サンパウロ~リオデジャネイロ~サンパウロ 2017/11/10~11/14 | インベストメントライダーふるさんのブログ Investment rider Seiji Furuhashi travelling around the world by motorcycle

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オートバイで世界を駆け回るインベストメントライダーを目指す個人投資家。
オートバイでのユーラシア大陸横断と南北アメリカ大陸縦断、アフリカ大陸とアラビア半島横断、東南アジア・インド・中近東を走行後、2024年4月~5月オーストラリアツーリング。

11/10 (金)サンパウロ滞在3日目 日本領事館の安全情報とジェトロ訪問

 

サンパウロやリオデジャネイロ等の大都会は治安が悪いのでくれぐれも気を付けるようにと地元のブラジル人にも警告される。

 

安全情報は日本大使館・領事部や総領事館が在留邦人の参考になるように被害事例をインターネットで紹介している。日系企業の駐在員が多く居住するサンパウロでの被害を紹介しているが、他国と比べもにならないくらい凶悪犯罪が多い。

 

日系企業の駐在員が不幸にも拳銃で撃たれて死亡した事例が今年あった。運転手がいる社有車の助手席に同乗中、銃を持った強盗に停止を命じられたが、運転手が無視して発進したため、賊が撃った弾丸が額をかすめた事例もあった。

 

警備員が常駐するアパート(高級マンション)では、盗賊が複数の車で乗り付け、警備員を縛り上げ次々と入居してた住宅を襲う事例もあった。路上で車にパンクさせ、パンク修理のため停車した際に襲う事例もよくある手口のようだ。こんな事例を読んでいると外出する意欲が薄れる。日系企業の駐在員が防弾ガラス装備の自働車に乗るのもうなずける。

 

午後ブラジル経済等の情報収集のためジェトロを訪れた。応対してくれたN氏はブラジル滞在7年のブラジルのエキスパートだった。日系企業は製造業を中心に500社ブラジルに進出しているが、日系企業が日本から見て地球の裏まで進出するのはそれなりの英断だ。2億人の人口を抱えるブラジル国内マーケットを狙っての進出だが、最近は人件費が高く、税率が複雑だったり、安全対策にもコストがかかり、さらに労働争議等の問題も加わると進出意欲が薄れているようだ。日本企業にとっては地理的に近く経済発展が著しいアジア諸国への進出の方が容易だ。

 

ブラジルの平均労働者のの給与は月給1,5002,000レアル(5,3万円~7万円)位だ。企業の人件費となると社会保障等の会社負担分の費用もかかるため労働者月給x1.7倍(9万円~12万円)となるようだ。管理職に関しては日本と同等レベルの賃金を払っているという。給与を引き下げることは法律で禁止されているため、使用者側は給与の値上げには慎重とのこと。ただしインフレ率相当の値上げは法律で強制されている。

 

ブラジルの経済発展を阻害している要因は複雑な税率、安全対策のコスト、政治家、公務員等への謝礼のようないわゆるブラジルコストがあるという。確かに前ルセフ大統領は、大統領選挙戦での大手石油会社(Petrobras)からの政治献金絡みの汚職疑惑で解任されている。また、労働者側にも原因があるという。

労働の成果がなかなか昇給に結びつかないので、労働意欲が削がれ、それが労働生産性向上を阻害しているとも言われている。

 

夕食は前職の同僚の紹介でサンパウロで通訳を行っている日系2世のブラジル女性とそのご主人及びその友人たちとチュラスコ(ブラジル流の焼肉)を食した。この席でも改めてブラジルの治安の悪さを指摘された。

車でリオデジャネイロのファベーラ(スラム街)を観光中のスペイン人が、拳銃で殺されたという。スラム街観光中、観光客を乗せた車の運転手が停止を命令された。しかし運転手は停止命令を無視して走りすぎようとしたため、拳銃で撃たれたという。

 

スラム街は、その一帯を縄張りとするキャング団が外から来る人を監視しているというのだ。また、ギャング団同士でも対立があり、道路を挟んでキャング団間での銃撃戦もあるという。

 

カーナビに頼って走行すると、うっかりスラム街に入ってしまうリスクがあり、危険地域の地理に疎い人がバイクでサンパウロからリオデジャネイロへ行ことは危険だとアドバイスを受けた。翌日のリオデジャネイロ行はバスで行くことにする。

(サンパウロのビジネス街パウリスタ大通り 多くの日系企業もオフィースを構える)

