私を捕らえても

彼女は帰ってきませんよ


お久しぶりですね 御主人様


私は許可をとって

彼女の

彼の地に囲いましたよ


何を責めるというのですか

私を責めるのですか

彼女を責めるのですか


御主人様の話を聞きましょう


私をここに呼んだ理由を

紐解いて行きましょうか


御主人様に

私を責めることはできないのですよ


御主人様が望むなら

彼女のこともお教えしますよ







眠れないお嬢様は

自らを虚像化した執事


の執事は

の女を知っている


のお嬢様は

の送り主


の青年は

汚れた羽根で

物語を書き綴った




[2007/11/25]


汚れた羽根で書く

幻想でしかない小さな物語



綺麗な翼はありません

抜け落ちるのは、汚れきった羽根ばかり

戻らない羽根の色に 今日もまた

静かに 囁きます



広い地上界に下りた小さな天使の話 それは"黒白"

自らを傷つけ 深みにはまっていく虚しい女の話 それは"深紅"


暗薄いお屋敷

眠れないお嬢様

"貴方様のだけに存在する"という者との

深夜の会話 それは"蒼茫"


閉ざされたカーテンを開けることもなく

暗い部屋で 世の中から隔離された青年に届く電子郵便

それは"灰黄"



汚れた羽根で書き綴った僕の物語



3人の人物は各々の役割を終えた

僕は彼らを生かせなかった


僕の描く物語は

ハッピーエンドなんてない



幻想と現実の狭間で

悶えていた僕と

何も変わらない



美しいだけ

彼はきっとそこにいる




今日、

窓の外を見たよ


外はやけに明るくて

太陽に説かされしまいそうだった



閉め切った僕の部屋には

名前も顔も知らない

電子郵便が来る媒体だけがある


汚れた羽根は

足もとに抜けおち


僕はもうヒト

天に昇れない哀れなヒト



お話はここで終わり




拾壱月弐拾伍日

今日は太陽の日です



今日で最後です

一方的な私の気持ちを

あなたはどう捉えていたのか分かりません




私は自分が傷つきたくなくて

ずっと屋敷にいる人物に

全てを背負わせていました


自分の存在意義を

押しつけて



屋敷にいる人物に若い女性がいました

あなたと同じで

部屋から一歩も出ずに


いつも刃物を握って

自分の手首を切るんです


全てを悟ったかのように

その女性は毎日が生き地獄のようだと



私はいつも

傷つかない


私はなんのために

存在するのだろう


皆が傷ついていくのを

ただ見ているだけの傍観者?



あなたは誰なの?

この屋敷の執事なの?



分からないけど



もうオシマイです



今日は太陽の日です

外を見ましたか?

今日は太陽の日です


今日は最後の日なんです


窓を見ることのない

顔も知らないあなたへ



さようなら

私はもうここにいません




残念ね

ここがなくなるのね

私の居場所はない

私として

ここからは消え去るけど


もう他の場所で



俺として

変わらない日々を過ごしてるでしょうね



痛そうに

前より悪化したのかしら

静脈ギリギリで際どいかしら


いいえ

関係ないわね


あの執事の男のように

己自身の存在を

虚像化してまで

居座る気なんてないわ


いつまで

自分を傷つける日が続くかなんてわからない

やめようと思わない


私は私

あの人はあの人

誰も止める権利も

誰も責める権利も

何もないの


所詮最後は

独りになってしまうの

私には見える

自ら命を絶つ執事の姿が



人は残酷よ

最後は皆

自分が可愛いのよ?



そのうち

捨てられるのに

まだ執着して


偽善者になるのは

私?

それともあの執事かしら?


さようなら

左手が壊れないように

気をつけて