>ベストアルバム

>タイトル:Mr.Children 2011-2015

>アーティスト:Mr.Children

>リリース日:2022年 5月 11日

>記事作成日:2022年 7月 14日






聴きました!


ミスチルの30周年記念ベスト! 30年て…例えば10年なら、「生まれた子どもがランドセル背負って駆け回る年齢か…」みたいなイメージがまだつくけど、もはや30年ともなると、何がどうなるくらいの時間経過なのか、ちょっとイメージすらつかない程の途方もなき時間。そしてその時間の殆どを、日本の音楽シーンのトップとして走り抜けてきて。なおかつ、“作られたスター”ではなく、本物の音、本物の言葉、本物の音楽を鳴らし続けてきたという驚異的なバンド。


本作は、2010年代前半の作品を収録。なおかつ、過去のライブテイクから選り抜きの音源を集めたライブ盤付き。




まずは“本編”、この時期にリリースされた音源をまとめたDisc 1から。




『Hypnosis』

この重厚なロックバラードから始まる感じ、いいですね。アルバム『[(an imitation)blood orange]は、近年のライブで演奏される曲もあまりなく、ちょっと控えめな感じのあるアルバムですが…その一曲目に収録されているこの曲は、ベスト盤の一曲目(アルバムの“顔”)に据えられていてもやはり遜色のない完成度。小林武史Pアレンジの、重厚なバンドと流麗なストリングスが絡み合う、絶品。

ぼく、このベスト盤の流れで聴くこの曲のほうが、より好きかも。


『REM』

「わたしぃ〜、『イノセントワールド』が好きぃ〜」ってタイプの人は中々面食らう感じなんじゃないでしょうか(笑) 『Hypnosis』からの『REM』。

近年のミスチルではあんまり見かけなくなった、毒々しさに満ち溢れた曲。特にAメロのボーカルラインの常軌を逸している感は、ちょっと半端ない。大好きなんす、大好きなんすよ、このMr.Children。頭が真っ白になってしまう程の、熱量。


『Marshmallow day』

そしてこの落差…この曲と『REM』が、同じコンポーザー、同じリリシストによる作品だと、にわかには信じられませんて。中華の達人が、飴細工でも卓越したスキルを見せちゃってるようなもんじゃないですか(笑)

ポップでパステルでひたすら可愛いMr.Childrenが、ここに居ます。


『祈り〜涙の軌道』

ここから、“トリプルA面シングル”というパッケージで出た3曲が続きます。この3曲には、シングルリリース当時にちょっと思うところがあったのですが、今回見方が変わった感じがありました。詳しくは後述。

先だっての半エンツアーで、開演前に近くにいた子どもがこの曲を口ずさんでいたんですよね。ぼくは、ミスチルのシングルの中では知名度が今ひとつ低い曲だと思っていたので(失礼)、なんか、びっくりしました(笑)


『End of the day』

軽快なテンポで、爽やかなアレンジで、ポジティブなフレーズが並ぶサビで…今回聴き直すまで、ぼくはこの曲を“前向きでポジティブな曲”って思ってたんですよ。でも今回久々に聴いたら、サビ以外の部分の歌詞が、認識していた以上に結構後ろ向きで。そんなネガティブモードの主人公に、凄くシンクロしてしまった感覚があったんですよね〜。もちろん、リリース直後から繰り返し聴いていたので、バースの歌詞も理解しているつまりだったんですが…ぼくの今のモードが、そんな感じなのか…?

とにかく、キラキラ眩しい感じが少しだけ眩し“過ぎ”るように感じていたぼくなのですが(この辺が、上述の“思うところ”)、今回聴き直して、凄く好きになりました。


『pieces』

この曲も、ぶっちゃけると、「“シングル表題曲”を名乗っている割には、ちょっとパンチに欠けるのでは?」と思う部分が無くはなかったのですが(ここもまた、上述の“思うところ”です)…今回聴き直したら、歌詞が物凄く良かった。ポジでもネガでもなく、“ただそこに在る”って感じの佇まいが、凄く良い。もちろん、「当たり障りのない歌詞で、響いてこない」という話では無くて、「凄くメッセージ性が強いんだけど、それを押し付けてくる感じが全くない」という意味で。