(ジェトロ入居のオフィースビル。日系の企業がビルを所有)

 

11/11 (土)サンパウロからリオデジャネイロへ高速バスで移動 430km

 

サンパウロ市内の長距離バスターミナル(Rodoviaria Tiete)から30分間隔でリオデジャネイロ行の高速バスが出ている。バス会社2社が運航している。料金は少し高いが快適な1001社の2階建てのバスでリオデジャネイロへ行く(サンパウロからの料金は95レアル=約3,300円)。途中の休憩時間40分を含めて約6時間30分のバスの旅だった。

 

サンパウロ~リオデジャネイロ間の高速道路は丘陵地や低い山の間を通るルートだ。この地域は比較的人口密度が高いため、道路沿いでも工場や民家が途切れることなく点在する。高速道路沿いにはパナソニック、コマツ、ヤクルト等の日系企業の工場も見かけた。外資系の工場が多い。米国のGM、ジョンソン&ジョンソン、ドイツのフォルクスワーゲン、スウェーデンので通信会社エリクソン、スイスの食品会社ネスレ、韓国のLG等々。

 

サンパウロ市は標高800mの高地に位置する。そのため南緯23度(北半球では台湾・台北市の緯度に相当)の亜熱帯の地域にも関わらず、過ごし易い気候だ。この時期の朝方は肌寒いぐらいだ。リオデジャネイロに近づくと、この高地から一気に坂を下る。カーブが多いため速度は40kmに制限されている。

 

途中から雨模様になり、霧もでてくる悪天候だ。バイクでなくて良かったとバス旅行のメリットも感じたが、

自分で運転していないので周りの景色、道路状況はよく覚えない。雨天のためか交通事故を3か所で見かけた。

 

バスターミナルから市内の中心ラパ(Lapa)地区のホテルまではバスターミナル内に事務所を構えるハイヤーを使用。料金は50レアル(約1,750円)と当初言われたが、交渉後35レアル(約1,200円)まで下がった。ただしバスターミナルの外で客待ちをしている一般のタクシーを利用すればもっと安い料金だっただろうと思う。

 

宿泊ホテルはHotel Pouso Real (朝食付き一泊107レアル=約3,800円)

(2階建て高速バス)

(高速道路沿いのヤクルトの工場)

(牧草地にはあり塚の盛り土が多く見える)

(沿道には竹林もあった)

(リオデジャネイロに向かう急な下り坂の周囲景色)

 

11/12 (日)リオデジャネイロ滞在一日目 市内観光

 

前日は雨模様だったが、本日はすっきり晴れ。夏の日差しだ。

ホテルのフロントから案内されたガイド付き観光は290リアル(約1万円)と高いため、自分で観光スポットを回ることにした。

 

最初に路線バスに乗ってコルコバードの丘へ行く登山電車の始発駅へ向かった。路線バスは一律3.60リアル(為替レートでは約130円)。現地の給与比較なら1レアルが日本の100円位の価値があると思う。3.6リアルは日本の360円相当だから現地の人にとって決して安くはない。バスの運転手は親切だった、コルコバートの丘の近くに着いたら(終点だった)教えてくれと乗車するときにお願いしたら、教えてくれた。

 

旅行ガイドブックの<地球の歩き方>にはコルコバートの丘(丘と言うより海抜709mの立派な山である)への登山電車は混雑するので必ず事前に予約するようにと記載されていたが、20分間隔に運行する登山電車の出発を2回待って(約40分)乗れた。巨大なキリスト像がある頂上まで電車で約20分の距離だ。2両連結の電車は急こう配を進む。線路の周囲は原生林のが茂っている。

 

頂上駅からさらに階段とエスカレーターを使ってキリスト像が建つ台座まで行ける。台座が展望台となっている。展望台からはリオデジャネイロの街並みが一望できる。リオデジャネイロの観光案内で紹介される海岸に突き出た山(ポン・ジ・アスーカル)が見える。コパカバーナの海岸やイパネマの海岸も見える。この景色を見ればリオデジャネイロに来たかいがあったというものだ。登山電車の往復料金は75リアル(約2,700円)。

(コルコバードの丘のキリスト像)

(コルコバートの丘からリオデジャネイロと奇岩ポン・ジ・アスカール=ポルトガル語で砂糖を盛ったパンの意味)

 

