Al CaseyのGuitarは一度ハマってしまうと抜け出せなくなるほど中毒性の高い味わいがある。それもスルメ味で、Jazzが好きでBluesもイケるクチだという方なら、一度Caseyのギターを聴いてみて欲しい。決して派手な技巧的にも驚かせるタイプのギタリストではないけれど、歌心に溢れ、イナタく漆黒のBlues魂が感じられるギターは朴訥とした語り口ながら、時に何とも言えないPathosとNostalgyを思い起こさせ胸に迫ってくるのである。Kentucky州はLouisville生まれのAl Caseyは、最初Violinを弾いていたけれど、Ukuleleに転向し神童と呼ばれていたという。New York CityのBronxにあるDeWitt Clinton High SchoolでGuitarを学び、33年にFats Wallerに出会うと、翌年には18歳でWallerのバンドのメンバーになっていたというから驚きだ。数多くのRecordingをWallerのバンドで経験し、Wallerがこの世を去るまでに100曲以上の録音を残しているという。Count Basieの楽団やKansas City Five、Lester Youngを加えたKansas City Sixで活躍し、Jazzにおいて世界で最初にElectric Guitarでソロを弾き録音したと言われているEddie Durhamの影響を受けたというCaseyであるが、30年代初頭のWallerのバンド時代に名をあげたといわれるわりにソロを弾いていない。やがて、自身のTrioも率いるようになると、Swing Styleの泥臭かったCaseyのプレイは変化する。Charlie Christianが登場して、影響を受けたのか、40年代には、それまであまり弾いていなかったソロも弾くようになり、50年代後半にはKing Curtisのバンドにも加入している。この頃からBluesyで黒い独特の味わいが増してくるようになる。60年にSwingvilleから『Buck Jumpin'』、Moodsvilleから『The Al Casey Quartet』と立て続けにLeader Albumをリリースするも、Caseyはなぜか突然音楽活動から離れてしまうのだった。本作は復帰したCaseyが大好きなFranceのLabel Black And Blueに録音したご機嫌なアルバムに仕上がっている。
『Jumpin`With Al』はAl Caseyが74年にリリースしたアルバム。業界から足を洗ったもののHelen HumesとJay McShannのアルバム制作のために70年代にCaseyは復活する。本作はピアノにJay Mac ShannとMilt Buckner、ベースにRoland Lobligeois、ドラムスにはMichael Silva、Paul Gunther、Tenor Saxに Arnett Cobb、そしてなんとTap DanceにDuke EllingtonやCount BasieyとやっていたJimmy Slydeが2曲で参加して盛り上げている。Al CaseyはAcoustic Guitarでいぶし銀のEarthyで黒々としたフレーズを聴かせてくれている。この時、Caseyは50歳半ばで、このキレの良さ。
アルバム1曲目はEarl Hinesの“Rosetta”。CaseyはScatもまじえながらSwingyに上機嫌で弾いている。
Roland Lobligeoisのベースで始まるStandard“Willow Weep For Me”。これまたご機嫌に歌いまくるSharpなギターを聴かせてくれる。
CaseyとJay Mac Shann共作の“One Woman's Man”。これですなあ、コテコテのBlues Feelingがたまらないっす。
『The Al Casey Quartet』でも演奏していたDuke Ellingtonの“I'm Beginning To See The Light”。バネもあってコクもある演奏が最高。
Lester Youngの名演でも知られる29年公開のMusical『Marianne』で使われた“Just You, Just Me”。Tap Danceも加わり、高揚感に満ちた演奏が最高。しかし歌いまくってますなあ。
Casey自作曲“If You Ain't K”。ご機嫌にScatしながらSwingyにBluesyなギター・フレーズをキメている。
アルバム最後をシメるのは45年公開の映画『Diamond Horseshoe』に使われた“I Wish I Knew”。ColtraneやBill Evansの名演で知られるこのStandardを小粋に陽気にキメている。Tap Danceもイイ感じ。
(Hit-C Fiore)