同じ景色の中を
ぐるぐるとバスが走る
演者達を乗せた
にせものの路線バス
景色はいつのまにか
新宿の高層ビル街から
多摩の住宅街になっていた。
こんもりとしげる緑に
自分の田舎を思い出す
その中を
目的地なく走るバス
それは走ることが最大の目的であって
どこへ着くのか
どこを走るかは問題じゃないのだ。
なんだかそれって…
同じ景色中を
ぐるぐるとバス
ずっと変わらないままの乗客を乗せて
長い人生の中を
目的地へと向かうバス
目的地なんてないバス
ちょうどそんなバスに揺られて
明日来週来月来年、今後のこと
考えたら吐きそうになって途方に暮れた
ゴールの見えている生きざま
生きるために動く生きかた
だからなんだっていうんだろう。
どちらも閉じ込められていることには変わりはないのにね。