SpunkというFunk Band、まったく名前を聞いたことのない得体のしれない存在で、彼らが残した唯一のアルバムという本作、まあ普通の方はこのジャケットで買ってみようという気にはならないに違いない。しかし、この手のエロジャケ、ゲテ物ジャケは、往々にしてFunk系で当たりに出会うケースがありってこともあって、怖いもの見たさ(聴きたさ)で、ついつい手を出してしまうのであった。80年代に設立されたというGold CoastなるChicagoのLabelからリリースされているこの音盤は実はリリースも少量で、80年代Funk系の中ではレア盤として、そこそこ高値で市場に出ていたのであるが、2000年代にめでたくReisueされたのであった。良くも悪くも、80年代らしいB級の香りが漂うイナタさ全開ながらもP-Funkの影響も感じられるツボを押さえたFunkは結構病みつきになってしまう。A面の最初の2曲はまんまBootsyや日本の歌謡曲みたいな曲で、ダメだこりゃ、失敗したと思いきや、なんと実力発揮の3曲目の極上のBalladから持ち直し、漆黒のSlapがビシバシ炸裂、SpacyなSynthesizerがウネり、キレキレのHorn隊が切れ込むFunkから甘美な女性Chorusが極上の味わいを醸し出す最終曲“La Bimini”まで一気に聴かせる。Creditを見てみれば一目瞭然。実はBLTというProducer Unitがその正体。The Fame Gangでベースを弾き、70年代後半にPrelude RecordsでBill BrandonのProduceを手掛けたMulti-InstrumentalistのJesse Boyce、The DellsやAl Wilson、Barry WhiteらのSongwritingで才能を発揮してきたJimmy Levine、そしてなんとCurtis MayfieldのCurtomの作品に携わってきた鍵盤奏者でProducer/Arranger/Composerとしても活躍したRich Tufo、この3人の頭文字をとってBLT。この3人が揃えば、このQualityは当たり前、納得の一枚であった。
『Tighten It Up』は81年にSpunkがリリースしたアルバム。
アルバム1発目は“Get What You Want”。CheapなSynthesizerがいかにも80年代といった感じでRap調のVocalはBootsyの影響下にあるP-Funk印で、女性ChorusやHorn隊も従えてサウンドもそっち方面を狙ってはいるものの、イナタさが半端ない。Boostyのモノ真似は思わず笑ってしまったが、コレはコレでアリだろう。
これまた典型的な80年代のElectro Funk“Hot Flashes”。女性ChorusをFeatureして80年代の日本の歌謡曲に通じるところもあったりするがあ、SapcyなSynthesizerが飛び交ったりして面白い。
ここでチャラいイントロから始まるJesse Boyce単独作の渾身のBallad“Love Looks Good On You”。これは寄り添う女性ChorusをバックにFalsettoもまじえてEmotionalに歌い上げるVocalが素晴らしい出来で、Saxソロも雰囲気タップリ。
Jimmy Levine単独作“Crazy Me”はぶっといベースに小気味よいギターのカッティング、Cameo風のChorusが結構カッコイイFunk。いきなり都会的でCoolな80年代Funkが飛び出すところもB級の味わい。
タイトル曲“Tighten It Up”はCatchyなピアノのイントロから始まり漆黒のベースに、Sharpなギター、NastyなVocalと最高に気持ち良いFunk.。SpacyなSynthesizerやRap調の女性Chors、Jazzyなギター・ソロ、FunkyにウネるSynthesizerソロもバッチリ。
Jimmy Levine単独作“A Friend Ain't A Friend”。Slapビシバシのドス黒ベースとキレキレのHorn隊、華麗なStringsに浮遊感漂うSunthesizerが最高のご機嫌なFunk。
Stevie Wonderへの憧れが感じられるHornのRiffとTromboneソロがご機嫌な重心の低いFunk“Expose Yourself”。
アルバム最後を飾るのは上述の“La Bimini”。ピアノ・ソロも最高に気持ち良い。
(Hit-C Fiore)