Trying To Live My Life Without You/Otis Clay | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 

 Otis ClayのVocalは、やっぱりいつ聴いても沁みますなあ。70年代のSouthern Soulを語る時に、このジャケットも最高なHi Recordsから72年にリリースされた名作は欠かすことはできない。Gospel仕込みの深みのある塩辛い歌声は、一度聴いたら心をとらえて離さない。熱くてDeepで、Soulful、いわば所謂コテコテなのに、真摯に歌い上げる温もりのある歌声は、決して力技で押し切るだけではない絶妙の表現力も併せ持ち、不思議とスッと入ってきて心地良くさせてくれる。Mississippi州はWaxhawの音楽一家に生まれ、幼少時から教会でGospelを歌ってきたOtis Lee Clayは、10代の時にIndiana州Muncieに引っ越しすると、地元のGospel Group Voices of Hopeに参加して歌うことになるが、Mississippiに戻ってChristian Travelersと歌うようになり、Gospel Singerとしての活動を続けて57年Chicagoに移住し、数々のGospel Vocal Groupで活躍した。62年には初のSoloでのRecordingを行うも未発となり、Gospel Songbirdsに参加した後、Soloで65年にChicagoのLabel One-derfulと契約する。67年に最初のHitとなる“That´s How It Is”をリリースしている。ここでのClayの男くさいDeepな歌いっぷりは圧巻である。続く“A Lasting Love / Got To Find A Way”もBillboard R&B Chartで48位と健闘するも、68年にレコード会社が解散しClayの契約はAltanticに買い取られるのであった。Atlantic傘下のCotillionからMuscle ShoalsのFAME Studiosで録音されたSir Douglas QuintetのCover“She's About A Mover”を68年にリリースしHitさせると、70年にSly JohnsonのProduceで“Hard Working Woman / Pouring Water On A Drowning Man”など素晴らしいSingleをリリース、71年Hi Recordsに移籍する。本作は、Willie MitchellのProduceによる、その移籍第一弾で、ドラムスのHoward Grimes、鍵盤のCharles Hodges、ベースのLeroy Hodges、ギターのMabon "Teenie" HodgesというHi RhythmThe Memphis Hornsによる完璧な演奏とRhodes, Chalmers & RhodesのChorus隊が絶品のバッキングで盛り立てている名盤中の名盤である。

 

Trying To Live My Life Without You』はOtis Clay72年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はタイトル曲“Trying To Live My Life Without You”。イントロのスネアのFillに続き高らかに鳴るHorn隊ClayのVocalが飛び出すと無条件に南部の世界に引き摺りこまれてしまう女性Chorus、Organ、タメのきいたHiのリズム隊をバックに塩辛声でDeepに歌うClayが最高だ。

Don Bryant作の“I Die A Little Each Day”。女性ChorusとStringsをバック深みのある声で直向きに歌い上げる必殺の男泣きSouthern Ballad。剛腕で押すだけではないClayのツボを押さえた細やかな表現力に脱帽。

イントロのStringsはチョイとアレで過剰だが、ClayのVocalが飛び出せば文句なしのMidium“Holding On To A Dying Love”。

再演となった“I Can´t Make It Alone”もチョイStringsが甘すぎるきらいはあるが、Clayの男くさい歌声がたまらない。

上述の“That´s How It Is”はDeepでSoulfulなVocalと演奏が一体となって迫ってくる文句なしに最高のSouthern Soul

I Love You, I Need You”はLaid BackしたタメのきいたHiのリズム隊が絶品で、Clayも独特のSoulfulな引き延ばし唱法で歌い上げる。

You Can´t Keep Running From My Love”もグッと腰を落としたタメにタメたリズム隊にのってClayがFalsettoもまじえて極上のVocalで魅了する。

Jackie Mooreの“Precious Precious”もClayの女性Chorusを従えた男汁あふれる歌いっぷりがお見事。

南部特有の包み込むような温かさに満ちた“Home Is Where The Heart Is”。

アルバム最後をシメるのはFunkyな演奏陣をバックにBluesyにキメるToo Many Hands”。

(Hit-C Fiore)