Pink Fairiesは始末に負えない。何とも憎めない独特の魅力があって、 Ladbroke Groveあたりでラリってぶっ飛んでいた連中がやらかしていた音楽っていうのは無性に聴きたくなることが年に数回はあるのだ。同じLondon西部のUnderground Communityで65年公開のRichard Lester監督の映画『The Knack …and How to Get It』の舞台となったNotting Hillの連中とは似ているようでまたチョッと違った、なんというかアホやってますねん的な脱力感がたまらなく魅力的なのであった。そう、The Deviants、Mick Farren、Pink Fairies周辺の音楽は、この辺が好きな連中にはたまらないものがあるのだ。 Mick FarrenがThe Deviantsを結成して、そこにCanadaはVancouver生まれで英国にやってきたギタリストPaul Rudolphが加わったことによって生まれた、69年にリリースされた『The Deviants』だとか、Twinkの『Think Pink』といった作品は、やっぱり引っ張り出して聴きたくなることがあるのだ。さて、The DeviantsからMick Farrenがいなくなり、残りのメンバーが結成したPink Fairies。活動中に3枚の公式アルバムを残しているわけであるが、以前書いたように3枚とも、それぞれに独自の魅力があって、気に入っているのだが、一般的には以前ご紹介したDebut Album『Never-Neverland』やPaul Rudolphが脱退して後にMotörheadを結成するLarry Wallisがギターを弾いている最終作『Kings of Oblivion』の
評価が高く、間に挟まれて影が薄い本作であるが、個人的には、この脱力感といかがわしさにやられている。Twinkが脱退してTrio編成となって、ベースのRussell Hunter、ドラムスのDuncan SandersonとギターのRudolphを中心とした演奏だが、A面の2曲目と3曲目ではThe MoveのTrevor Burtonがギターを弾いているのも興味深い。
『What A Bunch Of Sweeties』はPink Fairiesが72年にリリースしたアルバム。
アルバムはいきなりオフザケ入った“Prologue”で幕を開ける。しかし天王星って一体何考えているのか?考えてないよな多分。
“Right On Fight On”は例によって脱力し与太りまくったRock&Roll。
“Portobello Shuffle”もよれ気味のご機嫌なBoogie。やる気なさげなChorusや、やたら気合が入ったというか、やけのやけっぱちなギター・ソロがアホっぽくて最高。
“Marilyn”もつっかかるようなRudolphのギターで始まるWildでRoughなノリのロッケンロー。途中の展開がカッコイイ。Russell Hunterの無駄に長いドラム・ソロもあまりにもらしくて、微笑ましい。最後のギターがウネリをを上げるお約束のTempo Upも泣けますなあ。
“The Pigs Of Uranus”はアルバム冒頭のメンバーたちのDialogから繋がってくる天王星の豚。似非CountryなオフザケRock &Roll。歌詞はGilbert Sheltonの漫画『Wonder Warthog vs the Pigs from Uranus』からの引用。
The VenturesのHitで知られるJazz GuitaristのJohnny Smith作“Walk Don't Run”。9分越えの長尺だが荒々しくHeavyなJamっぽい演奏が良い。
“I Went Up, I Went Down”も8分越えの大曲。ゆったりと始まり、徐々に白熱していく演奏が良い。
“X-Ray”は勢いのある演奏で、これはこれでカッコイイ。
アルバム最後をシメるのはBeatlesの“I Saw Her Standing There”のCover。何も難しいことしてないのにカッコイイっすなあ。
(Hit-C Fiore)