>オリジナルフルアルバム

>タイトル:SUPERMARKET FANTASY

>アーティスト:Mr.Children

>リリース日:2008年 12月 10日

>記事作成日:2022年 5月 10日

>1回目の感想はこちら






久しぶりに聴きました!


ミスチル、デビュー30周年! という事で、過去作をアルバム単位で聴き直してきたんですが…遂に、今日5/10は30周年当日ですね! おめでとうございます!!!


本作は、2008年の年末リリース。リリース情報が出た時に、不意をつかれた感じがあったんですよね(笑) 2007年リリースの前作『HOME』が物凄く完成度が高くて、ぼくは勝手に“その時点でのミスチルの集大成”だと思っていたので(詳細は『HOME』の感想記事を参照の事)、次作が出るのにはもっと時間がかかるんじゃないかなーと勝手に思っていて。だから、インターバルが1年半程度で本作のリリース情報を耳にして、不意をつかれた感じに陥ったワケです。


しかもまた、前作とは全然別のベクトルの、でも前作と同等の完成度の高さの作品が放たれて…。ぐうの音も出ないですよね。


キラッキラの、もうとにかくキラッキラの作品。何というか、もう、キラッキラ(笑)




『終末のコンフィデンスソング』

“終末”なんて大層な言葉を冠している割に、非常にリラックスしていて軽快なアレンジの曲からスタート。

アコギのストロークがよく聴こえる、フォーキーでフレンドリーなサウンド。そして、歌詞も、肩肘張らない“日常の匂い”がするもの。マジで、商業的に日本でトップクラスに成功している人が、なんでこんなに庶民の何気ない日々をリアルに描く事が出来るんだろうか(笑)

ちなみに、本作の“引っ提げツアー”でのライブテイクがすごく好き。アレンジはスタジオ音源と変わらないんだけど、オープニングの音楽&映像からこの曲への流れを通しで聴く(観る)と、それだけでハッピーな気持ちになれる。


『HANABI』

ゼロ年代のミスチルの、そしてこの時までのミスチルの歴史全体から見ても、間違いなく「最大の代表曲」と言えよう曲。アルバム2曲目にしてこの曲とは、潔いですよね。ぼくだったら、絶対終盤まで引っ張る(笑)

1曲目にはちょっとしたユルさがあったけど、ここで一気に緊張感が。でも、単にピリつくという事ではなくて、聴き手がこの曲に自身の日常を重ねて、思い通りに行かない日常をそれでも進んでいこうとする勇気を与えてくれる。ファンタジックにキラキラした空気を描いた本作にあってこの曲はちょっとベクトルを異にしている感じもあるけど、でもこの曲はこのアルバムに必ず必要なものだと思うし、こういう曲があるからこそアルバムが重層的で密度の濃いものになっていると感じます。甘みを強調するためにひとつまみの塩を入れる料理のテクニックに似ている気が。キラキラを心から楽しむためには、シビアな現実に目を向けることが必要。


『エソラ』

ミスチルの楽曲をざっくりカテゴライズするなら、①ロックで大衆向け ②ロックでマニアック ③ポップで大衆向け ④ポップでマニアック ⑤そのほか の5つに分けられるとぼくは思っています。で、この曲は、③(ポップで大衆向け)カテゴリの中の完成形だと感じるのです。一度聴いたら忘れられなくなるメロディ、耳馴染みは良いけど“上っ面”ではない歌詞、とにかく華やかなアレンジ、“個”じゃなく“和”のプレイ…どれをとっても、完璧にキャッチー。更には、森本千絵さんによるアートワークも含めて、これ以上にないくらいマスに響くポップソング。初めて聴いた瞬間から今この瞬間に至るまで、ずっと好き。ずっと好きだし、聴くたびに心が弾むし、MVを見るたびにワクワクする。

ちなみに…ミスチルのライブは、この曲が映える“エソラ系統”のツアーと、“『Worlds End』系統”のツアーに分かれるとぼくは思ってる(それらの曲をやるかやらないかではなく、それらの曲の空気感と似たものがセトリや演出に感じられるという意味)。ポップザウルスツアーなんか完全に“エソラ系統”だし、反対に未完ツアーとかは“WorldsEnd系統”。異論は認める。


