Rasputin's StashとうFunk BandのDebut Album。怪しさ満点のジャケットから8人組の大型Funk Bandであることはわかるが、Chicago出身とのことで自ずと期待は高まる。メンバーが半減したりバンド名をMinor Changeしたりして70年代に2枚のアルバムを残し、なんと2010年代に入ってからMater Tapeが盗難にあってリリースできなかった幻のアルバムやら未発表音源やらが世に出ている。Samplingネタとしても重宝され、近年再評価も進んだ彼ららしいが、メンバーが半減した74年リリースの2nd Album『Devil Made Me Do It』や発掘音源の『Hidden Stash』のバンド名やジャケットのイメージと反した意外に洗練された、さすがChicago出身のFunk Bandと唸らせる作風とは裏腹に、70年代初頭の混沌とした空気を纏った本作こそ、Rasputin's Stashというバンドの面白さが凝縮されているような気がする。まだ荒削りで、方向性も定まっていないところが、むしろゴツゴツとした手触りのEnergyに満ちた生々しさを感じさせて良い。同時期のFunkadelicやEarth, Wind & Fire、Ohio Playersにも通ずる、さまさまな音楽がごった煮されて、試行錯誤を繰り返しながら新たな独自の個性を持った漆黒のFunkが生まれていくようなワクワク感がたまらない。また、P-Funkに加えてSly & The Family Stoneからの影響も感じられるのも興味深い。鍵盤のVincent Willis(Vince Willis)とPaul Coleman、ギターのMartin Dumas Jrが楽曲を書き、Lead Vocalも担当、ベースとVocalのBruce Butler、ドラムスのFrank Donaldson、TrumpetのWardell Peel、SaxのJames Whitfield、Congas、PercussionのNorval Taylorという8人組。複数のLead Vocalによるかけ合いや、切れ込むHorn隊、Pschychedelicなギター、Afro Funkなハチロクのリズムや心地良く鳴り響くPercussion、混沌としながら得体のしれないどす黒いPowerが沸々と湧いてくるのが面白い。
『Rasputin's Stash』はRasputin's StashがCotillionから71年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目はVince Willis作の“Your Love Is Certified”。音数の多いリズム隊にのってEarthyなギターやSolfulなVocalにHorn隊が絡んでカッコイイ。Lead VocalもVince Willisが担当している。
作者のPaul Colemanが、これまたSoulfulなVocalで魅了する捻りのきいた“I'd Like To Know You Better”。フォービートになった時のSaxソロもイイ感じ。
CosmicなSynthesizerで始まるMartin Dumas Jr作の“What's On Your Mind”。疾走感に満ちたリズム隊に切れ込むHorn隊がカッコイイ。
Vince Willis作のMellowなBallad“Take Me On Back”はHarmonicaがイイ味を出している。
Martin Dumas JrとVince Willis共作の“Mr. Cool”はPsychedelicなギターにHammondがタメのきいたリズム隊にのって激カッコイイ。Bruce Butlerの男くさいVocalも良き。
Martin Dumas Jr作の“You Better Think”はイントロからジャケットのごとく怪しく混沌としたP-Funk的な猥雑さが漂いつつ引き締まったFunkからハチロクのAfro Funkに展開するところがお見事。
心地良く鳴り響くPercussionにのってAcoustic Guitarがイイ感じのCoolなFunk“Freaks Prayer”は作者のMartin Dumas Jrが激渋のVocalを披露。
続いてハチロクAfro FunkなInrerlude“Prelude”。
切れ目なく続く猥雑なFunk“Dookey Shoe”はP-Funk風味。
高揚感に満ちたVince Willis作の“You Are My Flower”。
“I Want To Say You're Welcome”もSlyの影響下にあるVocalの掛け合いがカッコイイFunk。
アルバム最後をシメるのは2分に満たない怪しさ満点の“Epilogue”
(Hit-C Fiore)