Denise LaSalleを知ったのは、彼女がSouthern Soulの名門Malaco Recordsに移籍してからだ。Malacoは80年代のSouthern Soulの救世主的存在として、充実した作品を次から次に世に送り出してきた。評論家Peter Guralnickをして"The Last Soul Company"と言わしめたMalacoは、Mississippi州のJacksonに62年に設立されたIndependent Record Labelである。70年代後半のMalacoは一流のGospel Musicianが集まりGospel市場で成功を収めた。そしてColumbiaを離れ南部に戻ったZ. Z. Hillが79年にMalacoと契約したことによって80年代のMalacoはStax以降のSoul、Bluesを伝統を継承したSouthern Soulの新たな夜明けを迎えることになる。一方、Denise LaSalleは元々SingerとしてよりもSongwriterとしてキャリアをスタートし、まずはWestbound Records、 Tennessee州Jacksonに移ってからはABC Recordsで自身のアルバムを発表してきた。そして、ABCがMCA Recordsに買収された後、3枚のアルバムを残し、82年にMalacoとSongwriterとして契約を結んで、Z. Z. Hillの曲を書き、自分自身もRecordingするように説得されて83年に名作『Lady in the Street』をリリースするのである。それからDenise LaSalleは15年間、MalacoでRecordingを続け、彼女のR&B、Soul Blues、Soulは南部のラジオ局で流れ続け、アルバムは高い評価を受けることになるのである。自分は、そんなわけでMalacoのDeniseを知って過去を遡って聴いてきたのだが、MemphisのHiで録音されたDebut Album『Trapped By A Thing Called Love』からずっとQualityの高い作品を世に出し続けてきたのには脱帽である。Songwriterとしての才能と、GospelとBluesをRootsに持った、ゆったりと懐が深く温かく、時に官能的なVocalは、いわゆる熱唱タイプのSouthern Soulとは一味違った魅力で楽しませてくれる。
『Right Place, Right Time』はDenise LaSalleが84年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は次作のタイトル曲“Right Place, Right Time”。いきなりLatimoreとのDeepなBallad。
“He's Not Available”はDeniseの語りから入り女性Chorusと絡む軽快なノリのFunky Tune。
Jimmy Lewis、Frank Johnsonと共作した“Treat Your Man Like A Baby”はBluesyなハチロク系のMidium。ここでも女性Chorusとの絡みがイイ感じ。
Frank Johnson作の切ないBallad “Good Man Gone Bad”。熱唱でhなくグッと抑えてSoulfulに迫るDeniseのVocalはやっぱり最高。
続いてもFrank Johnson作の軽快なハチロク系“Boogie Man”。心地良いShuffleのBeatにのってDeniseの艶っぽいViocalが冴えわたる。
B面1発目はDenise自作のBluesyな“Your Husband Is Cheating On Us”。コレだよコレなDeniseの本領発揮の歌いっぷりに心奪われる。
Denise LaSalle自作の“Why Does It Feel So Right”は必殺のSoulfulなBallad。さりげなくStringsが寄り添い、Gospelの香りも漂い、これは最高。
Sam Dees作の“Keep Your Pants On”はHorn隊とドッシリ腰を落としたリズム隊、女性ChorusをバックにDeniseが力強く歌い上げる。Sax
ソロもイイ感じ。
“Bump And Grind”は泣きのギター、そしてDeniseの語りから入るBlues。この曲もドッシリ地に足の着いたリズム隊にのってDeniseは貫禄の歌いっぷり。
アルバム最後をシメるのは“Love School”。Horn隊を従えて女性Chorusとの掛け合いがイイ感じ。
(Hit-C Fiore)