アレンジは未だにやっぱり「(シングルにしては)ちょっと地味?」と思ってしまいますが(苦笑)、歌詞の良さに気付けたのが今回の収穫。


『常套句』

これはもう…名曲中の名曲。もっと、『エソラ』のように、『彩り』のように、『Worlds end』のように、『蘇生』のように、『over』のように、『星になれたら』のように…“アルバム曲”の枠を超えた存在になっても良いと思うんだけどなぁ…。

シンプルな言葉に、シンプルなメロディに、シンプルなアレンジ。ともすると、豆腐と卵白ともやしを(調味料なしで)掛け合わせたような淡白なものになりかねないのに、聴き応えとしては家系ラーメンのようなパンチがあるから不思議。マジック。みなさん、“魔法”はここに実在しましたよ!“魔法使い”はここに居ましたよ!!(笑)


『Melody』

アルバム『REFLECTION』ゾーンへ。

初期のミスチルを彷彿とさせる、キラキラなポップチューン。クリスマスソング…かと思いきや、「クリスマス“みたい”」なだけというのがミソ(笑)

ライト層が「ミスチルと言えば」と言われて思い浮かべそうな、非常に耳あたりのよい曲。


『足音〜Be Strong』

ぼくは今でも、大きな一歩を踏み出す必要がある時に聴く曲です。『終わりなき旅』と同じくらいに、ぼくを奮い立たせてくれる曲。

…なんか、色んな思い出があり過ぎて、感想書けない(苦笑)


『忘れ得ぬ人』

これが選曲されたのは、ちょっと意外だったなぁ。とても美しく素晴らしいバラードだとは思うけど、ベスト盤に収録される感じというよりは“隠れた名曲”みたいな認識だったので。同じ『REFLECTION』からなら、『Fantasy』とかのほうがベスト盤向きな気がしましたけどね(曲の優劣の話ではないですからね!!)※あとで思い出したけど、『Fantasy』もう一枚のほうに入ってましたね。ぼくが、いかにベスト盤を聴いていないか(笑)

いやでも、ホントに美しいバラード。改めて聴いて、改めて美しいと思った。“薄幸の美人”なんて言葉がありますが、本当に美しいものは、どこか儚さや繊細さや影みたいなものを持ち合わせておるのかもしれないですね。この曲も、とても美しく、そして切ない。


『放たれる』

1Aの、独特の反響があるボーカルの音が好き。スタジオで綺麗にトリミングされた音ではなくて、自宅で、テレコで録ったデモテープみたいな音。それの何が良いかって、“目の前で、自分のためだけに歌ってくれてる”感じがするから(笑)

悲壮感があって、なんか胸がズンと重くなる感じが、クセになるんだ。


『幻聴』

思えば、『REFLECTION』がリリースされる前に、『幻聴』というタイトルの曲が収録される事を知った時、「そんなタイトルの曲がポップソングになり得るのか?」と思ったんですが…結果、『REFLECTION』の中でも、そしてこのベスト盤の中でも突出したポップチューンだったという驚き(笑) 『蘇生』も『擬態』もそうだけど、およそ“売れる”ワードとは言えないものをあてがうところにもセンスを感じる。


『進化論』

そういう意味ではこの曲もそう。こんな曲タイトルで違和感のないポップチューンを作れるのはレキシさんくらいかと思ってたんだけど(笑)、まさかのMr.Children。

子どもが生まれてから聴くと、また、重みが全然違うんだよなぁ。当時は、自分に当てはめて「大小の様々な歯車が複雑に絡み合い 今日も廻ってる」の辺りなんかにグッと来てましたが、今は「誰も傷つけない 優しい夢を 素敵な夢を 君に引き継げるかな?」でウルっとくる。ウルっときた後で、身の引き締まる思いになる。


『未完』

40代(当時)にしてこんなにも無邪気で、奔放で、エネルギッシュな人が居るんですね…音から溌剌と漲る波動が伝わってきて、ライブでそれが増幅される。この曲は、原子炉みたいなイメージ。エネルギーを無尽蔵に発散している。もちろん、100%クリーンエネルギー。




