、そんな期待を受けているんだろうと自分なりに意味付けをしていました。
本当は真実を明かせば、意味も無いし大した理由も無いのかもしれない。
でも、そこにあえて、自ら主体的に意味を与えることに意味があるんだと思うんです。
それが真実にどれだけ近いかは、もはや関係なくて。
意味を与えて、
納得して、
仕事を頑張れること。
それが大事なんだと思うんです。
ちなみに、私がまちづくりの部局に帰ってきたことの意味付けは、最初は
市長の思い入れがあるのに
課題の多いこの事業をなんとかせい
でしたが、今は違っていて、
市役所職員として議会とか計画とか
物事を動かす仕組みを学ぶ時間
だと意味付けています。
意味付けは、最初どう意味付けたとしても、それが時間の変化とともに変わってもいいと、私は思っています。
時間の経過とともに環境も自分自身も変化することで、同じ現象(異動)に対する意味付けも変化して当然ではないでしょうか。
過去に経験した出来事も、ふり返ったときの自分のステージによって、解釈が変わりますよね。当時は辛かった経験を、後から思い出すと成長の機会だったとふり返ったり。
さらに言えば、私のケースは自分で意味付けをしたのですが、これを異動前の所属と、異動先の所属でそれぞれの上司から伝えられると、もっといいですよね。
それによって部下としては、上司が自分のことをちゃんと見てくれているんだ、期待してくれているんだと感じることができ、モチベーションもアップするはず。
聴くところによると、民間企業(の一部? 大半?)では異動の際に、面談などの時間をとって上司から部下に、この異動が本人にとってどういう意味があるのかを伝えることも行われているようです。(ネット上で検索すると、リクルートなどの例が出てきますね)
こういうことが、公務員の世界でも行われるといいのにって、私は本気で思っています。
実は周りをよく見ていると、この異動のタイミングで部下とそういったコミュニケーションをとっている課長さんやリーダーもいるかもしれません。
皆さんの周りではいかがでしょうか?
そういったコミュニケーションをとっている課長さんたちに、それが“意味付け”であるという明確な自覚は無いかもしれませんが、結果的に部下がうまく気持ちを切り替える材料を与えているように思えます。
このような意味付けのコミュニケーションは、組織の公式な制度として確立するには時間がかかるかもしれません。
でも、幸いにして、部下や後輩がいる公務員であれば、スグにできる行動でもあります。
だから、組織が変わるのなんて待たないで、スグに自分から始めてみたらいいんだと思います。
難しい知識や技術が必要なわけではありません。
一つだけ必要なことがあるとすれば、伝える相手のことをしっかりと知るということでしょうか。その人のことを知らないのに、異動の意味付けをするのは難しいはずです。
そのために今の部下や後輩のことを常によく見るのはもちろん、見えない部分は問いかけて明らかにしておくこと、そして異動してくる新しい部下や後輩のことは、前の職場の上司や同僚からしっかり話を聴くことも有効です。
相手のことをしっかりと見ないで無理やり意味付けしようとすると、とても薄っぺらくなったり、的外れになってしまったり、本人を余計に困惑させることに繋がってしまうことも。
逆に、相手のことをよく見て、興味を持って知ろうとしていれば、結局のところ正解は分からないものの、言われた本人は受け取ったその言葉を大切にしてくれるのではないでしょうか。
まとめです。
あなたが異動する理由は分かりません。
でも、意味付けならできます。
こういう異動をするのには
こういう意味があるんだな
そう考えるのが意味付けです。
意味付けは自分でもできますが、上司から部下に伝えられたら、より一層本人のモチベーションアップに繋がるのではないでしょうか。
組織としてそういったことを年度末の恒例の作業に組み込むには時間がかかるかもしれませんが、組織が変わるのを待たず自分から始めることはできます。
その際に大切なことは、伝える相手(異動する本人)のことに関心を持って、相手をしっかりと知るということ。
そうすれば、きっと受け取った言葉を大切にして、次の職場でも頑張って仕事と向き合えるのではないでしょうか。
以上です。
もちろん、こういうコミュニケーションが必要なのであれば職員個人の手に委ねるのではなく、人事当局が責任を持って職場に実装すべきだという考え方も分かります。
それ、ド正論だと思います。
でも、
「人事当局が実装してくれないから広まらないんだ、だから、異動でモチベーションが下がってしまうんだ」
そう口に出してしまったら、それは
「人事当局が実装してくれなければ広まらなくても仕方ないし、異動でモチベーションが下がるのも仕方ない」
そう言ってるのと同義だと、私は考えています。
それよりも、
「人事当局が実装してくれなくても、自分から行動して、自分が影響を及ぼせる範囲で、異動によるモチベーションダウンを防ぐんだ」
私はそんな風に振る舞いたいな〜って思っています。
皆さんは如何お考えでしょうか。
