BBC Jazz For Moderns/The Tubby Hayes Band | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 英国が生んだ偉大なるTenor Sax奏者 Tubby Hayes。Tubbyの未発表Live Albumは結構な数を集めてきた。今年、生誕90周年を記念してリリースされた『Antibes '62』や数年前にも『Live At The Flamingo 1958』や『No Blues ? The Complete Hopbine ‘65』なんてのがリリースされたりした。豪快でありながら歌心溢れたフレーズを繰り出すTubby。それでいて、50年代後半に鮮やかにLondon Jazz Sceneを駈けぬけた盟友Ronnie Scottとの双頭Combo The Jazz Couriersに特に感じられるように、たまらなく英国的なJazz、それはEast CoastやWest CoastともItalyやFranceのJazzとも違う香りをふりまき、一度魅了されたら、その底なし沼から抜け出せない魅力を持っている。だからTubbyのアルバムが出ると聞けば、無条件に手に入れたくなってしまうのである。それは同じ英国出身の大好きなTenor Sax奏者Dick Morrissey同様に、Hard Bop魂が炸裂し、清々しいほど剛直でRollinsに負けじとフレーズを繰り出していく中に、ふと英国の曇り空を思わせる詩情が垣間見えるところが好きなのである。さて、本作は15年ほど前に世に出たTubbyの完全未発表のBBC音源である。自分は、この頃からアナログを積極的に買うようになっていた頃で、この盤も個人的に思い入れがあるものである。The Tubby Hayes Bandのメンツは、Pianoにお気に入りのGordon Beck、Drumsに大好きな英国の名手Allan Ganley、BassにFreddy Logan、TrumppetにJimmy Deucharというお馴染みのメンバーにAlto Saxophone、FluteのJohnny Scott、Baritone Sax、ClarinetのHarry Klein、French HornのAlan Civil、TenorとBass ClarinetのVic Ash、同じくTenor、Bass Clarinet、そしてOboeのBob Efford、TromboneにKeith Christie、Valve TromboneにKen Wray、TrumpetにBobby PrattEddie Blair、HarpにDavid Snellという大所帯。Tubbyは勿論TenorとVicraphoneを演奏している。

 

 『BBC Jazz For Moderns』はThe Tubby Hayes Band62年BBCで録音した未発表音源のアルバム。

アルバム1発目はTubby自作の“Take Your Partners For The Blues”。いきなりキレの良いBig Band Jazzが始まる。TubbyのTenorの出番は多いとは言えないけれど、コレはコレで実にカッコイイ。最後をシメるHarpもイイ感じ。

ここで出ましたHorace Silverの名曲“Peace”。なんとなく英国のPastralな風景を思い起こすEnsembleが良い。ここでもHarpがイイ味を出している。それにしてもTubbyのTenor Saxは実に良く歌う。思わず聴き惚れてしまう。

ここから3曲Tubbyの自作曲が続く。まずはTubbyがVibraphoneを叩く“Souriya”。これがご機嫌な男前指パッチンJazzAllan Ganley心地良くSwingするBeatにのってVibraphoneもHard Bopな心意気満点のフレーズが飛び出す。

同年にFontanaからリリースされたRonnie Scott's Jazz Clubでの名Live盤Down In The Villag』からタイトル曲。グッとTempoを落とした演奏は雰囲気タップリのBritish Jazz。TubbyがVibraphoneを叩く指パッチンJazzから、こちらは英国情緒漂うJazz Orchestraに仕上がっている。Torombonソロに続いてTenor Saxソロが始まるところは思わずオッとなるが、短すぎもう少しソロが聴きたい気もする。

最後をシメるのは“Early Morning Afterthoughts”。この曲も何かが始まりそうなイントロが実に素晴らしい。FluteとTrumpetがUnisonで奏でるMelodyが実に魅力的だ。続くJohnny ScottFluteソロがご機嫌である。そしてAllan Ganleyのドラム・ソロ、Gordon Beckのピアノ・ソロ、TubbyのTenor Saxソロが短いながらも最高に輝いている。

In The Night/Tubby Hayes

(Hit-C Fiore)