龍の墓 貫井徳郎 | なほの読書記録

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I'm really glad to have met you.



現実とゲームの二つの世界で、それぞれ連続殺人事件が起きる複線構造のストーリー。


時代は近未来。眼鏡型のVR端末が普及し、スマホは時代遅れ。ゲームにおけるVR技術も大きく進歩しており、なかでも発売当初から話題になっている「ドラゴンズ・グレイブ」というゲームが人気を博していた。


現実の世界では、東京都町田市郊外で身許不明の焼死体が発見される。

殺人事件として捜査本部が設置され、町田署(所轄)の女刑事・保田真萩は警視庁捜査一課の南条とコンビを組んで聞き込みを開始する。


その後、被害者の身許が判明したものの、事件解決に繋がる糸口を掴めぬまま、都内で第二の事件が発生する。


荒川区内で女性の変死体が発見され、その殺害状況が公表されると、ネット上で「町田と荒川の殺人は、人気VRゲーム『ドラゴンズ・グレイブ』の中で発生する連続殺人の見立てではないのか?」という書き込みが載せられていた。

一見、何の繋がりもないように思えた町田と荒川の二つの事件だったが、やがてその書き込みを看過できなくなるような事態へと発展していく。


現実の世界での二つの殺人事件と、ゲーム「ドラゴン・グレイブ」の中での連続殺人。

双方の世界での事件の類似点をもとに、謎解きが同時進行することになる。


現実の世界の殺人事件は町田署の保田真萩と本庁捜査一課の南条を中心に、ゲームの世界の連続殺人は真萩から協力要請を受けた瀧川が真相解明にあたる。

瀧川は真萩の警察官同期で、既に警視庁を辞職して引きこもりとなったゲームオタクだが、警察官時代には関わることができなかった難事件の解決に向け、「ドラゴンズ・グレイブ」を先に進めながら事件解決の糸口を見いだしていく。


業火に焼かれた骸、凶器なき刺殺体、密室殺人.....


犯人はなぜ、VRゲームの連続殺人を模した見立て殺人を繰り返すのか?


勘違いなのに悪意をもって瀧川を貶める美しい女性の速水は、事件には絡んでくるのか?


VRゲームに関心のある方にはおすすめの本です。


私自身の率直な感想としては、事件の真相解明にもう少し奥深さ(伏線の回収やどんでん返しによる驚きなどの一捻り)がほしかったです。