スコットランドの小さな島の近くの岩に座礁した船に、50000ケースのウイスキーが積まれていた。それだけの話だが、島の状況をかんがみると、平穏にすまないことがわかる。島の男たちは居ても立っても居られない、ほとんどアル中の連中ばかりだからだ。
時は第二次世界大戦中、場所はスコットランドのトディー島、戦争のためウイスキーの製造も少なくなっていたのだろう。さらにこんな片田舎の島まで配給はやってこない。飲んべえが多く、ウイスキーは無くなってしまった。なくなるとよけい欲しくなるのは世の常。もはや働く気力もなくなった。朝からウイスキー恋しとばかりにぐーたらとしている。
そんな折に、すぐそこの見える場所に座礁して沈没しそうな船がある。船員たちは逃げ出していなくなった。残るはお宝ウイスキー、海に沈む前に取り出さなければならない。そんなこと勝手にしていいのか、という正論を吐かれても困る。何より無駄に沈んでしまうより資源保護でしょ、エコでしょ、勝手な言い分であるのは承知の上、ただ飲みたいだけのいいわけです。
イギリスのパブだとビールだと思うのだが、スコットランドはウイスキーなんだ。スコッチウイスキーは世界的ブランドである。製造が盛んな地域は消費も多いでしょうね。
ウイスキーがない状態が、どれほどがっかりなことなのか想像できない。なければないでしょうがない、アルコールがなくたってどうってことないと思うのだけどね。島の男たちが皆飲んべえであることが面白いというか珍しかった。一人くらい飲めないのがいてもいいじゃないかと思う。身体がアルコールに強い人たちなのだろう。それはまことにご愁傷さまというしかない。
私は飲める口だが、実は飲めない人が羨ましい。飲めない身体なら威張って飲めないと言えるし、何かと飲むことばかり考えなくても良いのも羨ましさの一つだ。付き合いだって飲まないで済む。もっぱら食べものに執着したい。アルコールなんかに負けたくない、というのが本音だ。酒で失敗した経験多し、反省。
この映画、イギリス映画で田舎が舞台で酒飲みが出てきて事件があって結婚式もある。面白さ楽しさを期待させる材料に事欠かない。それなのに、あんまり面白くなかった。それはなぜかと考えるに、本当の意味での敵役がいない。危機的状況にならない。危うい均衡がない。ないないずくしではしょうがない。
事実あったことにインスパイアされた、とあった。それならいっそドイツの空襲があるような場所にして、今にもドイツ軍が攻めてくるような設定にすれば面白くなったかも。いやいや、不幸を材料にするのはまずい。あくまでも戦争中に起きた悲喜劇とするしかない。
不満はあるけど、これはこれでおどやかな解決をみる。戦争中なのに、このくらいの事件で済んだのだからよかった。
監督 ギリーズ・マッキノン
出演 グレゴール・フィッシャー ナオミ・パトリック エリー・ケンドリック エディ・イザード ショーン・ビガースタッフ ケヴィン・ガスリー ジェームズ・コスモ ブライアン・ペティファー イアン・ロバートソン マイケル・ナードン アン・ルイーズ・ロス フェネラ・ウールガー
2016年