サン・セバスチャンへようこそ 2024.1.20 TOHOシネマズ日比谷8 | ギンレイの映画とか

ギンレイの映画とか

 ギンレイ以外も

 アメリカ人がヨーロッパに憧れる気持ちは、そのまま映画にも当てはまる。ウッディ・アレンは1935年生まれ、大戦後の文化を享受した世代になる。コメディアンから俳優、映画監督へとなり、映画界での成功を手にした。今は評判は下がっていてアメリカでは映画が作れない。上映はされているのだろうか。

 

 ウッディ・アレンが欧州の巨匠たちを尊敬し崇めるように、ヨーロッパの人はアレンの作品を評価しているのだろうか。アメリカでの評判がヨーロッパまで伝播していても、あちらでは気にしていないように思われる。つまり彼はヨーロッパ大陸では仕事が可能だ。仕事の場があるのはめでたい。事件以前からフランスやスペインで撮ってきたこともあり、ヨーロッパ志向の監督はまだ出来る、と思っている。と言っても日本で作ろうとはしないだろう。日本に合う作風ではないからだ。

 

 世界中で開催される映画祭。日本にもあるけど、最近は行ってない。真新しい映画に興味がないし、いずれやる映画なら少し早く見ても仕方ない。また監督や俳優を見ても意味がない。じっくり話を聞けるならいいが、宣伝の顔見せ程度はいいや。

 

 単に見に行く映画祭ではなく、参加する映画祭はどうだろう。監督でも俳優でもないし、映画関係者でもない。映画祭を中から覗くのはどうか。この映画はそれをしてくれる。それもほぼウッディ・アレンが案内してくれる。彼の映画は本人が出なくても、ほとんど彼が出ているように見える。語り口がアレンだし、内容はもちろんアレン自身の言葉だ。せせこましい早口で言いたいことをまくしたてる。彼は映画で発言している。夢や妄想が混在していて、でも映画の体裁は崩れてない。さすが長年の監督生活は万全だ。

 

 いっそ自分の悪評判を映画にしてみるのはどうだろう。自分のことをほぼさらけ出すのなら、影の部分を見せて欲しい。彼の最後の映画はそれだ。

 

 夢で映画を見ることはあったかな。あまり覚えがない。映画自体が夢の世界だからわざわざ夢で見る必要はないのかもしれない。眠りを誘う映画は良い映画らしいが、しっかり目を覚ましてスクリーンを眺めていたい。

 

監督 ウッディ・アレン

出演 ウォーレス・ショーン ジーナ・ガーション ルイ・ガレル エレナ・アナヤ セルジ・ロペス、クリストフ・ワルツ

2020年