エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて -20ページ目

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『ハワイ・マレー沖海戦』


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【出演】
伊東薫、英百合子、原節子、加藤照子、中村彰、藤田進、大河内傳次郎、木村功、花沢徳衛、田中春男、進藤英太郎


【監督】
山本嘉次郎


【特撮】
円谷英二




“映画に再現!真珠湾撃滅!”


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「僕はどうしても飛行機乗りになりたい!そして御国のために戦いたいんです」

田舎に住む平凡な少年・友田義一は、母、姉、妹の家族に別れを告げ、海軍パイロットになるため土浦の予科連に入校する。


団体生活の中、海軍精神を注入され、また厳しい訓練を耐え抜いて、3年後に晴れて念願のパイロットに昇格。


やがて日本は真珠湾攻撃を敢行!


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こうして太平洋戦争へと突入していくのであった。


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ひとりの少年航空兵が軍隊の猛訓練に耐え抜き、真珠湾奇襲に向かうまでをドキュメンタリータッチで描く、太平洋戦争開始1周年を記念し国威向上映画として作られた戦争スペクタクル。


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昭和17年、まさに太平洋戦争の真っ最中に、海軍省の命令によって東宝が製作した戦意昂揚映画。

いきなり……
検閲、後援:海軍省
企画:大本営海軍報道部
とのスーパーが映し出されたのにはビックリ。


前半は海軍のパイロットを目指す少年の予科練の生活を詳細に描き出すことに費やされる。
(その合間に家族とのふれあいを挟みつつ)


後半は真珠湾攻撃に至るまでの航空母艦内の生活が詳細に描かれ、特撮を用いた攻撃シーンへ。

最後は、仏印基地から発進した攻撃機が米軍艦を撃沈し、大本営が米英軍との戦闘状態突入を発表するまでを描いています。


単なる戦意昂揚作品ではなく、そこにリリカルな味わいを醸し出しているあたりに、山本嘉次郎監督の思いが表れている?


そして歴史的史料価値もある貴重な映画だと思います。
何たって戦時中に製作、公開された訳ですから。

リアルタイムで進行しつつある戦争をそのまんま描いているので、どこまでがホンモノで、どこからが演出なのか区別がつかなくなってくる。

予科練のシーンは、実際の土浦航空学校で撮影されており、本物の練習生による訓練風景が挿入されるのも興味深いものが。
ボート、相撲、マラソン、器械体操、はたまたラグビーまで取り入れていたんですね。

教官はやたらとこの訓示を垂れる。
「海軍に大切なものは、攻撃精神、犠牲精神、服従精神だ!そして根性と気合いだ!気合いを入れれば不可能などない!気合いで米国に勝つ!」

こうして当時の若者たちは(延いては日本全体が)洗脳されていったのか!?

ただ戦争映画にありがちな‘鉄拳制裁’シーンは全く出てこない。
教官たちは、厳しい中にも親心的な優しい部分を兼ね備えた人格者ばかりで、予科練の生活は笑いも絶えず意外とほのぼのとした描写。(そう演出せざるを得なかったのでしょうが?)

教官と練習生の関係は良好そのものです。(実際のところはどうだったのか?)

海軍航空隊が、統制が取れていて、規律、団結力も優れている……などとにかく魅力的に描かれているので、これを観た当時の若者は、思わず予科練に志願したくなったのでは?(海軍省の思惑が見え隠れするようです)


真珠湾奇襲攻撃とマレー半島沖の艦隊急襲をクライマックスにした内容で、当時の劇場では興奮した観客の万歳三唱の声まで起こったらしい。
が、その頃の日本は……既に敗北の道を歩み始めていたことを考えると、皮肉であり虚しくもある。


でも興奮するのも納得のマレー沖攻撃のクライマックスだ!

「機長!もう帰りの燃料しかありません!」
と報告する部下に、
「基地へ帰るとは思うな!」

するとその部下は爽やかな笑顔を浮かべ……
「はっ!それならまだ充分に燃料はあります!」
「よし!」

しかも……攻撃時にバックに流れる曲は……なんとワーグナーの「ワルキューレの騎行」なのだ!

『地獄の黙示録』での爆撃シーンで流されたインパクト大のあの曲が、なんとそれよりも遥か昔の日本映画で使用されていたとは!
これには驚きでした。

コッポラがこの映画の影響を受け、自分の作品でも使った……なんてことはなく、ただの偶然でしょうけどあせるあせる

勇壮な曲と共に、日本軍の攻撃で炎を上げながら沈没していく敵艦隊。
こんなの観せられたら当時の観客のテンションは異常に高ぶったことでしょう。

日本軍大勝利の結末の中、エンディングではこれまた勇壮な「軍艦マーチ」がフルバージョンで高らかに鳴り響く!

