「園館の保全教育」としての視点
今年は異常な寒暖差も厳しいですが、寒さも本当に厳しいですね・・・なんせ極寒借家暮らしなので、身に染みてわかります。
それでも私は自由に暮らしている人間ですので、あの手この手で対策が取れます。例えば昨日は1階で過ごすことを諦めたり、厚着したり、暖房器具をフル活用したり。それでも今日も1階は無理そうです(-_-;)。
一方、園館で暮らしてくれている動物さんたちは、鉄とコンクリートの空間から出ていくことはできませんので、全力での対策が必須で有効です。
そして、「大寒波ですが、全力で寒さ対策をしているので、うちの動物さんたちは安全・快適に過ごしています♪」という実践と発信をし、「ああ、よかった!♪」と「動物さんとの幸せ共有体験」をする=シェアピる人を育てることこそ、園館による保全教育です☆
寒さに凍えていたり、衰弱していたり、動物さん同士で身を寄せ合ってなんとかしのごうとしている様子を見せることは、「動物なんてそんな扱いでいいんだ」と無意識に思ってしまう人を育ててしまう「逆教育」です。
そもそも虐待と非難されかねませんし、動物さんは市営の場合は市民の財産ですので損ねることは批判されることですし、評価もガタ落ちです。
こんなふうに厳しく書くのは、権限を持っている人たちが判断しやすくするためですので、あしからず。
ニホンザルさん
例えば判断が難しいんだろうなぁと推測するのが、ニホンザルさんの、いわゆる「サル団子」です。
「本来、冬はそうやってしのいでいるんだから、園館でそうしていたって対策不要だろう」と、思ってるでしょ。そんな発信がまだあります。
しかしながら、本来暮らしている山(木々などの自然物満載の環境)と、コンクリート空間では全く意味が違います。
冷たさも硬さも種類が違うし、コンクリ暮らしなんて本来の毎日と一生には無いものです。
それに、野生のサルさんたちは大きな枝の根本付近など、少しでも風などをさえぎるものがあるところを選べるので、吹きっさらしのコンクリ山とは話が違います。
以前、ニホンザルさん宅に屋根を提案したら「自然界に屋根はない」と拒否されたので、私が「最も動物さん本来の姿を見ている人たち」と考えている動物写真家さんに質問したところ(その時は福田幸広さん)、野生のニホンザルさんたちは「大きな枝の下とか岩の下とか、あの手この手で雨を避けようとしていますよ」とのことでした。
よく考えたら当然のことで、雨に濡れて体温が下がることは心身の衰弱につながるのですから、避ける選択肢があれば選ぶ可能性は高いです。
まぁ、とにもかくにも本来の環境と園館は全く違うというその大前提を忘れずに、「じゃぁ、どうするか?」を考えることから楽しんで欲しいです。
そして、「室内で暖かく過ごす」と「外で過ごす」の両方の選択肢をどちらも魅力十分に用意し、サルさんが選べるようにすることが、答えに近づくためにできることだと考えます☆そうした状況作りができれば、炎上などの批判対策にもなりますよ♪
園館自体とモチベーション
そして園館自体としては、「寒いから閉園」で全然いいですし(むしろ素晴らしいですし、実際にありますよ♪)、「寒いのが大好きな動物さんには会えますが、他の動物さんたちは寝室で安全・快適に過ごしています」も、最高に素晴らしい♪
そういう対策時に訪問したら、「寒いのが大好きな動物さん」を集中的にガン見する展開となり、興味も深まって一挙両得♪
数年前に訪問したズーラシアは、寒い日だったので多くの動物さんが寝室で過ごしていて、つまり会えないのですが「つまらない」とは思わず、「さすがズーラシアだ!!」とシェアピって心震えました♪
「なぜこんな素晴らしい対応ができるようになったの?」と、飼育員さんに聞いちゃったほどです♪(この時の飼育課長さんが素晴らしいからだそうです☆)
そして、「動物本位」で判断して、対策が細やかに機敏にできることは、現場スタッフさんたちのモチベアップ要素にもなります。
前述のズーラシアでも、「寒いから動物さんは寝室」の判断をした飼育課長さんが本当に素晴らしいと、飼育員さんが喜んでいました♪
いわゆる「上の人」のすること(判断)は、現場のモチベーションをダダ下げする場合が圧倒的に多いですが、それが自分の得には全くならないどころか評価を下げていることをよく考えて、動物さんと職員さんと共に自分も幸せになる判断をしてほしいです。
でも、どうしたらそういう判断ができて、その効果に確信が持てるのか?から分からない場合も多いと思います。
だからこそ、私のような外部のアドバイザーが存在するんです♪
温度の確認
話を現場に戻しますと、温度対策は、感覚だけで「大丈夫」と思わないことも大事でしょう。
立っている人間の感じている温度と、足元で暮らしている動物さんたちの体感温度は全く違います。
しかも、24時間そこで過ごしているからこそ感じるものは、作業時にしかそこに入らない身には分からないものがあるはずです。
身体の構造や状況でも違ってくるでしょう。
とにかくまずは温度の確認です。
「温湿度計を各所に設置+サーモカメラ」で1日に何度も確認すると、園館動物さんたちも安全・快適に過ごせる確率が高まると思います。
私もネコさんのベッド近くに温湿度計を置いて、何度も確認していますが、思いがけない変動があってびびります。
サーモカメラは高いですが、どうせ買うならちゃんとしたものを買ったほうがいいので、Amazonほしい物リストなどで寄付してもらうことをオススメします。
寝室と小屋
写真はずいぶん前の埼玉県立こども自然公園のミーアキャットさんです。
暖房器具を活用できていてシェアピだし、なので安心して「かわいすぎじゃろ・・・♡」と言えます♪
こんなふうに暖房器具が用意されているケースは多いと思いますが、それが外の場合も多く、動物さんは外気に触れてしまい寒いです。
小屋があれば効果はあると思いますが、しっかりした建造物である寝室内のほうが暖かい場合もあるでしょう(風や外気には当たらないし)。
もちろん、寝室の構造的に「いくら暖房器具を使っても温まりにくい」という場合もあると思います。
そして、小さい空間である小屋のほうが暖めやすいということもあるでしょう。
その場合は、寝室内にさらに小屋を設置するなどして、とにかく動物さんが安全・快適に過ごせる空間づくりを楽しんで頂きたいです。
実際、これまでに寝室(コンクリ)が寒いという相談も受けましたが、まずできることは、コンクリ壁に板を貼ることです。
なおその際に、板が安い合板ですと、使用している接着剤・防腐剤・漂白剤などの有毒物質が揮発する恐れがあるので、要注意です。
できればその木材の「向こう側」も調べて、現地の環境や暮らしを破壊していない木材を使ってシェアピりたいところです(国産間伐材で無薬剤のものがオススメ)。
私たちも園館も、求めるものを更新する
とにもかくにも、寒さに強くない園館動物さんたちは全員、保温と保湿ができる状況にした寝室(室内)で、安全・快適にすごしてもらうことを、切に願います。
そう願うお客さんが多ければ、園館も行動しやすくなるので、一度「もし自分が園館動物さんだったら」と考えてみて下さい。
繰り返しますが、動物さんに会えなくても、「今日はやばい寒さだから、寝室で安全・快適に過ごせていて良かった!」と、シェアピれるシェアピストを育てるのが保全教育であり、園館の魅力・存在意義・任務・モチベアップ要素です☆
堂々と胸を張って、寒さ対策を追求・発信して下さい♪