『声』

タイトルもシンプルだし、サビには言葉がない。アレンジも比較的シンプルだと思うし終盤で大展開を見せるような構成でもないんだけど、でもとんでもなくエモーショナル。ガツンと来る。哀愁と重厚感とがミックスされたギターの存在感は大きいだろうな。

ライブでは、サビで大合唱でしたね。


『少年』

例えば『ランニングハイ』…というか、それが収録されたアルバム『I ❤︎ U』の雰囲気に近いイメージだな。曲としての完成度というよりも、勢いと熱量とを優先した感じの、荒々しいロックチューン。もちろんそんな訳はないんだけど、印象としては、一発録りしてるような感じの勢い感。

なんか、いっときどハマりして、この曲ばっかり四六時中聴いていた時があったな…(笑)


『旅立ちの唄』

優しく柔らかく、ナチュラルな雰囲気の曲。タイトルの通りに旅立ちを歌っていて、だから歌詞には切なさも漂っているんだけど、でも曲全体としてはとてもあったかくて、優しさをもらえる感じの曲。

ある意味ですごく“ミスチルらしい”曲なんだけど(シングルですしね)、ぼくはぶっちゃけ、ちょっと物足りなさを感じないでもない曲かな。


『口がすべって』

とある男女の関係を描いたポップチューン。基本的には、ユーモラスな表現とフランクな雰囲気でストーリーテリングしているんだけど、歌詞の端々に、身につまされるフレーズが散りばめられている。それは、自分が他者と接する時の“あるある”だったりもするし、反省の面もあるし、生きる上で大事な事だったり。

ウクライナ情勢にせよ、コロナ禍にせよ、地球温暖化にせよ、目の前で起こる困難な事にせよ…ともすると「難しい問題だねぇ」で終わらせてしまうけれども、その度にこの曲の、「“難しいですね”で片付くほど簡単じゃない」っていう一節が頭をよぎる。それじゃダメだよなぁ。例えすぐに答えが出せなくても、せめて、考え続けないと。


『水上バス』

この曲、怖い…(笑) 2サビまでは、本当に幸福感に溢れててあったかくて優しくて柔らかい、これでもかってくらいのラブソング。でも、その後のCメロから、一気に風向きが変わる。そんなにハッピーで、そんなにあったかくて、そんなに優しい時間が、全部過去のものだったなんて…。これは、誰かとお別れした直後に聴いたら、“致死量”だと思うわ。例え水上バスの記憶なんか無い人でも、自転車二人乗りの記憶なんか無い人でも、そういうのを超越して、痛みが刺さってくる。誰が悪いわけでもない別れが、一番痛いんだよなぁ。

優しくて、あったかくて、柔らかくて。そして、優しいからこそ、あったかいからこそ、柔らかいからこそ、“致死量”な曲。


『東京』

前曲のあとを引き継ぐのがこの爽やかで軽やかで前向きな曲じゃなかったら、マジで死んでるからね(笑) ある意味で『蘇生』な曲、それが『東京』。

瑞々しい曲ですねぇ。東京と言うと、夢破れたり息を切らしたり行先を見失ったり人波に呑まれたりする曲が多いのに、この曲はもうなんかキラッキラしている。そういうの、BUMP OF CHICKENの『東京讃歌』とこの曲くらいなような。


『ロックンロール』

確か1回目の感想にも書いた気がするけど…とある雑誌ライターが、レコーディング中のこの曲を聴いて「『NOT FOUND』を彷彿とさせるような…」みたいな事を書いてた記憶があるんだけど…いやいやいやいやいやいやいやいや! 今回改めて聴き直して改めて感じたけど、3連のリズムって以外に両曲の共通点、無くないか? 何をもってしてそんな事を書いたのか、あの時の雑誌をもう一回読み返したいなー。何の雑誌だったかなー。もしくはF&Mの会報だったりして…?

