何かひとつに決めたり、新しいものを排斥するのも不自由な事と思う。
いいか悪いか。賛成か反対か。好きか嫌いかさえ、決める必要はどこにもない。
自分にとって楽しいものは、言い訳など考えずにとにかく楽しもう。
不法なもの、他人に迷惑が及ぶものでない限り、何をしても自由だ。
花は咲き、そして散る。
真っ黒なアスファルトを 花弁で埋め尽くし、
けれど、それも知らないうちに元に戻る。
ある人間の、別の人間に対する想いも
また、これに似ている。
芽吹き、
咲き、
散り、
名残惜しみ、
そして、消える。
そんな繰り返しが、あと何度。
(推理小説家 工学博士 元名古屋大学助教授 森 博嗣)