子宮頸がんワクチン提訴問題から
子宮頸がんワクチン提訴問題から
3月31日、子宮頸がんワクチン被害の女性が、国と製薬会社を提訴するという報道があった。
http://mainichi.jp/articles/20160331/ddm/041/040/060000c
http://www.asahi.com/articles/ASJ3Z5Q1KJ3ZUTIL02J.html
去年からの経過を鑑みて私なりの見解を言及したいと思う。国が、子宮頸がんワクチン被害の救済拡大を勧めたのは去年の9月。
http://mainichi.jp/articles/20150904/dde/041/040/065000c
しかし、行政の申請はそう迅速には進まないのが現実。その行政の構図を十分知り得ているはずの横浜市が、全国で最初に子宮頸がん患者支援を打ち切った。
http://www.sankei.com/region/news/151028/rgn1510280016-n1.html
支援延長を望む患者の要望に答えてこなかったのが、横浜市鯉渕信也健康福祉局長。その支援打ち切りの決定を横浜市会側もひるがえせていない。
http://kanasibu4976.heteml.jp/?p=1192
http://ameblo.jp/daizumametarou/entry-12122613334.html
被害は全国に拡大しており、子宮頸がんワクチン救済は各自治体によって様々である。そして、申請が伸び悩んでいる事実も続いてきた。
http://www.asahi.com/articles/ASHDJ7H56HDJULBJ015.html
接種勧奨中止から3年。3年という期間は非常に長い。厚生労働省から発信されたリーフレットには、小さい文字ではあるが、「このワクチンは新しいワクチンのため、子宮頸がんそのものを予防する効果はまだ証明されていません。」ときちんと記載してある。
そして、先が見えない現実の中で追い打ちをかけるようにして起こってきたのは、日本への国外からの干渉と副反応を否定する国内の商業誌による記事の連載だろう。
その最も印象的だった国外からの干渉が、WHOによる子宮頸癌ワクチンに対する日本だけへの干渉だ。
一方、WHOはこのワクチンを定期接種化していない大国の中国、ロシアには干渉していない。そのWHOの事務局長が、中国出身のマーガレット・チャン氏であることは忘れてはならない事実である。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG23H16_T21C15A2000000/
そのWHOからの干渉を大きく発信したのがWEDGE Infinityという東海道新幹線などに乗ると、座席に置かれている無料の雑誌である。
WEDGE Infinityで、子宮頸がんワクチンは安全であるという立場で連載し続ける村中璃子氏。最近では、子宮頸がんワクチン被害者の母親の方々をカルト化しているとまで言及するようになったらしい。なぜか、全く異なる反原発派と一緒に言及しているところが、よくわからない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6618
カルトー極端な、時に危険な、または反社会的な思想をもった団体という意味で使われる言葉である。通常は慎重に使わなければいけない”言葉”である。
村中璃子氏の経歴は以下の通り一橋大学広報誌に詳細に掲載してある。
http://www.hit-u.ac.jp/hq/vol050/pdf/hq50_42-47.pdf
外資系のワクチン会社のデイレクターを勤めたと言及しており、利益相反はないとも言及されている。
しかし、最も注目すべきは村中璃子氏の取材方法であろう。
村中氏はごく少数の友人にしか教えていない被害者の方のLINEのアカウント情報を取得し、本人の了解なく以下のようなメッセージを送りつけているようだ。
「Aちゃん、こんにちは」
「村中璃子っていいます。本業は医者です。子宮頸がんワクチン副反応問題について記事を書いています。」など。
被害者の方は恐怖におののき、体調を崩されているという。また、被害者の両親は村中氏に対し弁護士を通して抗議文を提出している。しかし、村中氏はその抗議文には返事もせず、WEDGE Infinityで上記のように発信している。
http://ameblo.jp/3fujiko/entry-12146291915.html
http://ameblo.jp/3fujiko/entry-12146753452.html
http://ameblo.jp/3fujiko/entry-12149998014.html
さて、WHOのその干渉に関して、方針を変えていないのが我が国の厚生労働省。私はこの姿勢を非常に頼もしいと思っている。
3月16日、”子宮頸がんワクチン:脳機能障害の存在と、患者の8割が一定の遺伝子”という我が国の研究者による分析結果が報道された。
http://mainichi.jp/articles/20160317/k00/00m/040/109000c
http://www.asahi.com/articles/ASJ3K2VPBJ3KUBQU004.html
その後、厚労省はこの研究班の発表に対し、少数のデータで約8割という数字は確かなものとは言えないという見解を示したが、根拠がないとは言ってはいない。
http://mainichi.jp/articles/20160421/k00/00m/040/075000c
ところが、経歴から推察すると、今現在、医療施設に所属し医師として子宮頸がんワクチンによる副反応を訴える患者さんを実際診察し検査しているわけでもなさそうな村中璃子医師が、国の専門家なる研究班の発表を根拠がないと批判した。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6421
村中璃子医師は、批判できうるだけの日本のデータを持って、日本の医学会できちんと議論を行ってきた経歴を持っているのだろうか?
一方、信州大学の池田修一医師は76名の女児を診察して、 “学会誌” にて発表されている。
http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1416200222?journalCode=1416
そんな中、被害女性らは国と製薬会社を提訴した。今回、提訴された日本政府だが、国外からの干渉を受けながらも、接種勧奨再開を行ってこなかった。
横浜市立大学医学部の宮城悦子医師は、相変わらず、塩崎厚生労働大臣宛てにカナダのワクチン専門家グループがワクチン推進再開の手紙を送ったなどと昨年8月に開催された日本産婦人科学会の理事会で発言している。横浜市立大医学部が相変わらず外国と連携して子宮頸がんワクチン推進の震源地であるようだ。
http://www.jsog.or.jp/activity/minutes/pdf/GIJIROKU/H27_2riji.pdf
そして、今回、提訴相手の製薬会社はMSDとGSKであり日本の製薬会社ではない。
外国の製薬会社と一緒に連携して子宮頸がんワクチン推進を行ってきたのは、日本産婦人科学会や日本小児科学会の一部の医師達であり、国内外からの圧力に抗して、積極的接種勧奨再開をしていないのは日本政府である。
また、この4月18日に子宮頸がん予防ワクチンの積極的接種推奨の見解を日本産婦人科学会、日本小児科学会などの17団体が示した。
しかし、日本の医学の分科会だけでも100以上もあり、会員数が10万以上を超えるという日本内科学会、あるいは日本癌学会、日本外科学会、日本整形外科学会など、大きな学術団体はその17団体の中には入っていない。
http://www.jaog.or.jp/news/img-420171135.pdf
http://jams.med.or.jp/members-a/#1
ぜひ、この複雑な構図を理解することが裁判の上で、非常に重要なことではないだろうかと思っている。薬害肝炎の裁判とは、大きく異なる構図であることを、注意深く考える必要がある。