O Mistério Dos Quintaiは70年代後半~80年代に突如登場したBrasilのPsychedelic Folk Duo。本日ご紹介するのは、彼らが残した唯一のアルバム。CreditにはDimitri ArboとNegendre Arboの2名となっているのだが、2人は兄弟だと思われる。70年代後半にBrasilの最南端に位置するRio Grande do Sul州で起こったHippie Folk MovementからGrupo Terra VivaやOs Tapesといった連中が世に出ることになったが、O Mistério Dos Quintaiもまた、その中から生まれ、彼ら同様に神秘的で生命感に満ち溢れた独自の世界を築きあげているようだ。彼らの作品が世に出たのは80年代に入ってからだったけれど、Acoustic Guitarの弾き語りを軸にFluteやSax、Banjo、OcarinaやRecorderが加わって生み出されていく、おいおい時代を間違えたんじゃないかと思われるPsychedelicでMedievalな世界は個性的である。ところが、当時、Bobby SomというLabelからリリースされた彼らのRecordは回転数が間違ってMasterよりピッチが高い状態で販売されてしまったらしいのだ。それは再プレスされることもなく、本来の録音とは異なった回転数の音盤だけが世に出回ってしまったという事実は、O Mistério Dos Quintaisにとって、とんでもない悲劇であったことだろう。当時、彼らはそれを受け入れざるを得なかったという。いずれにしても、なんとかCrowdfundingによって制作までこぎつけた彼ら唯一のアルバムが40年近く経過した2022年に、ようやく本来の回転数でプレスされることになったのは喜ばしいことであった。正確な音程で聴くO Mistério Dos Quintaisが残した作品が、正当に評価され、上述のように、時代錯誤ともいえるPsyhedelicで謎めいた中々の力作として、ようやく知れ渡ることになった。Arbo兄弟はEffect処理されたFolkyな弾き語りを中心としつつ、JazzやClassicalな要素も見え隠れし、Acoustic Guitarのみならず、SaxやFlute、Micro-Harpも演奏している。
『O Mistério Dos Quintai』はO Mistério Dos Quintaisが83年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“As Alamedas”。哀感を湛えたAcoustic Guitarの弾き語りはAndesのFolcloreの香りを漂わせつつ、どこか神秘的な雰囲気が只モノではない感じ。
“Jornada”はイントロの技巧的なAcoustic Gutarにまず耳を奪われるが、Vocalが登場すると、やはり南米の密林の中に迷い込んでしまったかのような感覚に陥る。そしてRecoderが鳴り響くと再びAndesのFolcloreの風が吹く。
PrimitiveなPercussionから始まる“Drakkars”。Pan Fluteの響きがSouth Americaらしい雰囲気を漂わせるとSynthesizerやMedievalかつSpiritualな男性Vocalが登場し、やがて心地良い迷宮の中に放り込まれてしまう。
清々しいイントロから始まる“Liverpool”は2人の哀感に満ちたVocalが登場しSaxも鳴り響くと南米らしい情熱的で甘美な世界が拡がっていく。
“Gotas De Seresta”はClassicalなAcoustic Guitarの調べがイイ感じ。
汽笛の音から始まる“Viver”は、どこか郷愁を誘われる、それでいてVividなAcoustic Guitarの技巧にしばし聴き入ってしまう。
“O Último Cigano”は生命感に満ちた力強いVocalとアコギのカッティングが良い。バックのStringsも雰囲気が出ている。
“Jardim Das Delícias”はFluteとSax、Acoustic Guitarの絡みが神秘の扉を開き、飛び交うScatと躍動するギターが摩訶不思議な風景を描き出す。アルバムで一番のお気に入り。
哀感溢れる南米詩情に満ちた“Balada Da Ausência”。
アルバム最後をシメるのは鳥のさえずりで始まる典雅なアコギをバックにしたPoetry ReadingからFluteが舞う“O Mistério Dos Quintais”。
(Hit-C Fiore)