結婚しない女 1978.7.19 イイノホール | ギンレイの映画とか

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 ギンレイ以外も

 ニューヨークのウォール街で働いてるなんて、まさに経済の中心にいる感じだ。資本主義の象徴のようなところだから。ここは何かを生産することがないのに、一番偉そうにしている。

 

 結婚しない女、じゃなくて単なる結婚していない女というだけのようだ。その上きっと結婚するよ、画家のソールと。しないのは、前のがまだ残っているからだ。懲りているからだ。

 

 結婚している状態で、その中に安住しちゃっていて、ふとある日、夫が去っていく。空気みたいな存在だったとしても、エアがなくちゃもう生きていけなくなる。彼女は綺麗だから男には不自由しない。だが付き合いはしても再婚にはならない。元の夫が振られて戻ってきたいと言ってきた。めったやたらに気落ちしている。自業自得でしょ、といさめる。と同時に気持ちが揺れる。

 

 それにしても、まあ、こんなにもてて、どうしましょう。女友だちからは、もっと遊べと言われるし、独身生活を楽しみましょうか、と迷う。離婚経験あり、子どもありの女性はもてる。

 

 傷を癒すのは時と、新しい男しかない。娘は娘で15歳らしく振舞っているし、ぽっかりと開いた穴を埋めてはくれない。ここに見られるのは、つまり安定した妻の座をふいに失した女のあがきというもの。あなたならどうしますか、といった軽い問い。映画が質問をしてくる。それに答えを出してもいいし、自分に置き換えて考えるのもいい。

 

 でも映画に正解を求めるのは無駄なことだ。今はやりの自立する女性を描いているものと思ってたのに、がっかり。ああそうだった、題からして An unmarried woman だもの。それだけのことだったのか、とここで膝を打った次第。

 

 私の好きな俳優アラン・ベイツが出ていた。彼の口調の見事さは、このアメリカ映画の中にあって光っていたのは言うまでもなく、引きずり回していた感もあった。

 

 全体として言えば、この映画、落第じゃないけれど及第点はつけられない。からしが足りないというより、全くない。マザースキーとしては良い出来とは言えない。

 

 私としては、女性は unmarried であろうと married であろうとも変わることなく強く生きて欲しい。

 

 女も平凡だからこそ、それについていた男もまさにノーマルだったね。彼の方の結末も、やっぱりそうかと思わせたものだし、私といたしましては、あまりにもありきたりのストーリーを追ったのみで、ニューヨークの景色をしみじみと見つめておりました。ただニューヨークで働くのって羨ましいなと思った。

 

監督 ポール・マザースキー

出演 ジル・クレイバーグ マイケル・マーフィ アラン・ベイツ クリフ・ゴーマン パット・クイン ケリー・ビショップ リサ・ルーカス リンダ・G・ミラー アンドリュー・ダンカン マシュー・アーキン ペネロープ・ルッシアノフ ノヴェラ・ネルソン レイモンド・J・バリー アイヴァン・カープ 

1977年