続いて、過去のより抜きライブ音源集であるDisc 2へ。

正直、今回はこっちがお目当て。




『innocent world』

『1995 Tour Atomic Heart』からの音源。

これは嬉しい…映像化されているライブは全部擦り切れる程観てるのですが、映像化されていない音源が聴けたのは嬉しいぞ! 厳密にはドキュメンタリー映画をビデオ化した作品に収録されていますが、アレ、VHSだからもう永遠に観れないんだよ!!!(DVD化してください…)。

まずは、オーディエンスの反応の違いに驚く。今のミスチルのライブで聞こえてくるのは“歓声”ですが(コロナ禍以降は拍手ですが)、この音源に収録されているのは紛れもなく“嬌声”。黄色い歓声。この時代のミスチルがどんな存在だったのか、この音源でよく分かる。このまま“アイドルバンド”で消費されて消えてしまわなくて、本当に良かった…。

しかし、田原さんのギターが物凄く薄くて…まだ、自信無かったのかな(笑) 今では田原さんのギター一本のところも、この音源ではキーボードがユニゾンしてたりするし。ぼくは断然、今の、存在感をビンビン感じる田原さんの音のほうが好き。


『Dance Dance Dance』

同じく『Tonr Atomic Heart』より。

冒頭のSE、これ何?どういう事?? ぜひ、舞台演出とスクリーン映像と共に観てみたいなぁ。カッコいい事になってんだろうなぁ。いいなぁ。見たいなぁ。

…という感じ(笑)

何気にこの時代から、ナカケーさんのベースは存在感があってアグレッシブでカッコいい!


『抱きしめたい』

『regress or progress '96-'97 IN TOKYO DOME』より。ここからはもう、DVD化されてる音源ですね。

序盤の、エレピエレピしたエレピの音がちょっと新鮮かも。めっちゃくちゃ感傷的な曲ではあるんだけど、ほんのりユーモラスというか。


『CROSS ROAD』

『“HOME” TOUR 2007 -in the field-』より。

2007年時点で、この曲は“ライブではやらない曲”の認識だったので、これを聴けた時は興奮したなぁ。しかも、ストリングスとピアノから始まる、リアレンジバージョン。ライブでのリアレンジに関しては賛否両論あるようですが、ぼくは、特別感があって物凄く好き。むしろ最近のライブはオリジナルに忠実な演奏が基本なので、ほんのり残念な気持ちになる事すらある(笑)

小林Pのピアノが、飄々としてるクセに彫りが深くて、ホント良いんだよなぁ。


『Tomorrow never knows』

『Tour 2018-19 重力と呼吸 in TAIPEI』より。商品化はされてないけど、YouTubeにまるっとアップしてくださっているライブからですね。歓声が、ちょっとだけ以前の“黄色い歓声”に近いものがある感じがして面白い。


『シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜』

『ap bank fes '12 Fund for Japan』より。かつて『アメトーーク』でもイジられてた、曲の途中で虹出現の報告をしたヤツですね。夏フェスらしい開放感と明るさがありつつ、今聴き直すと、震災の暗すぎるほど暗い影を跳ね除けようとするような意図的な明るさにも聴こえない事もない(考えすぎか)。

この時代の桜井さんは、奔放さがMAX。


『名もなき詩』

『regress or progress '96-'97 IN TOKYO DOME』より。いつのライブかを意識しないで聴けば分からないくらい、桜井さんの歌声はまったくと言って良い程変わらないな…。20代と50代で歌声が変わらない人って何⁉︎悪魔かなにかと禁断の契約でも交わしてるの???


