シンイ祝ヨン周年 in Japan★ハン国の王子と森の妖精ウンス(5) | 信の虹 ー신의 nijiー

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ここは韓国ドラマ「信義」の登場人物をお借りして楽しんでいる個人の趣味の場です。
主に二次小説がメインです。ちま(画像)の世界も大好きです。
もしも私個人の空想の産物に共感してくださる方がいらっしゃったら、
どうぞお付き合いください^ ^

ウンスが魔女と約束を交わしてから、あっという間に三週間が経ちました。


同じお城に住んでいるのに、外交の任務に忙しいミヌ王子とはなかなか顔を合わせることが出来ません。
「あと一週間で泡になっちゃう・・・でも、お城に来れて憧れの王子様とお喋りできただけで運が良かったのかも・・・だけどそのために魂を売っちゃうなんて、あんたも馬鹿ね、ウンス」

中庭の池を眺め、そこに映る自分の沈んだ顔を覗き込むと、ウンスは溜息をつきました。
泡になってしまう前にせめて気持ちだけでも打ち明けたい。そう思いました。

 

そんなウンスに嬉しい誘いが舞い込みました。

数日後にお城で行われる舞踏会に出席することになったのです。

王様が突然の公務で不在となったため、王子達が代わりに主宰者となり、各国の貴賓をもてなすことになりました。


「兄貴は女友達なんていないし、僕はお姫様達から誰か一人を選ぶとなるとみんなが喧嘩しちゃうから・・・ウンスちゃん、遠い親戚の女の子ってことで僕達とパーティーに同伴してもらっていいかな?」
ウンスが嬉しそうに頷くと、隣でヨン王子がウンスにしか聞こえぬように言いました。
「浮かれるなよ、ミヌのパートナーじゃないぞ。遠い親戚だ」
「わかってるわよ、それにあなたとも遠い親戚よ。パートナーじゃないわ」
「・・・わかっている」

 

待ちに待った舞踏会当日。
パーティー用の黄色いドレスに身を包んだウンスを、ミヌ王子が迎えに来ました。
「わぁ、明るい黄色がよく似合ってるよ、ウンスちゃん」
「ありがとう、ミヌ王子」
「やっぱり黄色にして良かったね、兄貴」
ミヌ王子が振り向くと、その後ろでヨン王子が壁にもたれたまま腕を組んでいます。
問いかけに何も答えずにウンスをじっと見つめていたかと思うと、ウンスと目が合った途端に何故か慌てたように下唇を噛んで目を逸らしました。

 

この日のミヌ王子の正装は白い軍服で、足元は綺麗に磨かれた黒革のロングブーツ。
明るい印象のミヌ王子とは対照的にヨン王子は黒の軍服で、シルバーの刺繍と共に幾つもの勲章が胸に飾られています。
2人とも肩から胸にゆったりと掛けられた金色の飾緒が上品に揺れていました。

 


会場へ着くと、ミヌ王子の登場に歓声が巻き起こりました。
各国から招待された大勢の姫達が、ミヌ王子に熱い視線を送っています。

「この人達、みんなミヌ王子のファンなの?」
ウンスが後ろから影のように付いてくるヨン王子に小声で聞くと、
「ああ、そうだ」と無愛想な応えが返ってきました。

 

「じゃあ、あの人達も?」
ウンスが指差した先には、皆がドレスで着飾りはしゃぐ中、携帯やパソコン、タブレットを持って何かを熱心に読んでいる女性達がいました。

「ああ、あれは倭国、いやイルボン国のニヅィという場所から招待した者達だ。ここにいる女達は皆、ミヌが目当てだろう」
ヨン王子は当然のように言いました。ウンスは首を傾げます。
(あの人達はあなたの事を見てるようだけど・・・)


他の女性達がキャーキャーと黄色い声援をミヌ王子へ向けるのに対し、ニヅィの女性達は淑女で、しかし誰よりも熱い眼差しでヨン王子を見つめているようでした。
(いつも仏頂面なのに、案外モテるのねこの人…)
よくよく見ると、他国の中にもヨン王子を熱心に見つめる女性達が多数見受けられます。

笑顔で手を振るミヌ王子の後ろで、ヨン王子が軍服を着崩すように少し胸元を開けると、それだけであちこちから悲鳴が沸き起こりました。

 

ウンスはその光景に何故か胸の奥がキュッと絞られる心地がして、そんな自分に驚きました。
(やだ、まるでヤキモチ妬いてるみたいじゃない。違う違う、私が好きなのはミヌ王子なんだから!)
ウンスはふいに揺らいだ自分の気持ちに戸惑いました。