魚になってヴェネツィアを水没の危機から救う一家。ピアノを武器にするカウボーイ。ピサの斜塔を略奪しようとした宇宙人。捨てられた容器が家々を占拠するお話…。現代社会への痛烈なアイロニーを織り込んだ、ユーモアあふれる知的ファンタジー短編集。
内容「BOOK」データベースより
ジャンニ・ロダーリは20世紀イタリアの最高峰児童文学作家。児童文学や絵本の重要性は現在でこそ至宝の如き扱いを受けていますが、長年文学界では評価が低いジャンルであった事からロダーリも世界的規模で評価される作家となるのに時間がかかったそうです。1980年没後に日本でも翻訳出版が重ねられ光文社古典シリーズの名だたる古豪と名を連ねる彼の作品は児童文学の枠だけでは語りつくせないイタリア文学史上語り継がれる作家と言えます。本書「猫とともに去りぬ」は、題名がまず目を惹くでしょう?世界的に大ヒットし読まずとも名前を轟かせる作品を名作と呼ぶならば誰もが知っている名作「風とともに去りぬ」マーガレット・ミッチェル著が頭に思い浮かんだ事でしょう。私のブログでも事前に「風とともに去りぬ」を取りあげましたがw実はそれを買おうと思ったきっかけが本書でした。似た題名の作品を読み比べてみようって好奇心だけで両方の作品を手に取ったのです。そしてその好奇心が二つの名作を読書暦に刻み込む事になったのだから素晴らしい体験だったといえます。
過去光文社古典新訳シリーズでイタリア文学といえば、ディーノ・ブッツァーティ「神を見た犬」とピランデッロ「月を見つけたチャウラ」と2作品経験していますが、どことなくイタリアの国のイメージとは異なる真面目で実直な(こんな事を言うのはイタリアの人々に失礼ですが)印象でした。本書でやっと(一般的なイメージとして出来上がった)イタリア人らしい作家と出会えた気分です。細かな理論や理屈は二の次で、とにかくユーモアを最優先にコミカルな展開を前面に打ち出した作品、常識や社会通念とは並外れた発想や展開が目白押しです、児童文学ならではの非現実的な描写(例えば人間が動物に変身したり)も面白い限りです。物語を楽しく可笑しく読む事が出来るのはロダーリの素敵な所でしょうね。ただ、面白いだけでは他の児童文学と代わり映えがしません、ロダーリが他と違い優れている所はなんなのか?他の作家から感じ取れないものは何なのか?それは・・・予想外の展開でしょう・・・登場人物がバイクに恋をするといったお話があります、両親に婚約者としてバイクを紹介するのですが、普通の常識であれば怒られる事は必至です、何を言っているのかと問いただされるのが当たり前、ですがロダーリの物語は違います、何故洗濯機と結婚しないのかと怒られるのですwいやいやそこじゃないでしょうと思わずツッコミを入れてみたくなるのですが、そんな展開や会話がドンドン出てくるのですが・・・何時しかロダーリの世界にごく当たり前のように接してしまうようになります。この魔法に近い空気感を出せるのが凄い点ではないでしょうか?イタリア文学界がおくる最高児童文学の世界に読者は魅了されること間違いなし。
光文社
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