Brown's Home Brewに出会ったのは英国の名門Label Vertigoからリリースされている音盤をいろいろ漁りまくっていた頃。69年にPhilips/Phonogram傘下にDeram(Decca)やHarvestに対抗して立ち上げられた、このLabelからは創造性に富み、ExperimentalでProgressiveな香りに満ちた名盤がリリースされていて、自分はすっかり夢中になってしまっていたのだった。ジャケットも自分好みのご機嫌な音盤も多く、それを見ているだけでいろいろと想像を掻き立てられたのを憶えている。そして、この盤に出会ってしまったのである。まずジャケットからして、全然このLabelらしくないわけなんだけど、何を間違ってしまったのか値段も安かったこともあって、このアルバムを手に入れたのであった。そして全く期待せずに針を落としてみたところ、意外に面白く聴けたし、何回か繰り返して聴くうちに、すっかりBrown's Home Brewというバンドのこの2nd Albumにハマってしまったのであった。所謂激渋のBritish Swampともいえる、この作品、ツボであったのだ。当時の自分はJazzやSoul、Funkなど黒人音楽に興味が移っていた頃で、英国の音楽でも、それらの影響下にあったもの、そして徐々に米国南部の土くさい、BluesやSoul、GospelにCountryやFolkの要素を取り入れた音楽に興味を持つようになっていたのだった。Brown's Home Brewは70年代初頭にLincolnshire州はSwarby出身のギタリスト/Singer-SongwriterのJoe Brownと、そのPartnerとなるThe Vernons GirlsのVicki Brownを中心に結成された6人組のバンドでDebut Album『Brown's Home Brew』をBell Recordsから72年にリリースしている。本作は、そこから、さらにSwampの香りを高め、前作のFolkyな部分も受け継いでジャケットのようなイイ感じの作品に仕上がっている。BrownのFiddleやMandolinや名手Roger McKewのSteel Guitar、Banjoが英国の中の亜米利加的な気分を高めてくれていいる。
『Together』はBrown's Home Brew Togetherが74年にリリースしたアルバム。Joe BrownとVivki以外のメンバーはギターにJackson Heightsのアルバムに参加していたRoger McKew、ベースにJoe Fagin、鍵盤にTony Williams、ドラムスにDavid Hynes、ProduceはBlue MinkのRoger Cook。
アルバム1曲目“Build A Wall”はチョッと謎めいたイントロからVicki Brownの可憐なVocalとSteelGuitarが飛び出してくるところがご機嫌である。
“Birmingham”はタメのきいた重たいリズム隊に激渋Vocalが良し。
MandlinやBanjoの響きとVickiのCuteな歌声に楽し気なChorusが英国の中の亜米利加の“Cincinatti Floor”。
“I Know For Sure”は粘り気のあるSwampなリズム隊にのってVickiが情感たっぷりに歌い上げるBallad。鍵盤のWilliams単独作。
“The Fisherman”は英国情緒漂う部分とSwampyなリズム隊がイイ塩梅に噛み合ったナンバー。後半のSwampな盛り上がりが最高。
“Papal Rock”はCountry Rockな楽し気なインスト曲。
“I Was Lost”はピアノ弾き語り風のBallad。ここぞのギター・ソロも良し。これは沁みますなあ。鍵盤のWilliams単独作。
イントロのFunkyなギターのRiffが気持ち良い“Muskrat Momma Rose”。こちらもリズム隊が重く粘り気がある。
ギターのArpeggioにGentleなVocalやChorusが心地良い“Every Time You Win One”。
アルバム最後をシメるのは、これぞ英国の中の亜米利加なBallad“My Good Friend Noah”。
(Hit-C Fiore)