予防接種について、以前にも書きましたが
続きです。
「脅かしに負けない、専門家に丸投げしない」
結局、これがキーワードではないかなと思います。
今の若い世代、ママ世代は”スマホ世代”
”自分で悩み、自分で考え抜く”よりも”正しい(であろう)結果を検索する”という
日常にそういう癖がついてしまっていると思うんです。
自分の考えて悩む時間を手放すような。
子どもの命にかかわることだけは、でも、手放せませんよね。
今日は、予防接種について、さらに考えてみたいと思います。
感染症の最大の敵は、ワクチンでしょうか?いいえ、「戦争」だと思います。
つまり、貧困、戦争、劣悪な衛生状態です。
公衆衛生と栄養状態が良ければ、子供が命を落とすことはそうなくなってきました。
そもそも、日本は世界中で乳幼児の死亡率が一番低い国です。
(0歳児の先天性異常は避けられない事情があるので別に考えると)
1歳を過ぎると死亡原因は「不慮の事故」が1位になります。
※母里先生のご著書によく書かれています。是非、読んでください。ワクチンを「作っていた側」の人の貴重なご意見です。
予防接種は1796年、イギリスの医学者エドワード・ジェンナー(Edward Jenner)による牛種痘法の発見以来、
天然痘の根絶、感染症の流行防止に成果を上げ、患者発生や死亡者の大幅な減少に寄与してきました。
(ただし、撲滅できた天然痘は人間にしか感染せず、感染した人は発病するため、無自覚のキャリアがおらず、
唯一追い込みやすかったとも言えます)
日本の予防接種制度の歴史を振り返ってみても、社会防衛(社会みんなで減らそう!といった)観点から
義務付けされていた接種、公衆衛生の向上、医療技術の進歩もあいまって、感染症の発生件数や死亡者数は
減少しました。(公衆衛生の向上もあり、予防接種義務前からすでに感染症は減少していました)
予防接種の歴史(日本)をみてみましょう。
1909年(明治42年)、集団として疾病に対する免疫をもつことにより、
免疫の爆発的流行を防止しようという種痘法が制定されました。
その後、1948年(昭和23年)に予防接種法に名称変更され、接種しない場合は罰則付きの義務が設けられていました。
対象疾病も減少していきましたが、1960年代(昭和40年前後)に入り、感染症の発生が著しく減少する一方、
予防接種後の副反応である種痘後脳炎などの予防接種による健康被害が社会問題となりました。
茨城県の吉原充ちゃんが(1歳1か月)副作用により、重い後遺症が残り、父の賢二さんが「全国予防接種事故防止協会」を設立。
こうした中で、予防接種による健康被害に対する救済措置の必要性が認識されるようになり、
1970年(昭和45年)7月には「予防接種事故に対する措置について」が閣議了解され、
これに基づき、後遺症が出た患者さんへの給付金などといった、暫定的な救済制度が出来ました。
群馬県前橋市などでワクチンの副作用によるひきつけ事故が相次ぎ(前橋市は、ワクチンによる副作用と申し入れましたが、
厚労省は「副反応ではない」という回答のみで、申し入れを受け入れず、前橋市は市独自で救済措置を取ったうえ、
その後集団接種を中止)3万本のワクチンを回収。
前橋市では、前橋市の医師会、国立公衆衛生院を中心に、インフルエンザワクチンをしていない前橋市とワクチンをしている
周辺の市を対象とした、大規模な疫学調査をしました。
1980~1986年にわたる大規模な調査で、これを「前橋レポート」といいます。
「ワクチンの接種地域と非接種地域で、インフルエンザの罹患率、超過死亡率など違いは認められない」という結果でした。
※前橋レポートは「カンガエル-ネット」で全文公開されています。
その後、予防接種に対する国民の考え方は、集団予防に重点を置いた考え方から、個人の疾病予防のために接種を行い、
自らの健康の保持増進を図るという方向へ変化しました。
また、1989年(平成元年)に開始されたMMRワクチン(measles-mumps-rubella combined vaccine、麻疹・流行性耳下腺炎(おたふく風邪)・風疹の三種の生ワクチンが混合されたワクチン新三種混合ワクチン)
による無菌性髄膜炎(嘔吐、発熱、痙攣、長期的な昏睡や意識障害)の発生が国民の関心を集めるようになり、
当初の1989年(平成元年)から無菌性髄膜炎を中心とする副反応(副作用)を多発させたにもかかわらず、
1993年(平成5年)4月まで接種が継続され「当面接種見合わせ」が決まるまでの丸4年間、
183万1716人の子どもたちに接種が行われ、1754人に無菌性髄膜炎が発症しました(第154回国会 内閣衆質一五四第一九〇号答弁より)。
こうした中で、1992年(平成4年)12月に、1960年(昭和40年)代から各地で提訴されていた予防接種の副反応による健康被害に係る集団訴訟のうち最大規模の東京訴訟において、国側敗訴の高裁判決があり、国は上告を断念。
このような状況を踏まえ、平成6年には、法律の目的に予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを追加するとともに、
接種対象者に対する予防接種の義務付けを緩和し、それまでの義務規定から努力義務規定に改める予防接種法の改正が行われました。
こうした流れを受け、現在、予防接種には「定期接種」と「任意接種」の2種類がありますが、
どちらも行政が予防接種を受けることを“おすすめ”するものであり、一切義務ではなく、受けないという選択に対する罰則もありません。
これが、今までの日本の予防接種の記録やまとめですが、もっとわかりやすく、様々な本も出ています。
1本1本、慎重に選びたいですね。
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