Saecula Saeculorum/Saecula Saeculorum | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Saecula SaeculorumはあのSagrado Coração Da Terraを結成した奇才Marcus Vianaが在籍していたことで知られるBrasilのRock Groupである。つまり、奇跡の音楽集団"Clube da Esquina"を生んだMinas Geraisから登場した連中であり、そうなると俄然興味が湧いてくるのであった。しかし、VianaがSagrado Coração Da Terraを結成前に在籍していたSaecula Saeculorumは残念ながら活動中にアルバムを残すことはなかった。ところが、彼らは76年に音源を残していたのであった。今から約30年近く前に、その未発表音源が世に出た時は驚かされたものだ。既にすっかりMarcus Vianaの才能の虜になっていた自分は問答無用で手に入れることにしたのは言うまでもない。Sonhos & Sonsから96年に約20年の時を経て世に出されたTotal30分にも満たない全5曲のMini Albumともいうべき代物であったが、当時夢中になって聴いたものだった。Marcus VianaがViolinを弾き倒し、Symphonicかつスリリングなキメを盛り込みながら展開されていく世界はItalyのPFM (Premiata Forneria Marconi)を彷彿とさせるProgressiveで深遠なもので、Vianaは勿論、他のメンバーも高い演奏技術を持っているところがBrasilらしい。鍵盤には後にSagrado Coração Da Terraに参加するGiacomo Lombardi、ベースにも後にSagradoに加わる Edson Plá ViegasJuninho、ギターにJosé Audísio (Pardal)、ドラムスにBob Walterというメンツで技巧的で歌心に満ちた演奏を披露している。楽曲的にも、さすがにSagrado Coração Da Terraほどではないが、Qualityの高い曲ばかりで、お蔵入りになったのが信じられないほどの完成度の高さである。彼らはDemo録音を残し、それがWarner Recordsに認められて契約を結んだものの、レコード会社は例によって売れやすくするために曲の長さを短くし、構成もを簡略化するように求めてきたため、バンドはそれを断り解散を決めたという。

 

 『Saecula Saeculorum』はSaecula Saeculorum76年に録音していたアルバム。

アルバム1曲目はタイトル曲“Saecula Saeculorum”。深遠なVocalに続いてViolinを中心とした激カッコイイキメが登場し、神秘的な音世界が繰り広げられていく。厳かにViolinとピアノ、Scale感のあるVocalが鳴り響きピアノのRiffをバックに変幻自在の躍動感に満ちたリズム隊にのってギターが唸りを上げVianaのViolinも応戦する。Vocalは清涼感があり時にClassicalで宗教的な香りも漂わせながら歌心に満ちたものであり、7分越えの大曲を一気に聴かせる。

Acqua Vitae”は幻想的でMinimalなピアノで始まり、これまた緩急自在のリズム隊にのってSymphonicな演奏が繰り広げられていく。Shuffleになったかと思えば、次々にRhythm Changeを繰り返しVianaのViolinもキレキレ

Classicalで優美なピアノで始まるEu Quero Ver O Sol”。一転してPopでノリの良い曲調に変わってVocalが情熱的に歌い上げ、ギターが熱くRockな雰囲気で盛り上げていく。チョイありがちな盛り上げ大会になるけれど、ギターのEmotionalな弾き倒しなど、中々聴かせてくれるナンバー。

Constelação De Aquarius”も技巧的で流麗なピアノで始まり、VianaのViolinも加わり、泣けと言わんばかりの展開になるかと思わせておいてビシバシとスリリングなキメを所々で連発する。特にピアノとViolinのUnisonをベースにテクニカルにキメまくり、途中で典雅なScatを絡めるあたり、たまらないものがある。

アルバム最後をシメるのは“Rádio No Peito”。心地良いギターのカッティングで始まり、めくるめくChorusもバッチリキマッた極上の世界

(Hit-C Fiore)