Flute Music/James Newton | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 James NewtonことJames Weldon NewtonLos Angeles生まれのFlute奏者/Composerで、70年代にJazzのFieldで活躍し80年代にはECMGramavisionBlue NoteSoul NoteからLeader Albumをリリースしている。幼いころからBluesやGospel、R&BといったAfrican-American Musicを聴いて育ち10代の頃はBass GuitarやAlto Saxophone、Clarinetを演奏して、高校時代にFluteを演奏するようになってClassical Musicの教育もミッチリ受けている。Fluteを演奏するようになったきっかけはEric Dolphyの演奏を聴いてだったというがJazzの学習はBuddy Colletteから受けることとなった。California State University, Los Angelesでガッツリ学んで、70年代初頭にはDavid MurrayBobby BradfordArthur Blytheらと演奏するようになり、Drummer Stanley CrouchのGroup Black Music Infinityのメンバーとなった。Sax奏者David MurrayとJames Newton  & David Murray名義で77年に『Solomon's Sons (Live In Duos And Solos)』をリリースしている。また同年、Sam Rivers Tuba Trioと『Flutes!』をリリースしている。本作はGuitarにはなんと、唯一のアルバム『Brotherhood』で知られるFunk Band BrotherhoodLes Coulterが参加しているのが興味深い。TromboneにDon EllisとやっていたGlen Ferris、ドラムスにはTylon Barea、Art Valdez、ピアノにはTrumpet奏者Baikida CarrollのSolidarity Unit, Inc. のメンバーClovis Bordeaux、ベースにEd Brookshireというメンツ。Jazzのみならず民族音楽やClassical Musicの要素も散りばめられ、メンバーの知名度こそ高くないもののExperimentalでQualityの高い演奏が繰り広げられている。B面すべてを使った組曲ではかなりFree寄りとはいえ、日本の陰旋法を用いた音楽との共通点も感じ取ることができる。

 

 『Flute Music』はJames Newton77年に自身で設立したLabel Flute Music Productionsからリリースしたアルバム。

アルバムは2つのPartから成る組曲Arkansas Suite”からスタートする。まずは何重にも多重録音されたFluteが、まるで生き物の声のように生命の息吹を伝えるBennie”に驚かされる。続くPartは“Solomon's Sons”。ClassicalなHarpsichordの響きにのって典雅なFluteが、まるで天上の響きのように奏でられる。少々謎めいていながらも生命感に満ち溢れた、まるで今ここに生きていることを厳かに祝すような音楽がそこにある。

力強いPercussionの響きで始まるギターのLes Coulter作“Skye”はFluteの多重演奏が醸し出す幻想的な雰囲気に包まれていく。Les Coulterが爪弾くギターがFluteと織り成すEnsembleが極上の調べで、心が洗われていくようだ。Les Coulterのギター・ソロ硬質のLyricismに満ちて素晴らしい。

続いてもLes Coulter作の“Darlene's Bossa”はFluteが軽やかに舞うタイトルのごとく愛らしく心地良いBossaであるが浮遊感に満ち甘さに流されることがない

Duke Ellingtonの“Sophisticated Lady”。Fluteの独奏でMelodyを歌い上げる様は生真面目で端整ではあるが一歩間違えば、道を踏み外してしまうか的なFreeの要素も所々に感じさせる。

B面すべてを使ったピアノの作の組曲“Poor Theron”は2つのPartから成る。

Introduction & Call”はPercussionから始まりPrimitiveで、殆どFreeな演奏。

Main Theme”では日本的な音階も飛び出し、Free寄りではあるがClovis Bordeauxのピアノが縦横無尽に弾き倒してFluteとの掛け合いも面白い。

(Hit-C Fiore)