こりゃあ「万歳三唱」も起きるわなぁ。嫌でも熱い気持ちになりますよ。

では危険なプロパガンダ映画かというと、決してそういう訳でもない。
庶民が楽しめる最高の戦争エンタメ映画とも云える。

名匠・山本嘉次郎監督は誠実な作風を交えて、プロパガンダとエンタメのバランスを見事に保ちつつ、自分の主張もきちんと取り入れています。(少年と家族とのくだりに、それが如実に表れている)



それから、あの円谷英二によるミニチュアの特撮は、60年も前の作品とは信じられないくらいの精巧さ。
部分的に実際の海戦で撮影された映像も挿入しているため臨場感抜群で、特撮と実写の区別がつかない場面もあるほどだ。
(モノクロ映像なので粗が隠れるという利点も)


戦後にこの映画を観たGHQが「攻撃シーンはすべて実戦の実写記録フィルムだ」と勘違いして疑わず、東宝にフィルム提供を強要したエピソードは有名。

それくらい円谷の特撮は優れており、これが後に『ゴジラ』で一気に開花する!



古きよき日本映画の雰囲気を堪能しながら、当時の世相を反映して観ると非常に興味深い作品かと思います。



ちなみに、スタッフ名だけでなく、監督やキャスト陣の名前もノンクレジット。
これはなぜ???

若き日の原節子が清楚で可憐で美しすぎる!

そして藤田進は、やっぱり演技が下手あせるあせる
でもその存在感は秀逸!

『BU・SU』


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【出演】
富田靖子、大楠道代、伊藤かずえ、高嶋政宏、丘みつ子、イッセー尾形、藤代美奈子、白島靖代、室井滋、広岡由里子、輪島功一、中村伸郎、すまけい


【監督】
市川準




“どつぼにはまって、さあたいへん”




あと50年、生きなければならない人たちへ。


18歳になる森下麦子。


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片田舎の海辺の街で生まれ育ち、性格のひねくれた暗い女の子。


そんな‘心のブス’を治すためひとり上京し、置屋を営む叔母・胡蝶のところで鈴女という名前をもらい芸者見習いをしながら高校に通うことになるが……。


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初めてふれる東京。
同級生たちのいじめ。
クラスメートでボクシング部の津田邦彦との出会い。
厳しい芸者修業。


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そんな時、文化祭で「人形浄瑠璃・八百屋のお七」を演じることになり……麦子の中の何かが変わっていく。


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性格が‘ブス’な女の子が、上京して様々な経験を重ねる中で自分の殻を打ち破って成長していく姿を描く青春ドラマ。


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田舎でイロイロなことがあり、誰に対しても心を閉ざしてしまった麦子が、東京での生活を通して少しずつ変化する様が綴られてゆきます。


全編にわたって重苦しい内容だけれど、ラストはとても爽やかで後味もよい。

エンディングに流れる原由子の「あじさいのうた」が、これまたいい!



主人公の麦子を演じた富田靖子は、全編まったく笑顔なしの無表情で(それだけに最後の最後で見せる笑顔は印象に強く残る)無口な女の子という設定のため台詞も極端に少なく、心を閉ざした女子高生を見事に演じ切っている。

1987年製作なので『さびしんぼう』の次に主演した作品かと思いますが、富田靖子が最も輝いていた時代ですね。
凄く魅力的で、ホント可愛いの一言。



ところで80年代の高校生の髪形やメイク、ファッションが、いま観るとかなり変あせるあせる

特に超ぶっとすぎる眉毛と、ヘソよりもかなり上にある深い股上のジーンズが異様(笑)。


そして驚くべきことに(?)高嶋政宏がなんと高校生役!
といっても当時は二十歳くらいでしょうから、高校生を演じても別に不思議ではないんだけど、見た目がやたらと大人っぽいので違和感バリバリです。
でも、まだ拙い演技が初々しい。


あと『櫻の園』の白島靖代が台詞なしのワンシーンだけ出演している。
やっぱ綺麗です、この人。(最近、見かけないけど)


『ランナウェイズ』


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【キャスト】
クリステン・スチュワート、ダコタ・ファニング、マイケル・シャノン、ステラ・メイヴ、アリア・ショウカット、テータム・オニール


【監督】
フローリア・シジスモンディ



“70年代、平均年齢わずか16歳で、男社会のロック界に殴り込みをかけた実在のガールズバンド!”


