満月珈琲店の星詠み〜秋の夜長と月夜のお茶会〜 望月麻衣 | なほの読書記録

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「満月珈琲店の星詠み」シリーズの第5弾。

占星術と読書がテーマの、ファンタジックな連作短編集。

札幌、岩手(遠野、花巻)、淡路島、広島と舞台を移しながら、各地の名所(名勝)も紹介されていました。

また、今回はストーリーの展開に因んだ「おすすめの本」が、各章で紹介されていました。

第一章「木星と銀河のカッサータ」
淡路島で母を看取った真中総悟の姉である百花(主人公)が、今までの人生とこれからの人生について考える話。

【百花の母が読んでいた本】
ミヒャエル・エンデ「モモ」
東野圭吾「秘密」



第二章「彗星のお茶会とベテルギウスのプリン」
体が弱いため、幼い頃、岩手県遠野の祖父母の家で療養生活をしていた真中総悟(主人公)の話。

遠野市、花巻市、めがね橋、宮島を舞台にストーリー展開されていく。

【紹介されていた本】
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」「イーハトーブ」「セロ弾きのゴーシュ」「注文の多い料理店」


第三章「金星と三日月りんごのアップルケーキ」
真中総悟の従姉妹、松浦果歩(主人公)の話。
宮島で図書館司書をしている本好きで内気な果歩。

果歩は自分とは正反対で、外交的・積極的な妹(沙耶)の彼氏(早瀬聡史)に横恋慕してしまう。
ハッピーエンドで読後感もよく、ほっこり!

【紹介されていた本】
恩田陸「夜のピクニック」
重松清「流星ワゴン」
梨木香歩「西の魔女が死んだ」
伊坂幸太郎「マリアビートル」
京極夏彦「百鬼夜行シリーズ」
森絵都「カラフル」
光源氏「源氏物語」六条の御息所


エピローグ
総悟のこれからと桐島祐司の話。

【紹介されていた本】
J・R・R・トールキン「指輪物語」


猫🐈とスイーツ🍨と占星術✨が好きな方には、特におすすめの一冊です!


印象に残ったフレーズ

【百花の母の言葉】

「この子は自由でいたいのよ。無理矢理飼ったりしたらかわいそう」

猫は自由でいたい生き物なのだから、かわいそうだからと保護して家の中に閉じ込めるのは、人間のエゴだ。それが母の持論だった。そのため、母は訪れた野良猫に躊躇いなく餌を与えていたのだ。

猫は欲しいものを要求して、満足したら立ち去る。自分の本能に忠実である。


【満月珈琲店のマスター(三毛猫)の言葉】

「町ぐるみで猫を保護している地域ならば自由に生きられるかもしれませんが、そういった取組をしていない地域の猫はとても生きにくくなっています。今や野良猫に餌を与える人も少なくなり、食べ物の確保も難しい。さらに一昔前よりも、暑さは格段に過酷。ですので、これからの時代、『縁があったら』でよいのですが、仲間たちを助けてあげてほしいと願っております」

「本当に自由を好む猫は、人を見ると逃げ出すものですよ」


《「満月珈琲店の星詠み〜秋の夜長と月夜のお茶会〜」望月麻衣 著 文春文庫 刊より一部引用》