「政府は年金改正法案を平成16年2月10日、119国会に上程し、2004年6月11日の官報で公布しました。今回の改正はスウェーデンの年金改革方式を下敷きにしたとされています。」
… 安藤幸子著 『年金改正2004'―施行期日別の改正項目と解説―』 (大阪法令株式会社出版部 H16.9.17発行) の「まえがき」より引用。(119国会→159国会?) ※以下、基本的にこの本を参照した。
【平成16(2004)年改正】
○財政検証の実施
少なくとも5年ごとに、年金財政の現況及びおおむね100年程度の間(財政均衡期間)にわたる年金財政の検証を行う。
○基礎年金の国庫負担金割合の引き上げ(当時の1/3から、予定ではH21年度までに1/2へ) ※H16.10-
○「マクロ経済スライド」の導入(毎年度年金額を調整) ※H16.10-(実際の適用はH17.4-)
これまでは5年ごとに年金額が改定されていたが、平成17年4月から毎年度変更されることになった。ただし、過去3年分の物価スライド下落分のマイナス1.7%分(=特例措置)を解消するまでの期間は、マクロ経済スライドのスライド調整は行わない。
その1.7%分を超えるまでは、物価が上昇しても、年金額は据え置かれる(現在の年金額は、本来の年金水準よりも高くなっている)。マクロ経済スライド調整期間をいつからにするかは政令で示される。
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(補足) とにかく「完全自動物価スライド制」は終わり。2000(平成12)年から2002(平成14)年まで3年間、累積で1.7%物価が下がったのに年金額が据え置かれた「矛盾」が解消されるまでは、当面物価スライド特例措置のもとで年金額が決められ、それが解消されれば、今度はマクロ経済スライドの調整が発動されるという話。 マクロ経済スライドの適用期間は、給付と負担の長期的なバランスが取れて年金財政が安定するまでの間(約20年間程度とも言われる)。]
○「保険料水準固定方式」の導入 ※H17.4-
国民年金の保険料は、今までは5年間の保険料が毎年度物価上昇率に応じて変化する仕組みになっていたが、平成17年4月からは13,580円とし、16,900円を上限として固定。 平成16年度価格で、国民年金保険料額が法律に規定された(毎年度280円引上げ)。
つまり、これまでのような5年ごとの財政再計算がなくなり、毎年賃金をみて保険料を改定していく仕組みとなった。改定は、マクロ経済スライドの改定率の考え方と同じように、3年後の前後3年の賃金を平均したものを用いて賃金上昇率を反映していく考え方。保険料改定率は政令で定められる。
○第3号被保険者の特例届出 ※H17.4-
○(H27.6までの措置として)30歳未満の第1号被保険者に係る納付特例制度の創設
○65歳以上70歳未満の者に係る任意加入の特例
○障害基礎年金と老齢厚生年金の併合ができる仕組み ※H18.4-
○国民年金保険料の多段階免除制度の導入(4分の3免除、4分の1免除) ※H18.7-
○離婚時の年金分割 ※H19.4-
○年金個人情報の定期的な通知(ポイント制) ※H20.4-
など。
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参考
◇上掲の、安藤幸子著 『年金改正2004'―施行期日別の改正項目と解説―』 87頁~、その他参考資料として掲載されている「国民年金法等の一部を改正する法律案要綱」より、一部転載。
3 保険料額に関する事項
(1) 各年度における保険料額は、次の表に掲げる額に保険料改定率を乗じて得た額とすること。(第87条第3項関係)
※表は以前の記事に転載したことがあるのでここでは省略。
(2) 保険料改定率は、平成17年度については 1 とし、毎年度、当該年度前年度の保険料改定率に名目賃金変動率を乗じて得た率を基準として改定すること。(第87条第4項及び第5項関係)
4 年金額の改定に関する事項
(1) 基準年金の額
ア 基礎年金の額(第27条、第33条及び第38条関係)
(ア) 老齢基礎年金、2級障害基礎年金及び遺族基礎年金 78万900円に改定率を乗じて得た額(当面は(3)の物価スライド特例措置による年金額で支給。以下同じ。)
(イ) 1級障害基礎年金 78万900円に改定率を乗じて得た額の100分の125に相当する額
イ 障害基礎年金及び遺族基礎年金の子に係る加算額(第33条の2第1項、第39条第1項及び第39条の2第1項関係)
(ア) 第1子・第2子 22万4,700円に改定率を乗じて得た額
(イ) 第3子以降 7万4,900円に改定率を乗じて得た額
(2) 各年度の改定率の改定方法
ア 平成16年度の改定率を 1 とし、平成17年度以降の改定率は、毎年度、原則として名目手取り賃金変動率を基準として改定すること。ただし、受給権者が65歳に達した年度の3年後の年度以降に適用される改定率については、原則として物価変動率を基準として改定すること。(第27条の2及び第27条の3関係)
イ 調整期間における改定率の改定は、原則として公的年金被保険者数変動率に0.997を乗じて得た率(以下「調整率」という。)を名目手取り賃金変動率に乗じること。(第27条の4関係)
ウ イにかかわらず、受給権者が65歳に達した年度の3年後の年度以降に適用される改定率については、原則として物価変動率に調整率を乗じて得た率を基準として改定すること。ただし、当該率が 1 を下回るときは、1 とすること。(第27条の5関係)
(3) 物価スライド特例措置
ア 改正後の規定により計算した額が平成12年度改正後の額に 0.988 を乗じて計算した額に満たない場合には、後者の額を支給すること。(改正法附則第6条関係)
イ アの 0.988 については、総務省において作成する全国消費者物価指数(以下「物価指数」という。)が平成15年度(又は直近の改定が行われた年の前年)の物価指数を下回る場合には、その低下した比率を基準として、翌年4月以降改定することとすること。(改正法附則第6条関係)
ウ アが適用される生年度区分に属する受給権者の改定率の改定については、(2)のイ又はウにかかわらず、調整期間において、名目手取り賃金変動率又は物価変動率に調整率を乗じないこととすること。(改正法附則第11条関係)




