横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史 その4 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史 その4

横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史 その4

(横浜市医療局の展望 その6


平成1710月、tPA治療が厚生労働省で認可された時、その認可に大きく貢献した横浜市立脳血管医療センター脳卒中診療部は、横浜市病院経営局による人事のため危機的状況にあった。その人事手法は以前、このブログでも詳細に紹介したことがある。


その人事手法を市民の多くの皆さんが知ることは、横浜市という組織を理解する上で参考になると思っている。さらには、林文子横浜市長の考え方の本質も推察することができるのでは。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11849489894.html


昨今、横浜市は子宮頸がんワクチン副反応問題でも「患者不在の救済」と言われているが、この10年の横浜市健康福祉局や病院経営局の手法をふり返ればさほど驚くことでもない。当然、予想される状況である。

http://ameblo.jp/daizumametarou/entry-12032933398.html


さて、tPAが厚生労働省から認可されたとの報道を受け、平成171114日、私は道路・消防局の委員会で以下のような質問をした。局長の答弁から改めて、当時の脳血管医療センター脳卒中診療部の横浜市内における脳卒中救急医療の高いレベルがわかる。


◆(加納委員) このデータの中身の、平成15年、16年と脳血管医療センターに搬送されている人数がだんだん増えているという事実は認められるのでしょうか。搬送状況が年々増えているということは事実でしょうか。


◎(橘川消防局長) 平成15年と平成16年を比較すれば、増えているということが言えます。


◆(加納委員) 平成16年、17年を比較しますと、先ほど来ありましたように、救急の搬送がストップになるとか、様々なことがあって、これは急激に減っているというデータです。


次に、転院搬送と転送ですが、平成15年、16年、17年を見て頂いて、脳血管医療センターにおける転院搬送と転送は、私の認識では、他の病院に比べて大変多い数だと思うのですけれども、それについてはいかがでしょうか。


◎(橘川消防局長) きちんと各医療機関別に転院あるいは転送を集計しておりませんので比較できませんけども、例えば平成16年の市内全体の救急隊による搬送人員数は145,000人。そのうち転院搬送は1万件余となっておりますので、率で言いますと6.9%ということになります。脳血管医療センターの転院の率が、3年間で各17%、19%、15%という数字でございますので、決して少ない数字ではないと思っています。


◆(加納委員) 特に専門病院ということで、脳血管疾患について他の病院から送られてくる転院搬送、転送が極端に多いと、以前、消防局の方から聞いております。そういう中で、今回土・日の搬送が出来ないということで、救急搬送も含めて、病院からの転院搬送、転送も出来なくなってしまう。これは本市としても大変残念なことだと思います。


もう1点お聞きしたいのですけども、本年の1011日に、日本経済新聞とか朝日新聞等で報道されていましたが、t-PA、いわゆる脳梗塞について大変有効な新薬が認可されたと聞きますけれども、このt-PAについて若干御説明頂ければ有りがたい。


◎(橘川消防局長) すみません、詳しくは把握しておりません


◆(加納委員) 私は素人ですから、言い回しは専門家に聞いて頂きたいのですけれども、これは今各新聞で報道されておりまして、脳梗塞を早期に溶かしてしまう新薬が日本でも認可された。


これがt-PAで2つの製薬会社が共同開発したというのです。発症してからのゴールデンタイムが3時間から6時間、基本的には3時間以内をめどにこれを投与すると、4割の方が後遺症なく、そのまま帰れてしまうという新薬だそうです。


これが認可されまして、いよいよ日本の脳卒中学会では、これについて各病院等に研修等も含めて周知徹底すると聞いていますけれども、その新薬の治験が全国22施設で行われて、103例の治験があったそうです。


そのt-PAの治験をされたのが本市の脳血管医療センターで、全国のうち最も優秀な成果が脳血管医療センターだった。その医師(治験者)2人は現在脳血管医療センターから退職され、1人は人事異動されて、結局、その治験をされた方は現在いらっしゃらない。


こういう新薬ができた中で、今までの搬送状況、直近搬送を旨とすると聞いていますけれども、脳血管疾患を発症した方は、どの様に病院へ搬送するのか。そのフローを教えて頂きたい。


◎(橘川消防局長) 先ほども触れましたが、救急救命病院へ搬送するということでやっておりますので、今後ともそれは継続していきたいと思っています。


◆(加納委員) 新薬ができて、発症して3時間とか、脳卒中のゴールデンタイム3時間から6時間のうちにt-PAを使える病院、医師がいるところへ搬送すれば、このデータからすると4割の方が軽減されて、そのまま帰れてしまう。素人ですから発言の細かい部分は専門性が欠けると思いますけれども、そういう新薬ができたということを消防局の救急隊員が知らないという事実がまず1点。


そして、そういう新薬があれば、今までの搬送システムを変えていかないと、助かる命も後遺症が残ってしまう。助からないという状況もあり得るのではないかと私は危惧します。


そういった意味では、救急搬送のシステム、特に今日の議題は脳血管疾患に関連するもので御座いますので、脳血管疾患に対する搬送のシステムを、こういう新薬が日本で認可されたということから考えますと、変えていかなければいけないのではないか、見直すべきではないか。


そういったことからしますと、局長のお考えとして、こういう新薬ができた中で、今までの搬送の仕方についても今後検討すべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。


◎(橘川消防局長) これまでは、救急搬送する立場からしますと、救急現場へ到着しましてから、まず緊急のCT撮影が必要でございますので、CTが整っているか。あるいは脳外科の緊急手術が必要となる場合がございますので、それは大丈夫か。あるいは救急救命センターへの搬送等が可能かということを要件として選びまして、それで直近のところへ運ぶことになっておりますので、そういった新薬ができれば、そういったことも加味した上での救急搬送も十分研究してまいりたいと思っています。


◆(加納委員) そういう新薬が認可されたということを、救急隊がしっかり掌握して頂きたいということをまず1点要望いたします。また、それに伴って、多くの命を救える可能性が拡大されましたので、局長の御発言にもありましたように、研究、検討して頂きまして、今、厚生労働省では、疾患別救急体制をどうするか。


本市では小児救急を中心にやっておりますけれども、がんも含めて、疾患別救急体制をどうするかというのが国の流れで御座いますので、横浜市においても、脳血管疾患の搬送についてどうか御議論して頂きたいということを要望して、また意見として述べさせて頂きます。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac17%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%89%c1%94%5b%8f%64%97%59+&P3=&P=1&K=225&N=1849&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1


t-PA治療による脳血管疾患救急医療体制について、この時、私が初めて議会で提案したわけだが、まさか、横浜市健康福祉局医療政策課が参加医療機関の参加基準を示さず手あげで選び、試行期間後、何の検証もせず始めるとは思わなかった。この無謀さには本当に度胆をぬかされた。これも横浜市の「患者不在のスタンスの一つ」であることを忘れてはならない。


先にも紹介したが、子宮頸がんワクチン副反応問題でも患者の側から「患者不在の救済」と言われている横浜市だが、この10年の健康福祉局や病院経営局の手法をふり返ればさほど驚くことでもない。確かに当然、予想される状況であった。