ある日庭から白い木馬が【後編】 | 人生シャバダバン~★Live1DAY as1LiFE★~

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小さい頃、よく見た夢。
夜の遊園地の、小さな古いメリーゴーランド。


あたしはよくそこで一人であそんでて。
いちばんちいさい木馬と仲良しだった。


夜中すぎ、真っ暗になって、誰も居なくて、しんとしずかで。
ジェットコースターも止まってるのに、

木馬とお友達のあたしは、とくべつに乗せてもらってた。
音楽がならないまま、こっそり動くメリーゴーランド。


星空は明るくて、怖くなかった。


あたしが乗ると、「やぁ、待ってたよ」って木馬が言って、
あたしたちは色々な話をした。


草って気持ちいいの?とか、遠くに走るってたのしいかな、とかそうゆう話。


今思うとかなりファンタジーなんだけど、

子供って「常識」がないから話したい相手と話せるんだよね。


あたしは小学校低学年まで話せた気がする。

ぬいぐるみとか動物とか、風とか木とか。


木馬はむかしは馬だったけど、足を悪くしてメリーゴーランドになったっていってた。


そのまえもなにかだったけど、今はそんなことどうでもいいやって。


おとなの木馬たちはうわさしてた。

もう、メリーゴーランド乗る人いないのかなぁって。

小さな遊園地だったし、遊園地のお客さんが少ないみたい。


しんぱいはてきちゅうして、
ある夜、
メリーゴーランドは使えなくなって、カバーがかけられていた。


あたしの小さいお馬さんはー!?


かなしくて、ないてたら、おとなの木馬たちがなぐさめて、


「あの子だけは引き取られていったのよ」って教えてくれた。




あたしはそれから夜の遊園地に行かなくなって、夢のこともわすれて。
しばらくしてあたしは小学生になった。


がっこうからかえってきたら、家の倉庫の近く、おじいちゃんのがらくた置き場に
白い木馬が1頭だけ ひっくりかえってた。


そこにいた誰かに、「これどうしたの」って聞いたら、


「遊園地でいらなくなったっていうから、1頭だけ貰ってきた」


って言われた。


「あの木馬だ!!」 ってきづいたけど、

遊園地に行ってたことは秘密だったから、言わなかった。


木馬は、もう動かないただの木馬だったし。


話せそうにも無かった。



そこから先は、木馬の記憶がない。



ただ、
パパもママもおばあちゃんも、庭で木馬なんて見たことがないっていう。


あたしも、現実のなかで木馬と遊んだことは思い出せない。


どこからどこまでが夢で、本当なのか、よくわかんなかったから

全部夢だってことにしてた。


だけど木馬を見て思い出したの。


じっさい結構びっくりもした。


今はもうあたしは木馬と話せないから、彼かどうかもわかんない。
ただすっごく懐かしい気がした。




誰が木馬をつれてきたんだろう。



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