Tamam ShudはAustraliaのNewcastleで60年代から70年代前半に活動していたPsychedelicなSurf Rock Band。最初はInstrumental Surf Band The Four Strangersとして60年代に結成され、何度かのメンバー・チェンジやThe Sunsetsなどといったバンド名の改名を経て67年にTamam Shudを名乗るようになった彼らは、2枚のアルバムをリリースして72年に解散している。Surf RockからThe Rolling Stonesに影響を受けたR&Bを演奏するようになり、The Sunsetsというバンド名を名乗っていた頃、バンドはSydneyに渡り、さまざまな会場で定期的に演奏するようになる。そして、65年にLeedon LabelからSingle“Bye Bye Goodbye”、翌年には、ご機嫌な“When I Found You”をリリースしている。翌67年にはFestival Recordsから“A Life in the Sun Theme”、“Love's Face”、“The Hot Generation”と3枚のSingleと7", EP『 A Life In The Sun』をリリースする。これらの曲は、Paul Witzig監督の2本のSurf映画に使われていたのだった。ギターのAlex "Zac" Zytnik、VocalとギターのLindsay Bjerre、ドラムスのDannie Davidson、そしてベースがEric ConnellからPeter Barronに交代して、バンドはその年の暮れにTamam Shudに改名し、The Jimi Hendrix ExperienceやPink Floyd、Eric Burdon and The Animals、The Grateful Deadに影響を受けたPshychrdelicな香りを放つRockを志向するようになる。SydneyでTullyらとも連携していた映画とLight Show集団Ubuと共同で演奏するようになり、68年の暮れにDebut Albumとなる本作『Evolution』が録音されるのだった。Paul Witzig監督の同名映画のSoundtrackに、そこから4曲が使用されている。バンドは、その後、69年にギターのZytnikが脱退して後にRose Tattooにも加入する天才ギタリストTim Gazeが加入して70年に『Goolutionites and the Real People』をリリースしている。こちらも素晴らしい作品である。
『Evolution』はTamam Shudが69年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目は“Music Train”と“Evolution”から成る組曲。気怠いVocalに唸りをあげるギターがPsychedelicな香りを放ち、Hard Rockに展開していく。凶暴なギター・ソロがイイ感じ。
Acoustic Guitarの弾き語り風で始まる“I'm No One”。ここでも途中から登場する歪ませたギターが存在感を放つ。
イントロから惹きこまれる疾走感に満ちた“Mr Strange”。アコギのイントロに歪んだPsychedelicなギターが乱入。Tensionが揚がる。
“Lady Sunshine”はゆったりしたBeatにのって、Vocalが熱唱する。ギターのArppegioがイイ味を出している。ギター・ソロもカッコイイ。
“Falling Up”は不穏な雰囲気で始まり、EvilなギターのRiffにのってVocalが厳かに歌い出すStarangeなナンバー。
BluesyなギターのRiffがご機嫌な“Feel Free”は歪んだギター・ソロがPsyche入ったHard Boogie。
“It's A Beautiful Day”はいかにも60年代後半のAcidな空気を纏った曲だが、ここでもギターがRiffにソロに存在感を放っている。
“Jesus Guide Me”はPsychedelicな中にBluesyな雰囲気が漂うのがイイ感じ。
“Rock On Top”も不思議な魅力を持った3拍子のナンバーで、アルバムで一番のお気に入り曲。力を抜いたVocalと歌いまくるギターが最高。
じっくり歌い上げるBalladの“Slow One And The Fast One”はSimpleな演奏が良い。ユッタリしたリズム隊にのったEdgeの立ったギター・ソロがカッコイイ。後半はTempoを上げてギターを中心にガシガシ攻める。
アルバム最後をシメるのは“Too Many Life”。Psychedelicなギターの弾き倒しが良し。
(Hit-C Fiore)