エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて -51ページ目

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『必死剣 鳥刺し』


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-L~00.jpg


【出演】
豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、戸田菜穂、村上淳、関めぐみ、小日向文世、岸部一徳、山田キヌヲ、矢島健一、油井昌由樹、つまみ枝豆、村杉蝉之介、前田健、高橋和也、木野花


【監督】
平山秀幸




“死ぬことさえ、許されない。ならば、運命を斬り開くまで”




時は江戸。
東北は海坂藩の近習頭取・兼見三佐ェ門には、消そうにも消せない過去があった。

物頭をつとめていた三年前、藩主・右京太夫の愛妾・連子を城中で刺し殺したのだ。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~14.jpg


右京太夫は連子に入れあげ、彼女にそそのかされるまま奢侈を重ねていた。
これを見かね諫言した重臣は切腹に追い込まれ、百姓一揆が勃発するなどして藩内は乱れていた。

「刃向かう者は、打ち首にすればよい」


最愛の妻・睦江を病で喪った三左ェ門にとって、失政の元凶である連子刺殺は死に場所を求めた武士の意地であり、確信犯としての行いでもあった。


斬首やお家取り潰しを覚悟する三左ェ門だったが、中老・津田民部から下された沙汰は「一年の閉門並びに降格」というあまりに軽いものだった。

「上様はなぜ私を生かす。なぜ死なせてくれぬのか……」


戸惑う三左ェ門だったが、津田が藩主に嘆願したため寛大に済まされたと聞かされ、温情に背かず刑期を過ごすのだった。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~15.jpg


そして一年の閉門後、再び藩主の傍に仕えることになる。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~16.jpg


腑に落ちない想いを抱きつつも、身の周りの世話をする亡妻の姪・里尾との日々の中で三左ェ門は再び生きる力を取り戻してゆく。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-es~07.jpg


一方、右京太夫は連子を失った後も身勝手極まる政策を続け、農村は疲弊にあえいでいた。

右京太夫の従弟であり、藩主家と対立しているご別家の帯屋隼人正は、次第に彼への不信の念を深めていく。


そんな時、隼人正が謀反を企んでいるとの噂を聞きつけた津田は、三左ェ門を呼び寄せる。

それは、彼を天心独名流の剣豪だと知っての相談であり、「鳥刺し」という必勝を「お上のために役立てろ、守れ」という密命であった。

「ご別家は直心流の達人だ。倒せるのはお前しかいない」
「鳥刺しは、絶体絶命の時に使いますので」

しかし、この密命には重大な裏があった!


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~17.jpg


待ち受ける隼人正との決着の日……。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~13.jpg


三左ェ門は、想像を絶する過酷な運命に翻弄されていく!


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~12.jpg




仁義と愛慕。武士道と政道。組織と個人。男と女。生きるほどに生じる運命の不条理を描く時代劇。


剣豪ゆえに陥る宿命に対し、最後は己を爆発させる主人公の姿は、人生のままならなさ、人はいかに命を全うするかという永遠の問いを観る者の胸に刻みこむ。


そして激烈なクライマックス!
15分にも及ぶ壮絶な殺陣シーンは圧巻!


ともに正義を貫く男気あふれる武士同士ながら、何の因果か対決する羽目になる二人。

実はこの対決、巧妙に仕組まれていたものだった。

三左ェ門に連子を殺され、「即刻、打ち首じゃ!」と怒り狂う右京太夫に、津田がこう進言したのである。

「三左ェ門は剣の達人です。殺してしまうには惜しい男。いずれご別家(隼人正)は、殿に反旗を翻し襲ってくるのは目に見えております。となれば、ご別家を倒せるのは三左ェ門しかおりませぬ。それまで生かしておくのが得策かと。その後のことは私にお任せください。よい考えがございます」


