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いざ新居に引っ越してみたら、隣人がひどい騒音を出していた。せっかくの新生活が騒音被害で台無しになります。騒音はマンション選びでも重視されるポイントであり騒音は本当に嫌なものです。しかし、万が一騒音被害にあった場合でも、騒音被害について弁護士にご相談いただければ、様々な観点から騒音被害対策を提案することが可能です。
今回は騒音被害に巻き込まれてしまった場合に弁護士がアドバイスできる法律上知らないと損をする騒音被害に関する3つのポイントを解説します。
1. 騒音は受忍限度を超えた場合に責任追及できる
まず騒音は、どのような騒音でも責任追及できるのではなく、一般社会生活上受任すべき限度を超えた騒音のみが責任追及できることを押さえましょう(東京地裁平成19年10月3日判決等参照)。
例えば、そして騒音の受任限度は騒音規制法の規制基準が参考になるとされています(東京地裁平成21年10月29日判決参照)。この騒音規制基準は商業地か住宅地かのエリアや早朝・昼間・深夜等の時間によっても異なりますが、概ね40db~60db程度の騒音が基準となっています。従って、騒音被害を受けた場合は業者に依頼して又は都内であれば区役所で貸し出していることもある計測器具等で騒音の大きさを計測する必要があります。
2. 賃貸物件の騒音被害は管理会社に解決して貰える
騒音被害が生じた場合は直接騒音元の住人と交渉を行うことも出来ますが、管理会社に騒音解決の義務があることを知らないと損をします。
受任限度を超える騒音を出す行為は通常賃貸借契約において借主(=騒音元)が物件を適切に使用する義務(用法義務)に違反します。従って、管理会社は騒音が著しい場合は契約違反に基づいて騒音元の住人との賃貸借契約を解除することができます。
裁判例においても家主(=管理会社)は騒音元の住人に注意をしても聞き入れられない場合は契約解除を含む厳しい対応をするべき義務があったとして、騒音被害を受けた住人に対する家主(=管理会社)の損害賠償義務を認めたものがあります(大阪地裁平成11年7月25日判決)。従って、騒音がひどい場合は契約解除をするよう管理会社に促して騒音を解決させることが考えられます。
3. 騒音は不動産仲介業者に責任を追及できることもある
不動産を購入して後に近隣住人による騒音被害が発覚したときは不動産仲介業者に対して騒音の説明義務違反を理由として責任追及できる場合があることを知らないと損をします。
裁判例では、購入した建物に関して隣人トラブルがあることを買主に説明しなかったとして不動産仲介業者に対して説明義務違反を理由として当該建物の価値下落分(売買代金の20%)の損害賠償が認められたものがあります(大阪高裁平成16年12月2日判決)。大阪高裁は、不動産仲介業者は宅地建物取引業35条1項の事項のみではなく、家族との居住目的で不動産を購入する者にとって著しい隣人トラブルがある等の居住に支障をきたすおそれのある事情についても説明義務があると判断しています。この事案では洗濯物に水をかけられる被害等があった事案ですが騒音被害においても妥当すると考えることが可能な裁判例だと思われます。
従って、不動産を購入した後に騒音被害が発覚した場合は不動産仲介業者に対して騒音被害の説明義務違反を理由に損害賠償請求をすることも検討する必要があります。
今回は騒音被害対策について弁護士がアドバイスできるポイントを説明しました。騒音は逃げようと思って逃げられるものではないため、マンション選び等でも重視されるポイントです。楽しみにしていた新生活も騒音被害にあえば台無しです。騒音被害にあった場合は、騒音は受忍限度を超えた場合に責任追及できること、管理会社に騒音解決の義務があること、騒音の説明義務違反を理由に不動産仲介業者に責任追及できることという3つのポイントを押さえて適切に騒音被害に対応しましょう。
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