◎Carefull/Jim Hall
Jim Hallは本当に奥が深いギタリストだ。 Jim Hallといえば、Gibson ES-175のイメージであるが、この映像ではD'Aquisto Hollow Body Electricのギターを弾いている。 Chico Hamiltonと演奏していた時はGibson Les Paul Customを弾いていたが、Howard Robertsと交換してES-175を手に入れたようである。70年代後半から2000年代前半にかけてはJohn D'Angelicoの元で修業していたJimmy D'AquistoがHallのために製作した、このD'Aquistoのギターを弾いているが、これがまた渋いけれど艶のある音色でたまらない。さて、59年にVerve RecordsからリリースされたThe Jimmy Giuffre 3の『The Easy Way』に収録されていたJim Hallの曲”Carefull”。64年にリリースされたGary Burtonの『Something's Coming!』でもこの曲を演奏し、自身のアルバム『...Where Would I Be?』や76年11月の来日公演を収録した名盤『Jazz Impressions of Japan』でも披露している他、Michel PetruccianiやVic Juris、Enrico Pieranunziとの共演盤でも演奏している。Hallもお気に入りの曲なんだろう。Jim Hallらしい捻りのきいたMagicalな味わいのある曲である。
◎...Where Would I Be?/Jim Hall
“Carefull”はJim Hallが72年にMilestoneからリリースしたアルバム『...Where Would I Be?』に収録されている。軽快にご機嫌に弾き倒す“Simple Samba”から始まり甘美でRomanticなギターが最高な奥方Jane作のタイトル曲“...Where Would I Be?”や“Goodbye, My Love”、圧巻のギター独奏の“I Should Care”、そしてMilton Nascimentoの“Vera Cruz”までMalcolm CecilのベースとAirto Moreiraのドラムス、曲によってはBenny Aronovのピアノやエレピをまじえた演奏は派手さこそないが中々聴かせてくれる。個人的にはかなりお気に入りの隠れた名盤である。“Carefull”は勿論、Samba風に躍動するもう1曲のJim自作曲“Minotaur”もご機嫌である。
(Hit-C Fiore)