硝酸態窒素って何? | しまばら薬局 健康ブログ

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硝酸態窒素は、土の中や植物の中、飲料水を含めた水の中など様々な場所に広く存在しています。

また、野菜の生育に必要不可欠な成分で、私たちが食べるものにも含まれていますが、しかしその安全性は危険視されている部分もあり、正しい知識を持っておくことが大切です。

 
   
 

 

硝酸態窒素とは、簡単に言うと「窒素が化学反応により酸化したもの」です。

そもそも「窒素」は大気中の約80%を占める成分で、生物地球化学的循環のひとつです。

「酸化したもの」と聞くとマイナスのイメージを持ちますが、植物にとってはなくてはならない栄養素です。

窒素は空気中にたくさん存在していますが、植物は空気中の窒素を吸収できません。

そのため、植物は土の中に溶けて存在する硝酸態窒素を、根から吸収して成長します。

硝酸態窒素が土の中にたくさんあれば、植物はどんどん吸い上げていきます。

たくさん吸ってしまっても、脂肪のように体に蓄えることができるのです。

 

農業では一般的に、窒素配合の化学肥料が多く使われています。

化学肥料を使った土地の土は窒素が多くなりすぎる傾向にあり、窒素が過剰な土で育った野菜は、必要以上に硝酸態窒素を吸収し、硝酸態窒素が多く残留した野菜になってしまいます。

 

また、硝酸態窒素は水質汚染の原因として問題視されている成分の1つでもあります。

化学肥料などで窒素が土の中に多く存在するようになると、植物に吸収されなかった分が雨などによって地下水や河川水に溶けだします。

地下水の硝酸態窒素濃度が上がることで、飲料水中の硝酸態窒素の含有量も増え、人の体にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 

■人体に与える影響

硝酸態窒素は、単体では人体に対しての有毒性はないと言われています。

しかし、体の中に摂り入れられた硝酸態窒素は、還元されると亜硝酸態窒素という物質に変化します。

この亜硝酸態窒素が人体にさまざまな影響を及ぼすことが分かっています。

 

 

1. 発がん性

体内で微生物により還元された亜硝酸態窒素は、消化器官内でタンパク質中のアミン(アンモニアに近い物質)やアミドなどの有機物に反応し、N-ニトロソ化合物を生成します。

IARC(WHOのがんに特化した専門機関)では、このN-ニトロソ化合物には発がん性があると報告しています。また、1987年の英国薬学調査によると、飲料水中の硝酸態窒素の濃度が高い地域では、胃がんの発症率が高いことが指摘されています。

 

2. メトヘモグロビン血症

私たちが肺から取り込んだ酸素は、血液中のヘモグロビンというたんぱく質と結びつくことで体中に運搬されます。

しかし、硝酸態窒素を多く含んだ飲料水などを摂取して血液中に亜硝酸窒素が吸収されると、ヘモグロビンは酸化してメトヘモグロビンになってしまいます。

メトヘモグロビンは酸素と結合できないため、酸素の運搬ができなくなるのです。

血中におけるメトヘモグロビンの濃度が1~3%程度であれば問題ありませんが、15~20%となると皮膚が真っ青になるほどのチアノーゼ症状(酸素欠乏症)を引き起こします。

 

 

 

 

■食の選択を意識しましょう!

完熟した堆肥を使った有機栽培を行うことで、硝酸態窒素の含有量が少ない野菜を作れると言われています。

有機栽培の野菜は、硝酸態窒素の含有量が少ないことが期待できることに加え、苦味の少ない甘味のある味になります。

スーパーなどで野菜を選ぶ際には、一般的に過剰に硝酸態窒素を溜め込んだ野菜は「葉の色が濃い」と言われています。色鮮やかな野菜はいかにも新鮮でおいしそうに見えますが、それは肥満状態の野菜とも言えます。

硝酸態窒素の少ない野菜を選ぶなら、できるだけ葉色の薄いものを選ぶといいでしょう。

また、食べたときに苦味やアク、舌に残る渋みを感じる場合、硝酸態窒素が原因の可能性があります。

「硝酸態窒素」そのものが悪者なわけではありません。

過剰に硝酸態窒素を溜め込むような栽培がされた野菜ではなく、無肥料栽培や自然栽培など、こだわりを持っている農家から買うように心がけることも大切です。

食への意識をさらに高め、安心して食べられる食の選択をしてみましょう。