こうして三左ェ門と隼人正は不本意ながらも決着をつけることと相成り、死闘の末に三左ェ門が勝利し、隼人正は絶命する……が。

「お見事じゃった、必死剣!」
「いえ、今のは必死剣などではございません」

と、いきなり津田は言い放つ。

「三左ェ門が乱心じゃ!ご別家を斬り殺しおった!斬り捨てい!」

津田の策略にまんまとはまった三左ェ門に大勢の武士たちが襲い掛かる。

ところが、三左ェ門は‘峰打ち’で対抗。
自分を斬ろうと襲い掛かってくるとはいえ、みな同じ藩の同士だけに斬ることができない。

しかしそれでは限界がある。三左ェ門は深い傷を負い……遂に刃を表に向ける!

満身創痍の状態に陥りながらも斬って斬って斬りまくり、血が飛び散る!
が、多勢に無勢で遂には力尽きた……と思いきや、最後に放たれる‘必死剣’で津田を‘鳥刺し’にして恨みを晴らした末に……絶命!

「使うものは半ば死んでいる」という必死剣は、まさに「放つために半ば死ぬ」必要があるのです。


策略、裏切り、人生の不条理という過酷な運命の中で、三左ェ門が貫こうとした異常なまでの信念が凄まじい。


このラスト15分の殺陣シーンは、それまではどちらかと言うと静かな展開だっただけにインパクト大!

『浪人街』や『切腹』のクライマックスの殺陣シーンもド迫力でしたが、この作品もそれに匹敵する凄さがありました。



悲運の剣の達人・三左ェ門の豊川悦司、三左ェ門の姪でありながら密かに想いを寄せる里尾の池脇千鶴、こちらも悲運の剣の達人である隼人正の吉川晃司、そして憎らしいまでの悪役・津田の岸部一徳と役者陣が素晴らしい。

それから関めぐみの悪女ぶりもハマっていた。



エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-s.jpg

今夜からスタートした『秘密諜報員エリカ』。


栗山千明のアクションを観ていたら……あのGOGO夕張を思い出してしまった(^^;


『樺太 1945年夏 氷雪の門』


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-s~01.jpg


【出演】
二木てるみ、鳥居恵子、岡田可愛、木内みどり、北原早苗、藤田弓子、千秋実、若林豪、島田正吾、丹波哲郎、三上真一郎、藤岡重慶、黒沢年男、佐原健二、今福正雄、赤木春恵、田村高廣、南田洋子、浜田光夫、栗田ひろみ、織本順吉、久米明、岸田森、中条静夫、平泉征


【監督】
村山三男




“「みなさん、これが最後です、さようなら、さようなら……」
9人の電話交換手の乙女は、何故死を選んだのか!”




1945年夏、太平洋戦争は既に終末を迎えようとしていたが、戦禍を浴びない樺太は、緊張の中にも平和な日々が続いていた。

しかし、ソ連が突如として参戦、日本への進撃を開始。
北緯50度の防御線は瞬く間に突破され、ソ連軍は戦車を先頭に怒濤のごとく南下してきた。

戦禍を被った者たちは、長蛇の列をなして西海岸の真岡の町をめざす。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~10.jpg


真岡電話局の交換嬢たちは、4班交代で勤務に就いていた。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~05.jpg


関根律子は、みんなをまとめる班長だ。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~07.jpg


彼女たちの中には、原爆を浴びた広島に肉親を持つ者がいる。最前線の国境に恋人を送りだしたものがいる。戦火に追われて真岡をめざす姉を気づかう者がいる。


刻々と迫るソ連軍の進攻と、急を告げる人々の電話における緊迫した会話を、胸の張り裂ける思いで聞き入るほかになすすべがなかった。


8月15日。全く突然に終戦の報がもたらせられる。

敗戦国の婦女子がたどる暗い運命、生きられるかもしれないという希望、様々な思いが交錯する中で、樺太全土に婦女子の疎開命令が出た。

一人、また一人と、交換嬢たちも引き揚げて行く。

だが、その中には命令に従わず、決死隊としてその編成に参加し、交換手として職務を遂行しようと互いに励ましあい、責任を果たそうと心に誓う20名の乙女たちがいた。


ソ連の進攻は依然として止むことなく、むしろ激しさを増す。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~06.jpg


