こんにちは!

 

2024年1月20日、劇団四季「ひばり」千秋楽おめでとうございます!お祝い

 

創立70周年記念の節目の年に約11年ぶりの上演、フランスの劇作家ジャン・アヌイの戯曲で、1957年の初演以来、周年記念などの折に大切に上演されてきた劇団四季の珠玉のストレートプレイ。

開幕前の予想外の出来事で、当初Wキャストの予定だったジャンヌ・ダルクもシングルキャストとなり、シャルル七世のみがWキャストに。

突如シングルキャストとなった五所真理子さん、見事にジャンヌを演じ切りました!

 

 

(ニュースより抜粋)

アヌイの詩情あふれる台詞と、それを徹底的に読み込んだ劇団創立者・浅利慶太の演出によって紡がれた普遍的な人間ドラマに、カンパニーは日々向き合い、芝居の持つ魅力を現在のお客様へお届けするべく死力を尽くしてきました。

 

死力を尽くしてきた」まさにこのフレーズ、お稽古から千秋楽まで調整による調整を重ね、関係者各位全員が神経を張り巡らせて、力の限り一日一日公演を繋いで来られたのでしょう。

 

一度は完売となったチケットですが、開幕直後からリセールの席が出始めました。

様々な事情が重なった結果だと思いますが、終盤の週はリセールチケットもほとんど売り切れ、この日も満員御礼、前楽で金曜ソワレということもあって、自由劇場はホワイエも客席も熱気に満ち溢れていました。

 

 

以下、1月19日のソワレの観劇記録です。

 

 

Wキャストのシャルル7世は、この日笠松哲朗さんでした。

 

【この日のキャスト】

ジャンヌ  五所真理子

コーション 道口瑞之

宗教裁判所大審問官 味方隆司

主任検事 飯村和也

ラヴニュ 鈴本務

ウォーリック伯  阿久津陽一郎

シャルル七世  笠松哲朗

王妃 小林由希子

アニエス 宮田 愛

ヨランド王太后 中野今日子

ランス大司教 星野元信

ラトレムイ 福島武臣

ライール  金久烈

ボードリクール 勅使瓦武志 

ブードウス 正木棟馬

ジャンヌの父親  林和男 

ジャンヌの母親 大橋伸予

ジャンヌの兄 戸高圭介

死刑執行人 木内和真

シャルルの小姓 近藤合歓

 

男性アンサンブル

香取直矢 鈴木貴雅 橋岡未浪

女性アンサンブル

秋山知子 佐和由梨 徳山稚子 中川奈々美  柳 葉奈 山崎遥香

 
1431年、イギリスとの百年戦争真っ只中、フランス・ルーアンにて、ジャンヌ・ダルクの宗教裁判が始まります。
神の声を聞いて軍を率いイギリス軍と戦い、結果大きな敗北を負い、宗教的に異端の嫌疑をかけられた19歳の少女ジャンヌ。
 この物語はその裁判の最中に彼女の生涯が演じられる、という劇中劇の形を取っており、誰もいない舞台に三々五々登場人物が現れ、所定の位置に着きます。

 

あくまで個人の感想です、間違いや勘違いが多々あると思います、よろしくお願いいたします。

 

 

客席内後方には浅利慶太さんのお写真とお花、それを確認してから席に着きます。

既に舞台上にはシンプルで象徴的なセットが設えられています。
このセットを撮影出来る時代かやって来るなんて、今だに信じられません。
 
この日は下手後方列、ラストにボードリクールが「やめろ~!」と走ってくる通路側サイド席でした。
勅使瓦さんボードリクールのスタンバイの様子をチラチラ見ることが出来て、嬉しい席。
直前に、スタッフさんが通路に何も問題ないか一度確認で往復されるんですね。
ピンマイクの着用なしの舞台です、後方席でしたが、ストレスなくしっかりお声は受け止めることが出来ました。
 
