Dominguinhosのこのアルバムは聴いていると本当に心が和むのである。いうまでもなく優れたSanfoneiroであり、Composer、そしてSingerとしても才能と魅力にあふれた音楽家であったDominguinhos。Brasilで最も歴史のある地域といわれる北東部のPernambuco州はGaranhunsに16人兄弟を持つ大家族の一員として生まれたDominguinhosことJosé Domingos de Moraisは、父親Mestre Chicãoが有名なSanfoneiroで、幼少時にSanfonaをプレゼントされて、6歳の時から楽器の演奏を学び演奏を始めたという。Street Marketやホテルのドアなどで演奏してはお金をもらっていたDominguinhosは、Sanfoneiroとして瞬く間に腕を上げてGaranhunsで"Neném do Acordeon"として知られるようになっていった。そして "The King of Baião"と呼ばれた、ForróやCocoといったNordesteに伝わる音楽をBrasil全土に広げた伝道師Luiz GonzagaにGaranhunsのホテルで出会ったのだった。DominguinhosはGonzagaから彼が住むRio de Janeiroに行くように誘われたのだった。GonzagaのShowやRecordingに出入りするようになったDominguinhosはNight Clubでの演奏やラジオ番組への出演も続け、SambaやChorinho、といった音楽スタイルを学んでいき、57年にGonzagaから独立してForró Group Trio Nordestinoを結成するも翌年脱退、64年に1stソロ・アルバム『Fim De Festa』をリリースする。その後2枚のアルバムを制作して67年には再びGonzagaのGroupに戻っている。そこでComposer、Arranger、Sanfoneiroとしてさらなる名声を獲得しただけでなく、ソロとしても70～80年代にForróのようなNordesteに伝わる音楽にBossa NovaやJazzなどさまざまな音楽の要素を取り入れてジャンルを超えた活躍を続けていくことになるのだった。ギターにHeraldo Do Monte、ベースにGrupo Medusaの名手Claudio Bertramiが参加している。
『Quem Me Levará Sou Eu』はDominguinhosが80年にリリースしたアルバム。RCA移籍第一弾は80年代ど頭を飾る隠れた名作。
アルバム1曲目はA Cor Do Somのヒット曲でGilberto GilをFeatureしたReggae調の“Abri A Porta”。いきなり陽気なSanfonaの音色が飛び出すご機嫌なOpener。DominguinhosとGilの多幸感に満ちた歌声もGal CostaのChorusも最高。GilとDominguinhosの共作曲。
これまた、いきなり生命感に満ち溢れたSanfonaに心奪われてしまうインスト曲“Forró Em Rolândia”。
甘やかなイントロに思わずウットリする“Fulô De Araçá”。DominguinhosのまったりしたVocalがこれまた極楽気分。
“Te Cuida Jacaré”はキレキレで躍動するSanfonaに惹きこまれてしまうインスト曲。
思わず腰が動き出す“Sete Meninas”は楽しそうに歌うDominguinhosが良い。
“Tudo É São João”はタイトル通りJoão Donatoを彷彿とさせる軽快で魅力的なMelodyを持ったナンバーでChorusとの掛け合いも良し。
師匠Luiz GonzagaをFeatureしたユッタリマッタリの“Quando Chega O Verão”。
軽快でほんのり哀感に満ちたところが良いインスト曲“Chorinho Pra Guadalupe”。
夏の終わりに聴きたくなる“Quem Me Levará Sou Eu”はRoomanticなDominguinhosのVocalに酔いしれる。
DominguinhosのSanfonaの超絶技巧が炸裂するインスト曲“Homenagem À Mestre Chicão”
Nordesteの香りがたまらない“O Cortador De Cana”はHeraldo Do MonteのギターとChorusがイイ味出している。
アルバム最後を飾るのは陽気なSamba調のインスト曲“Cabaré De Bandido”。
（Hit-C Fiore）