94.家族という“安全地帯”が脅かされた時 | 家族心理学・家族療法スクール・オンライン

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94.家族という“安全地帯”が脅かされた時

 

私たちは生きていくうえで、外の世界でたくさんのストレスや試練に直面します。
学校や職場、人間関係、社会のプレッシャー。そんな中で心を守ってくれるのが「家族」という存在です。

 

家族は本来、“安全地帯”であるはずの場所。
外で傷ついても、家に帰れば安心できる。困難に出会っても、支えてもらえる。

そう感じられることが、心の健康や生きる力を支える基盤になります。

 

けれども、その安全地帯が脅かされるとき、私たちの心は深く揺さぶられます。

今回は「家族という安全地帯が脅かされた時」に何が起きるのか、そしてそこからどう立ち直っていけるのかを考えてみたいと思います。

 

 


1. 家族が“安全地帯”である意味

 

家族はただ一緒に暮らす集団ではありません。
心理学的に言えば、家族は「安心の源泉」であり、「自己肯定感のゆりかご」です。

  • 失敗しても受け入れてもらえる
  • 弱音を吐いても大丈夫だと感じられる
  • 存在そのものを認めてもらえる

こうした経験が積み重なることで、人は外の世界に挑戦する勇気を持てるようになります。

 


2. 安全地帯が脅かされるときに起きること

 

では、その家族が安全地帯でなくなったらどうなるのでしょうか。

  • 常に緊張する
     家に帰っても安心できず、外と同じように気を張り続けてしまう。
  • 自分の居場所を失う感覚
     「ここにいていいのか」と不安になり、孤立感を強める。
  • 自己否定感の強まり
     家族から否定や無関心を受け続けると、「自分には価値がない」と思いやすくなる。
  • 外の世界での生きづらさ
     本来、家族からもらえる安心を受け取れない分、社会での挑戦や人間関係が苦しくなる。

家族という安全地帯が揺らぐことは、心の根っこを揺さぶる大きな体験なのです。

 

 


3. 典型的な“脅かされ方”の事例

 

(1)家庭内不和

夫婦げんかやDV、経済的困窮などが続くと、家族全体が安心できなくなります。

 

(2)自己愛的な支配

誰かが家族をコントロールし、他のメンバーが自由に意見を言えなくなる。安全ではなく「監視の場」になってしまう。

 

(3)病気や介護での負担集中

親の介護や病気の世話が一人に偏ると、その人にとって家は「休める場」ではなく「戦いの場」になります。

 

(4)秘密やタブーの存在

「このことは絶対に話してはいけない」という秘密がある家庭では、安心よりも緊張が漂います。

 


4. 心がどう反応するか

 

安全地帯が失われると、人の心はさまざまな形で反応します。

  • 怒り(「どうして私だけが」「なぜこんな家族に」)
  • 悲しみ(「本当は安心したかった」)
  • 諦め(「どうせ変わらない」)
  • 過剰適応(「自分が頑張ればなんとかなる」)

これらはすべて自然な反応です。ただし長く続くと、うつ状態や不安障害など心の不調につながることもあります。

 

 


5. 立ち直るためのヒント

 

(1)「安全」を感じられる場を外にもつ

家族以外に安心できる人や場所を持つことが大切です。友人、支援グループ、カウンセリングなどがその役割を果たします。

 

(2)境界線を引く

「これは自分の責任ではない」と切り分けること。家族の問題をすべて背負い込まないことが、自分を守る第一歩になります。

 

(3)小さな安心を育てる

すべてを変えることは難しくても、日常の中で「安心」を感じられる瞬間を増やすことができます。お茶を飲む、音楽を聴く、散歩をする──そうした時間が心の支えになります。

 

(4)専門家の力を借りる

安全地帯が大きく揺らいでいるときは、家族療法や心理相談、地域の支援機関を活用することも選択肢です。

 


6. 「新しい安全地帯」を築く

 

たとえ生まれ育った家族に安心を感じられなかったとしても、大人になってから「新しい安全地帯」を築くことはできます。
 

パートナー、友人、仲間、そして自分自身との関係の中に、「ここなら安心できる」と感じられる場所をつくることができるのです。

 

安全地帯は、一つではありません。
家族だけでなく、複数の場所に安心を持てることが、現代を生きる私たちにとっての大切な力になります。

 


7. まとめ──安心を取り戻すために

 

家族という安全地帯が脅かされると、人は深い孤独と不安を抱えます。
けれども、それをきっかけに「本当に安心できるつながりは何か」を見つめ直すこともできます。

  • 家族に安心を求めても得られないとき、外のつながりを頼っていい
  • 安全は“与えられるもの”ではなく、“築いていけるもの”でもある
  • そして、自分の中に「安心していいんだ」と許す感覚を育てることが、最大の安全地帯になる

あなたの心にとっての“安全地帯”は、必ずどこかに存在します。
それを守り、育てることが、人生を安心して歩んでいく力になるのです。

 

 

 

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