これは見る前に想像していた通りの物語だった。あくまでもポール・ニューマンをかっこよく見せるための道具立てを整えて、はいどうぞ、という具合。
銀行強盗の罪で服役していたヘンリー(ポール・ニューマン)が刑務所外に連れ出された。普通はこんなことはないはずなのに、どういうわけかは以下参照。彼は自分の*意志で病気を装う*ことに成功する。病院行きになるのだが、警務省のそれは人員オーバーでだめで、一般の病院ではなくて、老人のための施設へ。外部からの刺激に対して無反応というのをよそわなくてはならないのだから、これは大変な努力。騙し通せたのなら立派だが。
けっきょく勘のいい看護婦に見破られてしまい、なぜか銀行強盗をすることになる。この老人が言い始めたのなら分かるけど、看護婦の方から誘いかけるというのが分からない。彼女にそんなことをする必要があるように思えない。よほど差し迫った困ったことがあるのならともかく、そうは見えない。そこはまあ個人の問題だから何かあるのだろう、ということにして、話はつづく。
この看護婦の旦那もこの計画に巻き込まれることになる。いまどき銀行強盗が成功するとは考えにくい。どんな銀行にも監視カメラはあるだろうし、警察への連絡もすぐにつくようになっているはず。どうするかというと、現金輸送車を襲うことにする。これもちょっとひねって、集金前の輸送車を襲い、係官になりすまして銀行の受付から現金を集めてしまおう、というこれはいいアイデアだね。やってみようかな。
こまかく言えば、ずいぶん穴のある計画なのだけど、それはいいとして、これがあんがいうまくいってしまう。中身は違うけど、「スティング」のような見事な映画と比べるとこれはぜんぜん良くない。見るべきものがないと言ってもいい。ただ、ポール・ニューマンを見るだけの映画ということ。観客をもだまさなければ面白くない。
監督 マレク・カニエフスカ
出演 ポール・ニューマン リンダ・フィオレンティーノ ダーモット・マローニー
2000年