ジャンヌ、五所真理子さん、この日も見事にジャンヌとして舞台で生きておられた。
私の今期最後の「ひばり」だったので、とにかく真理子さんの表情をオペラグラスでずっと見ていました。
やはり公演も終盤、この日はマチネもあった影響か、時折お声が出にくい場面もありましたが、場面場面で変わるジャンヌとしての在り方、ジャンヌの心持ちが、表情と台詞のトーンにくっきりと浮かび上がります。
シャルルを鼓舞する「それっ!」がこの日も高らかに鳴り響いて、真理子さんのこのお声、大好きだなあとあらためて心に刻みました。
もう本当に凄い、凄いよ、と一緒に泣いてしまうのは、改宗を決めた後の牢獄で、ウォーリック伯との会談後に、涙をハラハラと流しながら幸せな行く末を逡巡し「それは私ではない!」と覚醒、拒絶し叫ぶ様。
劇中一度も登場しないジャンヌの戦闘シーンさえもここで想像できてしまうほど鬼気迫るものがあり、ジャンヌという少女の尋常ではない凄みを思い知ることが出来、泣きながら震えてしまうのです。
正直、ここだけ見に来てると言っても過言ではない私的カタルシスがこの日も押し寄せ、俳優が舞台上で振り切る瞬間を見ることが出来た時の喜びで、心底満たされました。
火刑台の感無量の表情、戴冠式の威風堂々、何もかもがあっぱれ、真理子さん。
ありがとう、心にずっと残るジャンヌを見せてくださって、と感謝の気持ちでいっぱいです。
 
この日は拝見したかった笠松哲朗さんシャルル七世の日でした。
下手の立派な椅子に腰かける笠松さんシャルルは遠目で見てもやはり佇まいが若い。
中央で行われる裁判の様子を冷ややかに、時折反応しながら見つめる、斜に構えた風情がナチュラルな若者のそれで、見た目だけではない内面からの若さが終始鮮烈でした。
様々経験したうえで達観した感のある、優しさも見え隠れするべっちさんシャルルとはまた違った、生来のドライな感覚を漂わせる未熟な皇太子。
まったく違ったタイプのシャルルでどちらも楽しい。
気品もしっかりあり、無気力を装う中にも知性を感じさせ、その響きの良い声質や大きな瞳と相まって存在感と華のある笠松シャルル。
愛妾や義母に向ける視線のなまめかしさも、どこか可笑しみのある立ち居振る舞いも、時々見せる孤独も、シャルルがここにいる、と思わせて下さる演技。
「もう君はいらない!」とジャンヌを見もせず言い放つ冷酷な一撃、1幕ラストの出陣宣言時の声の張りといい、あの強靭な声はストレートプレイにおいても笠松さんの大きな武器だなあと思います。
素晴らしかったです。
 
他のキャストの皆様も、初日からこの前楽日までシングルでまったくブレのない演技でさすがでした。
勅使瓦さんボードリクールが回を重ねる毎に、どんどんお芝居が乗っていくのも見応えがありました。
 
千秋楽では宗教裁判所大審問官役の味方隆司さんの声がかすれ、ほとんど出ない状態だったと聞きました。
それでも台詞はしっかり伝わったとのことでホッとしました。
前楽ではそんなこと全くなくて、通常通りの威厳ある声の大審問官でした。
本当に皆様、毎日この舞台に立つことの誇らしさとともに、公演継続に薄氷を踏む思いで臨んでいらしたのではないでしょうか。
 
この日のカテコも早くからスタンディングオベーション、力強い拍手がいっぱいに場内に響き渡っていました。
私も最後なので力いっぱい手を叩きました。

今期3回観劇することが叶いましたが、毎回カテコまでピンと張りつめた空気を感じており、この日もそうでした。

今日の舞台の成功を喜ぶよりも明日の舞台への緊張を感じる、そんなカテコだったように思えます。

 

千秋楽のニュースのカテコ写真でのジャンヌ役五所真理子さんの涙をこらえるような表情が胸にぐっと来ます。

重責をしっかりと果たし、最後にやっと涙が解き放たれたのでしょうか。

この後、さらなる高みに駆け上がって行かれる予感しかしない五所真理子さん、これからもずっと応援します。

 

70周年の節目に、新しい「ひばり」を見せていただけたこと、いち四季ファンとしてずっと忘れません。
また10年後でしょうか、「ひばり」を次に見るのがもう既に楽しみです。
 
 1回目の記録は👇

 

 

2回目の記録は👇