その後、1970年代のアメリカポップスで歌われたコパカバーナ海岸へ足を向けた。コパカバーナの海岸通りは約4kmの長さがある。海岸通りにはホテルやリゾートマンションが立ち並ぶ。海岸通りから波打ち際まで200~300mあろうかという広大なビーチ広がっている。

 

リオデジャネイロは亜熱帯気候なので11月(北半球の5月)と言えども夏の陽気だ。ビーチに海水浴、日光浴、ビーチバレーを楽しむ人たちでいっぱいいるが、浜辺が広いため混んでいるという状況ではない。

海岸通り沿いのレストランのテラス席は日曜日の遅いランチを楽しむカップルや家族連れでにぎわっている。ここはリゾート地だ。

(コパカバーナの海岸通り)

(コカパバーナのビーチ)

 

 

最近観光スポットとして人気が出ているセラロンの階段(Escadaria Selaron)にも行ってみた。

チリ人の芸術家セラロン氏がカラフルなタイルを20年以上階段に貼り続け作り上げたそうだ。最近はこの階段で写真をとりフェースブックの背景写真とする人が増えているとブラジル勤務が長い日系旅行会社の人に聞いた。セラロンの階段は落書きだらけの建物が建つ旧市街(セントロ)に位置して、周囲には危なげな気配がする通りがある。

(セラロンの階段 メキシコの習慣にならい15歳の誕生日を着飾って祝うメキシコ人少女)

 

当方はセラロンの階段から徒歩10分くらいの地区のホテルに滞在している。周囲の環境が良くないので2日目には他の場所にあるホテルに移ることを考えていたが、リオデジャネイロへバイクを持ってきていないので結局そのホテルに3泊することになった。

(セントロ・ラパ地区の建物には落書きが多い)

(滞在したセントロ・ラパ地区のホテル)

 

11/13(月)リオデジャネイロ 2日目 ヴァーレ(Vale)本社訪問(投資関係の真面目な話)

 

サンパウロを発つ前にブラジルの大手資源総合開発会社(いわゆる鉱山会社)であるヴァーレ(Vale)のインベスターズリレーション部署(投資家との窓口部署)へ電子メールにてアポイントを依頼していたが、返事が無いのでダメもとでヴァーレの本社を訪問した。ヴァーレはかってはリオドセとも呼ばれて、主力の鉄鉱石(鉄の原料)では世界シェアの35%を占め、売上高340億米ドル(約3.8兆円)を誇る。日本の大手鉄鋼メーカーも同社から鉄鉱石を購入している。

 

ヴァーレほどの大会社ならリオデジャネイロの中心部のオフィース街に本社を構えていると思ったが、そうではなかった。リオデジャネイロ中心部から約20km程離れた新興地区(Barra da Tijuca)のショッピングモールのようなカジュラルな場所にオフィーズがあった。

 

受付にてインベースターズリレーションのスタッフを呼び出してもらい、担当者と20~30分程度話せた。先方は当方のメールを受け取っていたが多忙で回答できていないとのことだった。双方の時間が合えばアポイントのアレンジは可能とのことだった。しかしながら、当方はずっとリオデジャネイロに滞在している分けにもいかず、出直し訪問は断り、短時間であったが会社の新しい方針等を聞いた。

 

同社は鉄鉱石の約4割を中国に輸出しており、中国の需要次第で資源価格が決まっていると言っても過言でない。世間では中国の景気が不透明と言われているものの、同社は資源価格の先行きには悲観的でない。過去においては借入金で鉱山の開発や設備投資を賄ってきたが、今後はパートナー(他社)と組ん共同事業で開発を進め、パートナーにも設備投資の資金を負担してもらう方針に転換している。米ドルの金利水準が切り上がる可能性があるなかでは、借金を減らしていく方針はうなずける。

(ヴァーレ本社が入居するショッピングモール)

(ヴァーレ社の鉱山事業の写真。同社資料から転記)

 

同社からの帰りにイパネマ海岸に寄ってみた。イパネマは1962年にアントニオ・カルロス・ジョピンが作曲したボサノヴァの<イパネマの娘>で有名になった場所だ。コパカバーナに比較すると浜辺部分が少なくコパカバーナ程の人出は無い。ただし、海岸通りの後ろにある住宅・ショッピング街は洗練され小ぎれいだ。ここにはホームレスの姿は無い。住宅地(高級アパート)は安全柵で囲われ警備員が配置されている。イパネマの娘という曲が作曲されたという老舗のバー・レストラン(Garota de Ipanema)が裏通り角地にあったが、ボサノヴァの曲は流れていなかった。