…とまぁ、そんな事はさておき。一言で言えば、「聴いてるとJenさんの顔が浮かんでくる曲」ですね(笑)


『羊、吠える』

ミスチルの曲の中でも、結構異質な気がする。なんでだろ…アコースティックサウンドなんだけど、でも例えばゆずみたいな感じではなく、サウンドだけで言うと割とOAUとかそんな方面に近いような。何の楽器かは分からんけど(カホンとかか?)普段あんまりミスチルの曲では出くわさないような音がしている気がする。ドラムスも、ブラシスティックとかだったりするのかな?

反面、歌詞は、すごく桜井さんらしいというか。ひねくれてんのに、物事の本質を歌ってる気がする。しかも、結局ただのラブソング(褒め言葉)っていう。


『風と星とメビウスの輪』

“無印”のほうがアルバムバージョンという、不思議な曲(笑) シングル『GIFT』のカップリングのほうが『Single version』との注釈があって、あっちはピアノオンリーのシンプルなアレンジ、こっちはバンドもストリングスも背負った壮大な曲。同じ歌詞とメロディでもこんなに雰囲気を変えられるんだ!っていう、驚きがある曲。

こっちの“総力戦ver.”は、勝手なイメージだけど、小林Pのセンスと趣味が炸裂している感じがする。小林Pって、こういう、宇宙規模のスケール感を乙女チックなまでにドラマチックに表現するのが好きじゃないですか(笑) ラッセンが描く夜空(宇宙)みたいな、そんな彩り豊かでドラマチックな曲。


『GIFT』

これはもう、多くの人の人生のアンセムでしょう。世の中に数多ある歌の歌詞なんて、人によって解釈が違うから“万人にとっての応援歌”なんて存在し得ないと思うけど、この曲は、限りなくそれに近い間口を持っている曲だと思う。誰でもが直面するような岐路を描き、多くの人が“自分の曲だ”と解釈出来る表現でもう一歩踏み出す勇気をくれる。“外的な存在(=第三者)が自分に向けて発する言葉”ではなく、“自分が自分にかけてあげる言葉”というニュアンスが強く、だから多くの人にとって沁みる歌詞なんだと思う。ぼくみたいなひねくれ者は、第三者に「君はまだやれるよ」と言われたところで「お前に何が分かるんだ」としかならないのですが(笑)、全てを見てきた自分自身に「おいおい、もうちょっとやれるだろうよ?」と言われたらもうちょっとやってみようと思いますもんね。

ちなみに、NHK紅白での、コーラスありバージョンが特に好き。


『花の匂い』

これはもう…多分1回目の感想でも書いたし、ベスト盤の感想でも書いた気がするけど、肉親を亡くした時にこの曲の歌詞が凄くシンクロしてしまって、涙が止まらなくなった曲。シンクロし過ぎて、今でもまだちょっと冷静に聴けない(笑) 「別の姿で同じ眼差しで あなたはきっとまた会いに来てくれる」というフレーズに、何度救われたか。

ぼくはまずまず元気でやってるよ。またいつか、ね。




そんな、計14曲。


ほんと、この時期のミスチルは、神がかっておる。いや、いつだって神がかっているんだけれども(笑)、この時期は“マスに届く作品”という方向に神がかっているんだ。だって、「売れてる音楽なんてロックじゃねぇ!!!」みたいなネガティブバイアスを持った上で聴くような人以外、大半は好きになっちゃうような耳馴染みの良さじゃないですか。ちょっと、異次元だと思います。

久しぶりに、このタイプのミスチルも聴きたくなっちゃったな〜。次回作あたりで、どうでしょう?





お気に入りは、

#01 『終末のコンフィデンスソング』

#02 『HANABI』

#03 『エソラ』

#07 『口がすべって』

#08 『水上バス』

#11 『羊、吠える』

#13 『GIFT』

#14 『花の匂い』






この作品が好きなら、

・『LAND』/ゆず

・『MAGIC/back number

・『MUSIC MAN SHIP』/コブクロ

などもいかがでしょうか。






CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/

















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