2023年、将棋ファンとしては藤井聡太さんのことを書かずにはいられません。

 

私は若い頃は囲碁の方に興味があって、当時の大竹英雄、武宮秀樹、石田秀夫、林海峰とかいった面々の戦いをNHKのテレビ棋戦を楽しんだり、昔の呉清源とか坂田秀夫とかの伝説的な戦いが書かれたものを楽しんでしました。

 

そこからかなり年月が経って、将棋の映像としての露出が多くなった頃(恐らく女流棋士人気による)から興味が将棋に移っていきました。

 

羽生善治さんが当時の7冠制覇はニュースとして知った程度で、それよりも”羽生マジック”に興味があったような接しかたでした。

 

藤井聡太さんがプロになったのは2014年ですが、その時はまだ視野に入ってきていません。当時はすでに将棋ファンではあった訳ですが、対局の内容にはあまり注意を払わず、その解説番組を楽しんでいる感じでした。

 

また将棋といえばコンピュータ将棋の躍進がありました。2010年から2017年まで人間との戦いが企画され、結局人間はコンピュータに勝てないことが確実になって終わっています。

 

ただその遺産として今の対局動画では一手一手進む毎にコンピュータによる優劣判定や次のて候補が表示され観ている素人には分かりやすいのですが、プロには悩みの種なようです。

 

佐藤甘人元名人が「コンピュータの示す候補手を外すと”評価値を溶かした”とか書き込みされるんです。」と冗談めかして話してますが、本音だと思います。

 

藤井聡太さんのことが注目され始めた要因の一つに「コンピュータの候補種を指す」という評判があります。

 

コンピュータの候補手の中には、殆どのプロ棋士が”それは気がつかないという印象を持つものがあって藤井聡太さんはここぞという場面でその候補手を指すのです。

 

そして小学生の頃から並いるプロ棋士を尻目に「詰将棋選手権」を連覇していた実績があって、その詰将棋の能力を活かした終盤力には定評があります。

 

そして藤井聡太さんの最大の凄さは今までの将棋の常識を変えてしまったこと。

 

それまで将棋の戦い方は「序盤で自分の王をしっかり固めてから戦いの火蓋を切る」ことが当たり前で、プロ棋士が素人に将棋を教える時の鉄則でもあります。

 

しかし藤井聡太さんは王をしっかり囲わず、時には最初の位置から動かさずに勝負に行き勝ってしまいます。

 

これは晴天の霹靂とも言っていいほどの衝撃を与えました。

 

そして羽生7冠を超える8冠制覇を成し遂げました。年明け早々から菅井八段との王将戦が今から待ち遠しいです。

 

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将棋とクラシック音楽とは無関係ですが、一部の棋士が好きだということはよく知られています。

 

古くは神武以来の天才といわれた加藤一二三九段、新しくは佐藤天彦九段ですね。加藤九段はタイトル戦の前にアバド/ミラノ・スカラ座のヴェルディの「レクイエム」を聴いて気分を高めたそうです。

 

この曲の聴きどころ「怒りの日」から「くすしきラッパの音」の部分を聴いてみましょう。アバドもいいのですが、ここはカラヤンのライブ動画から。