(イパネマ海岸)

(イパネマ海岸先のファベーラ=スラム街)

(イパネマの街からコルコバードの丘を望む)

(洗練されたイパネマの住宅街)

 

リオデジャネイロ州議会も行うトリデント宮殿を訪問。州の臨時議会が開催中であった。審議が行なわれている本会議も傍聴可能だ。同宮殿は1962年に首都がブラジリアに移されるまでは国会議事堂であった。現在は博物館兼臨時州議会議場だ。外国語が堪能の案内係は同建物の歴史等をマンツーマンで説明してくれる。案内係と同僚の男性に現在のテメル大統領について聞いた。

 

補助金等を削減して財政赤字立て直しと規制緩和を推し進め外国人投資家には評価が高いテメル大統領は国民の人気が無いという。国民から見れば補助金を減らす大統領だから人気があるはずがない。来年の大統領選挙には教育・医療の無料化や労働者の権利拡大を掲げる中道左派の米国ハーバード大学卒のシロ・ゴメス議員の下馬評が高いという。また、ルーラ元大統領も汚職疑惑で有罪とならなければ、出馬する可能性があるともいう。拳銃の保有合法化を掲げる極右の候補(ボルソナーロ氏)も出馬すると言われている。

(セントロ地区のトリデント宮殿)

(セントロ地区のオフィーズ街 写真右は大手石油会社ペトロブラスの本社)

 

11/14 (火)リオデジャネイロ~サンパウロへ高速バスで移動 430km

 

リオデジャネイロで路線バスや地下鉄に乗り慣れると便利である。Google Mapでルートをチェックして、公共交通機関を利用して目的地まで行ける。急いでなければ、ほとんどタクシーを使う必要はない。

(リオデジャネイロの路線バス。運転席横の赤色の鉄製ゲートを通り車内奥へ入る。)

 

(リオデジャネイロ地下鉄車両内でヒップポップを踊る若者。ダンスを終えた後には乗客から拍手喝さいを浴びる)

 

3日前に通った高速道路を長距離バスでサンパウロへ戻る。約7時間の道のりだ。

サンパウロへの帰路の高速バス料金は往路より25%高い101.80レアル(約3.5千円)だった。バス会社の係員に復路の料金が往路より何故高いか尋ねたが、理由は分からないらしい。

 

高速バス車内で通路を挟んで隣の席に乗るひげを伸ばした長髪の若者が話しかけてきた。一見するとかってのヒッピーのような自由人の姿だが首都ブラジリアの大統領府に努める公務員だった。受け答えがしっかりしている若者で3時間余りも話してしまった。

 

この若者に現在のテメル政権について聞いてみた。前日トリデント宮殿を案内してくれた若者と同様に人気が無い政権だと言った。同氏は財政赤字削減や規制緩和が大事であることを理解するが、生活が苦しい人口の半部以上の人たちは経済のことは分からないのでテメル政権に不満を募らせているとのことだ。

 

よくブラジルでは月収2千レアル(約7万円)の中間層が人口の半分位まで増加し、経済成長に欠かせない個人消費消費を支える層になってきていると言われているが、同氏は実際に消費に向かうお金は多くないと指摘する。税金と社会保障費を控除すると実質収入は3割減の1,400レアル(約4.9万円)であり、リオデジャネイロの都市部では広さ3550平方メートルのアパートの家賃が1,200レアル(約4.2万円)するので、生活は厳しいと指摘する。

 

ブラジルは可能性がある国だと言われて久しいが、政治家の汚職が横行し、政府が能力無いので経済発展が阻害されているとも同氏は批判する。現状に失望さえ感じているとブラジルの将来に悲観的である。いっそのこと

内戦ぐらいの荒療法がないと政治家や国民の意識が変わらいと厳しい意見だ。

 

仲の良い友人同士の会話でも政府は将来の発展につながるインフラ投資よりも社会保障や補助金を充実させるべきとの意見が多いとのことで、議論に熱が入り、口論にまで発展するという。

 

この若者のおかげでブラジルの政治が少し分かってきたような気がする。

 

宿泊はHotel Grand Barao (一泊朝食付き、駐車料金込み147レアル=約5.2千円)

 

(帰路 高速道路沿いの水田)

(帰路 大きな山も見える)

 

(帰路上のダム湖)