Colosseum IIは英国を代表するDrummer Jon HisemanがギタリストGary Mooreを擁し70年代半ばに結成して3枚の公式アルバムを残したJazz Rock Group。HisemanはColosseumという名前を使いたくなかったが、レーベル側の要請があったらしい。個人的にはGary Mooreといえば、このColosseum IIなのである。South-East LondonのWoolwichに生まれたHisemanは、ViolinとPianoを学んだ後、Drummerとしての活動を開始する。Addey and Stanhope Schoolで学んでいたHisemanは、まずClassmateであるピアニストDave Greensladeにベース奏者Tony ReevesとTrioを組み、60年代半ばにはSession活動も開始している。瞬く間に、その腕を買われたHisemanは、Neil Ardleyと共にNew Jazz Orchestraの創設に貢献し、Ginger Baker脱退を受けて66年にGraham Bond Organisationの一員となり、Georgie Fame and the Blue Flamesでも短期間演奏した後にJohn Mayall & the Bluesbreakersに加入する。しかし68年にHisemanはColosseumを結成する為にBluesbreakersを脱退している。同年リリースのJohn Mayall & the Bluesbreakersの名盤『Bare Wires』ではHisemanの演奏が聴くことができる。Colosseumでは盟友Sax奏者Dick Heckstall-Smithと幼馴染のDave Greenslade、Tony Reevesらと結成して何度かのメンバー・チェンジを経て数々の名作を残しながら71年に解散している。HisemanはColosseumでベースを弾いていたMark ClarkeにAllan Holdsworth、Paul Williamsと結成したTempestを経てギタリストGary Mooreの才能に目を付けて結成したのがColosseum IIというわけであるが、さまざまなメンバーが出入りした結果、Hiseman、MooreにベースのNeil Murray、鍵盤のDon Ailey、VocalのMike StarrsというメンツでDebut Album『Strange New Flesh』を76年にリリース、Neil Murray、Mike Starrsが脱退しベースにJohn Moleを迎え、MooreがaVocalを兼任して(1曲のみだが)2nd Albumとなる本作をリリースしている。
『Electric Savage』はColosseum IIが77年にリリースしたアルバム。Produceは前作に引き続きJon Hiseman。当時既にキャリア十分のHisemanがPunkとDiscoが席巻して既存のRockが存在価値を失いかけていた時代に、有能な若手Musicianを集結させて、ジャンルの壁を越えようとした演奏は熱い。時代の波に呑み込まれてしまったが、無視してしまうのはあまりにも惜しい。
アルバム1曲目は“Put It This Way”。勢いのあるMooreのギターが技巧的ながらRockの激情に溢れていて良い。Hisemanもバッチリ叩きまくり。
“All Skin And Bone”はHisemanによるPercussionが鳴らされ、引き締まったドラムスとぶっといベースによる心地良く躍動するリズム隊にMooreのギターが咽び泣く。
“Rivers”はMooreがVocalを披露。蕩けるようなエレピやARP Solinaをバックに雰囲気タップリに歌い上げるVocalは初々しさが結構イイ感じ。そして、お待ちかねの泣きのギター・ソロ。決して我を通して弾きまくるわけでもなく、Ensemble重視。こうやって聴いてみるとMooreはMusicianとして総合力が高い。
“The Scorch”はShuffleのリズムにのってDon AireyのSybthesizer弾き倒し独奏に続いてバンドの演奏は、この時代を感じさせるHardなRock寄りのFusionっぽいノリでイナタくも熱い。
“Lament”は、わりとありがちなギターが唸りを上げるBallad調のインスト曲で、これは少々厳しい感じではある。
“Desperado”はMooreのギター弾き倒しでスリリングに躍動するナンバー。MooreのギターとAireyのエレピのソロの掛け合いもあるが、この辺も、この時代には良くあるパターンではある。それでもMooreの熱く人間味あふれるEmotionalなギターには惹かれるものがある。
Airey単独作の“Am I”。Mysteriousで哀感に満ちたイントロから、Mooreのギターが伸びやかに歌う。
アルバム最後をシメるのもAirey単独作の“Intergalactic Strut”。疾走感に満ちたリズム隊にのってMooreもAiryも圧巻の弾き倒し。
(Hit-C Fiore)