『ニシエヒガシエ』

『Stadium Tour 2015 未完』より。

そうか、未完ツアーって、ニシエヒガシエの導入部&間奏部分はこんなんだったんだっけ。なんか、ラウドでいいっすね。ウワモノはオリジナル通りなのにそれとはまったく異なる動きを見せるリズム隊とか…どうやったらこんな発想が出てくるんだろ。

本作一曲目の『innocent world』とは対照的に、田原さんのギターがキレッキレ。特にボトルネックソロの、運指までが“聴こえて”きそうな程の生々しさが良い。ボトルネックってかなり難しい気がするけど、田原さんてさらりと弾きこなしますよね。


『光の射す方へ』

続けて、『Stadium Tour 2015 未完』より。

ライブだと1サビが「リハビリしてんだカモォーン!」となる訳ですが…音源に合わせて口ずさむとぼくも自然にちゃんと「カモォーン!」まで入れるし、何ならどのツアーの「カモォーン!」なのかも分かっちゃう辺りに、事の深刻さを感じます(笑) ちょっと変態的だと、自分でも思う。

このテイクは、ナカケーさんの安定感が良い。この安定感があるからこそ、桜井さんの奔放なフェイクが映える。


『つよがり』

『Tour 2009 〜終末のコンフィデンスソングス〜』より。ちなみにぼく、このDVDが、一番再生回数が多いかも。

「ちっちゃな願いをいつもポケットに持ち歩いてるんだよ」の部分の桜井さんのフェイクが、気持ちが高じて冷静でいられなくなった主人公の心情を表しているようで、グッとくるんだ…。

あと、やっぱり、小林Pのピアノが好き。オリジナルよりもだいぶ手数が多い感じで、曲の印象が変わるというか。


『口笛』

『LIVE FILM 「Mr.Children REFLECTION」』より…という事はつまり『虹 tour』という事か?

オリジナルに忠実なアレンジ。うん、この曲はそれが良い気がする。ある種、ミスチルの原点回帰みたいな感じでこの曲がリリースされた雰囲気があるので、そういう曲はオリジナルのままで良いんだと思う。


『NOT FOUND』

『Tour 2018-19 重力と呼吸』より。

このライブでのこのテイクは、神がかってたな…DVDのリリース当時、寝る前に布団に入って観てたらこの曲が流れてきて、体が興奮で熱くなって、寝れなくなった記憶がある。今回の音源化で気軽に聴けるようになって嬉しい!


『終わりなき旅』

『STADIUM TOUR 2011 SENSE -in the field-』より。

ラストはこの曲。今回の『半世紀へのエントランス(スタジアム編)』のオープニングを飾っていた曲。改めて“喰らっ”て、改めて感動して、改めて活力をもらった曲。『半エン』のそれも良かったけど、こちらのSENSEツアーのテイクも凄く良い! 今回改めて聴いたけど、SENSEツアーはだいぶシャープでソリッドな音のライブだったんだなぁ。アレンジは基本的にオリジナルを踏襲してるんだけど、特にギターが、骨太なのに繊細で。アツいのにクールで。あったかくて懐の深いこの曲も好きだけど、こんな感じでソリッドな『終わりなき旅』も、それはそれで全然アリだな。




そんな、2枚組計27曲。


大概のベスト盤の感想で書いてますが…好きなアーティスト程、ベスト盤は聴かないんです。既にしこたま聴いた曲ばかりだから(笑)

でも今回はライブ音源集が付いていて、しかも映像作品化されていないツアーの音源も聴けて…凄く良かった! 相変わらず、スタジオ音源を集めたDisc 1はあまり聴いてないけど、こちらはヘビロテですわ。


もう、本編のほうに関しては、言う事がない(笑) 曲があらゆる記憶や思い出や感情とリンクしていて、ここ10年の自分自身を思い出すトリガーになっている。






お気に入りは、

○Disc 1

#01 『Hypnosis』

#02 『REM』

#03 『Marshmallow day』

#06 『pieces』

#07 『常套句』

#09 『足音〜Be Strong』

#13 『進化論』

#14 『未完』

○Disc 2

#01 『innocent world』

#04 『CROSS ROAD』

#06 『シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜』

#08 『ニシエヒガシエ』

#09 『光の射す方へ』

#12 『NOT FOUND』

#13 『終わりなき旅』






この作品が好きなら、

・『バラッド3』/サザンオールスターズ 

・『CYCLE HIT 2006-2017 SpitzComplete Single Collection』/スピッツ

・『レミオベスト』/レミオロメン

などもいかがでしょうか。






CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/

















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