>オリジナルフルアルバム
>タイトル:来し方行く末
>アーティスト:高橋優
>リリース日:2016年 11月 16日
>記事作成日:2017年 1月 5日





聴きました!

5周年ベストを挟んで、久しぶりのオリジナルアルバム。
この方の作品には“変わっていく事の魅力”と“変わらない事の魅力”の両方があるので、新作を聴く時のドキドキは毎回かなりのものになります。さて今回は…。



『Mr. Complex Man』
近年の作風に則った、程よく力が抜けてフランクな遊び心が散りばめられた曲。いや、サウンド(アレンジ)的にはゴリゴリで、バンドのアンサンブルが骨太に鳴り響くロックンロールなんですが。優さんの書く歌詞と歌声には、シニカルなユーモアを感じたりするのです。

『君の背景』
この雰囲気、この曲調…これは何だか懐かしい! メジャー初期の匂いがする。例えば『靴紐』であったりとか『シーユーアゲイン』であったりとか、そういう曲のエッセンスを感じます(もちろん、メロディが似通っているとか歌詞がカブっているとか、そういうレベルの話ではないです)。
これ、とても幸せな曲ですね。強固な絆で結ばれていたいという気持ちが、あらゆる表現で描かれています。歌詞の文言は文学的だけれども、アイドルさんが歌うようなフレーズとは全っっっ然違うけど、これはれっきとしたラブソング。

『さくらのうた』
シングル曲。シングルリリースされた当初は「この時期にこういう曲って…桜ソングブームの流れに便乗してるように見えるし、モチーフがベタベタ…」なーんて思わないでもなかったのですが(すんません)、時期を外して、そしてアルバムの中の1つのストーリーとして聴けば、フツーにかなりの名曲でした(笑)。
ピアノとストリングスの美しい流れにアコギのアルペジオが絡む、優しくて切ない曲。

『明日はきっといい日になる』
「そっか、この曲も収録されるのか」という感じのこの曲。結構前のリリースだし、ベストにも収録されてるし、何なら他のアーティストさんにカバーとかまでされてますからね。本作に収録されてるとは思わなかったです。
曲自体は、文句なく良い! 前のめりなくらいにポジティブなメッセージなんだけど、軽快で楽しげな曲調なので説教臭さが全くない。

『拒む君の手を握る』
前半と後半とで曲調がだいぶ異なる曲。
メロディはだいぶリフレインしてるし、そもそもヴァースとサビのメロディラインはオクターブが違うだけでほぼほぼ一緒だし。だから、そういう意味では全編を通じて統一感もあるんだけど…ニヒルで斜に構えた感じの前半に対して、感情をぶちまけるように、叫ぶように、吐き出すように歌う後半。
なんというか…とにかくインパクトの大きな曲です。

『象』
関ジャニ∞さんへの提供曲のセルフカバー。
当時、優さん作の曲が聴きたくて関ジャニ∞の作品を初めて聴いたんだよなぁ(笑)。
こちらは、優さんの歌声で優さんらしいアレンジで。とにかく骨太で攻撃的で、アドレナリンが出まくる曲。聴いてるだけでそうなんだから、歌ってる(そして演奏している)ほうは一体どうなっちゃってるんだろうか。

『悲しみのない場所』
前曲から一転して、しっとりと穏やかに。
アコギのアルペジオとアコーディオン、そして時々入るグロッケンがいいです。切なくてメランコリックなんだけれども、人の温もりも感じられます。
優さん、ファルセットの使い方が上手くなってますよねー。そんな事も感じる曲です。

『産まれた理由』
シングル曲。
親子、夫婦、きょうだい、エトセトラ。命というのは、そして家族というのは繋がっていくものなんですよね。当たり前の事なんだけど、日常の中ではついつい忘れてしまいがちな事でもあり。そんな事を、思い出させてくれる曲です。

『アイアンハート』
サウンド的には、オーソドックスなUSロック的アプローチ。ダイナミズムがあってカラッと乾いたサウンドが、否が応でも気分を盛り上げてくれます。
そして歌詞。トータルで言えばハッピーな歌詞ですね。だけどそのハッピーは能天気で無根拠なそれではなく、挫折や失敗や混迷を経験しているからこその幸福感に聴こえて。だから、なんだか凄く救われたような感覚を覚えるのです。

『Cockroach』
タイトルがすげぇ。
緊迫感のある曲調は焦りや迷いや混沌を思わせます。けれどもそれを卑屈に自嘲するのではなく、それを認めた上でなお前に進もうとする力強い歌。これは、間違いなく希望の歌ですね。
この曲を聴くと、部屋でCockroachに出くわすのも悪くはないかもと思…えないや!さすがに(笑)。

『光の破片』
こちらもシングル。
前曲とは異なるテイストではあるけれども、これもまた緊張感があり、かつ熱いメッセージのこもった曲ですね。
優さんの作品は毎回リリース直後に買うんですが、この曲は何故かチェックが抜けていて。なので本作で初めて聴きました。その衝撃たるや…。例えば『こどものうた』の頃のように攻撃性が外に向かっているのとら違うし、近年多い多幸感のある雰囲気でもなく。芯のある応援歌。しかも、自分を鼓舞するものにもなるし、誰かを勇気付ける事も出来ると思う。そういう、懐の深い曲です。

『BEAUTIFUL』
優さんのアルバムは、いつだってこういう感じの曲で締まります。ストリングスとアコギのアルペジオが感傷的に響きあう、切ないけれど優しい曲。
これ…泣くわ。。。
あまり言葉でアレコレ語るのは野暮な曲。



そんな、計12曲。

特に後半の畳み掛けが、恐ろしいほどにハマってる。いい曲が、次から次から次へと。

このアルバムに対してぼくが思い浮かんだ表現は、“歯に絹着せぬ”という表現。
これって、普通はあまりいい響きを伴わない気がするんです。相手の気持ちを考えないで好き放題に自分の気持ちをぶちまけたり、誰かを揶揄するようなニュアンスで喋る事に対してこう言う事が多い気がするんですが…高橋優の本作は、そういうネガティブな要素を物の見事に取っ払った、そういう類の“歯に絹着せぬ”言葉が並んでいるものでした。
熱いものを、メッセージを、心情を、思いの丈を…人を肯定する想いを、率直な言葉で高らかに歌い上げている作品集。人間賛歌。

これは、鳥肌モノ。ぜひ、もっともっと多くの人に聴いてもらいたい一枚。





お気に入りは、
#01 『Mr. Complex Man』
#02 『君の背景』
#04 『明日はきっといい日になる』
#09 『アイアンハート』
#10 『Cockroach』
#11 『光の破片』
#12 『BEAUTIFUL』





この作品が好きなら、
・『HOME』/Mr.Children
・『トビラ』/ゆず
などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/


















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