「戦争は終わったのではないか?これはどういうことだ!?」


8月20日、霧の深い早朝……突如、真岡の町の沿岸にソ連艦隊が現われ、艦砲射撃を開始!
町は紅蓮の炎につつまれ、戦場と化す。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~08.jpg


この時、第一班の交換嬢たち9人は局にいた。
緊急を告げる電話の回線、町の人々へ避難経路を告げ、多くの人々の生命を守るため、彼女らは職場を離れようとはしなかった。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~04.jpg


じりじりと迫るソ連兵の群。取り残された9人の乙女たち。胸には青酸カリが潜められていた。

局の窓から迫るソ連兵の姿が見えた。
路上の親子が銃火を浴び倒れる。
もはや、これまでだった。
律子はたった一本残った回線に……


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-i~09.jpg


「みなさん、これが最後です。さようなら、さようなら」
と告げると静かにプラグを引き抜いた……。




ソ連の侵攻作戦のただなかで、最後まで通信連絡をとり、若い生命をなげうった真岡郵便局電話交換手9人の乙女の悲劇を描いた真実の物語。



戦争は終わったはずなのに、なぜ彼女たちは死を選ばねばならなかったのか?
その深層に挑み、根底に流れるは平和への願い。


交換手の女性たちは、全員が10代後半~20代半ばまでと皆、若い。
職場を離れればどこにでもいる普通の女の子たちで、楽しくお喋りし、おしるこ会を開いてレコードを聴き、恋人もいる。

しかし、電話交換手の業務を最後までやり抜くという決意は何があろうとも揺るがない。

「私たちが仕事を投げ出して疎開したら、残された人たちはどうなるんですか!通信不能になって、混乱するのは目に見えています。私たちは、最後まで残ります!交換手の仕事を続けます!」



戦争の犠牲になるのは、女、子供、老人……悲惨な場面の連続に心が痛む。

「戦争は終わったのに、どうして!」
この悲痛な叫びが、胸に迫ります。



この映画、実は幻の作品だった!

1974年当時、日本の映画界にしては珍しく、製作費が5億を超えた超大作として話題を呼んだらしい。

戦闘シーンを陸上自衛隊が全面協力し、広大なオープンセットを組み、且つ豪華キャスティングと、スケールが大きい。

ところが公開直前に……急遽、公開中止となってしまう!

その理由は、当時のソ連大使館から外務、文部両省に「反ソ映画の上映は困る」との抗議により、配給会社が自粛に至った……という。

その後、北海道と九州で2週間の限定で劇場公開されたものの、実質的には日の目を見ることはなくお蔵入りしていたのです。

確かにソ連軍はまさに極悪非道の限りを尽くす鬼畜のように描かれているので(何の罪もない民間人の婦女子を容赦なく撃ち殺すなど)‘反ソ’映画だと受け取れる側面もあるけれど……ただこの映画の最大のテーマは‘反ソ’ではなく‘反戦’。

「どうして戦争なんかやるのよ!」
と子供を殺された母親が泣き叫ぶ台詞からも明らか。


そして2004年、唯一残されていた貴重なフィルムが発掘され、新しくデジタル処理を施し、36年の時を経て2010年にやっと劇場公開されたという曰くつきの作品です。



戦艦が進攻してくるシーンの特撮はミニチュア然としていてかなりちゃちいけれど、戦車は(10台以上が列を成して進んでくる)本物を使用しているためかなりの迫力。


それから当然ながら役者陣がみんな若い!(古い映画を観るのって、これがなにげに面白い)

二木てるみは『赤ひげ』での演技が印象強いですが、この作品でも好演。

あと岡田可愛が超可愛いのでビックリ。(なんとバレーボールをするシーンもある。『サインはV』を意識?)