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1975年、ロサンゼルス。

ロックスターを夢見る15歳のギタリスト、ジョーン・ジェットは、クラブで出会った音楽プロデューサーのキム・フォウリーに自分を売り込む。

キムはドラマーのサンディ・ウェストをジョーンに紹介し、ほどなくしてリード・ギターのリタ・フォード、ベースのジャッキー・フォックスが加入……10代の女の子だけのバンドを組ませるが、何かが足りない。

そんなある夜、二人はクラブで美しい金髪の少女、15歳のシェリー・カーリーと運命的に出会う。

「理想のボーカルがいた!」


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男まさりなジョーンたちに、セクシーでキュートなルックスのシェリーがボーカルとして加わり、こうして5人編成のガールズバンド‘ランナウェイズ’が結成され、遂にはマーキュリーレコードからメジャーデビュー!


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平均年齢16歳の力強いサウンドにセクシーでグラマラスなボーカルと卑猥な歌詞の「チェリー・ボム」が話題となり、その人気は米国からやがては世界中にへと飛び火していくが……。


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しかしその成功と引き換えに、バンドは数々のトラブルを抱えることになり……。


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1970年代の音楽シーンに彗星のように登場した実在のガールズバンド、ランナウェイズの内幕に迫る青春ロックムービー。


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十代のシェリーが下着姿で歌う過激なガールズバンド‘ランナウェイズ’。

当時、日本ではアイドル的な大人気となり、武道館ライヴも行うほどだった。
ところがそのピークは、デビューしてわずか1年間。

意外にもアメリカではアルバムセールスもたいしたことはなく、むしろロックファンからはキワモノ扱いされ、無視されていたらしい。

ただサウンドは、グラムからパンクへの過渡期を感じさせるものがあり、「チェリー・ボム」などはいま聴くとかなりカッコイイ。


本作は、そんなランナウェイズの内幕を描くと同時に、華やかなステージの裏でシェリーが家族の問題で悩んでいた事実も明かされていく。


シェリー・カーリーの原作で、ジョーン・ジェットが監修を務めているため、作中で描写されているシーンはほぼ真実なのだろう。

デビューのきっかけに始まり、トレーラー内でのレッスン、ライヴ直前でのセックス、酒、ドラッグ、トリップしての乱痴気騒ぎ、メンバー間の確執、シェリーのレコーディング拒否と失踪、そして脱退から解散まで。


物語はその後のシェリーとジョーンの姿も追っていく。

ドラッグの影響で精神を崩したシェリーは入院。ようやく退院してからは、家族の元へ帰り(双子の姉がいる)女優の道を目指しつつ、雑貨屋でアルバイトの日々。


一方のジョーンは新たに結成したバンド、ジョーン・ジェット&ブラックハーツで再デビューを果たし、「アイ・ラブ・ロックンロール」を大ヒットさせてスターダムにのし上がる。

解散後、まさに明と暗に分かれる二人。



ところで、メンバーの結束が崩れていく発端になったのが、シェリーがみんなには内緒で単独で撮影したセクシーグラビア。

雑誌に掲載された写真を見たメンバーは大激怒。

「アタシたちは女優じゃなくロックミュージシャンだ。こんな写真を撮らせてたら色物に見られる!」
「ルックスで勝負するんじゃなくてサウンドで勝負だろ!」
「あんたはマリリン・モンローになりたいのか!?」

シェリーは、
「マスメディアを利用してバンドを売るのも必要でしょ」
と反論。

好きなロックをやれているだけで満足のジョーン以外のメンバーの不満が更に爆発する。

「結局、アタシらはあんたのバックバンドかよ!いっつもセンターで目立ってて、こっちは脇役だ!」

こうしてメンバーの溝は、完全に深まっていく。


ちなみにシェリーのグラビアが掲載されたのは日本の雑誌で、撮影したカメラマンこそ……若き日の篠山紀信だったんですね。 (撮影風景も出てきます)


ランナウェイズが日本に来日するシーンも登場。
日本に到着する直前にシェリーとジョーンが機内のトイレに駆け込み、おもいっきりドラッグを吸った後にそれをトイレに流し捨てるというリアルな描写も!

日本では熱狂的ファンが殺到し、歌番組にも出演。
ランナウェイズの日本での異常ともいえる大人気の過熱ぶりが紹介されている。

ただ……日本料理屋で芸者が給仕をしていたり、ホテルの部屋がベタな和室だったりなど、思わず笑ってしまうところもありましたが、これはご愛敬ってことであせるあせる



尚、シェリーはデヴィッド・ボウイの(学校の文化祭でボウイの口パクを披露するシーンもある)ジェットはスージー・クアトロのファンだったようだ。



黒髪のギタリスト、ジョーン・ジェットを演じたクリステン・スチュワートが超カッコイイ!(しかもジョーンにそっくり)
ギターを構えた姿も様になっています。



「チェリー・ボム」のライヴシーンが最高!

‘ハロー、ダディ ハロー、マム チッチッチッチッチッチッチッ、チェリー・ボム♪’