Spectrum Part One/Spectrum | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 SpectrumAustraliaMelbourneで60年代末にNew Zealandの Christchurch出身のギタリストMike Ruddを中心に結成されたRock Group。殆どの楽曲を手掛けるRuddにOrganとOianoを演奏するLee Neale、ベースのBill Putt、ドラムスのMark KennedyというメンツでPink FloydやTraffic、Soft Machineあたりの英国のRock BandをCoverしていたという彼らであるが、殆どLeslie Speaker Cabinetを使わないNealeのHammondとRuddの独特のFinger-Picking Guitarを中心に彼ら独自のStyleを追求していった。4人編成で、メンバーの安定した演奏技術は勿論、楽曲作りにおいても時代柄、Psychedelicの残り香実験的でありながらVocalは親しみやすさを持ったMelodyを歌う、そうなのだ、Spectrumの作品を聴いていると、初期Soft MachineやEgg、Caravanといった辺りを引き合いに出されるのもわからないではない。彼らほどの独創性や高い演奏技術こそ持ち合わせてはいないものの、時代を考慮に入れれば、中々頑張っているのではないだろうか。Originalの楽曲にも磨きをかけて徐々に人気を集めて、AustraliaのHarvestと契約して71年にDebut Albumとなる本作をリリースしている。彼らがCanterbury的な味わいを持っているのは、その風変わりで実験的なサウンドにチョイと力を抜いたVocalがイイ塩梅で独特の雰囲気を醸し出しているところ。英国の音楽の影響を強く受けながらも、PsychedelicでMysteriousな趣きの中にどこか朴訥としていているところがAussieらしい魅力を放っている。同年に2nd Albumとなる2枚組の力作Milesago』をリリースしている。またSide ProjectIndelible Murtceps名義で活動し73年にアルバム『Warts Up Your Nose』をリリースしている。Spectrum解散後にRuddとPuttはArielを結成する。

 

 『Spectrum Part One』はSpectrumが71年Harvestからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Make Your Stash”。不穏な響きのHammondとギターが唸りを上げるExperimentalなイントロから始まり、静かで落ち着いた演奏にのって優美なMelodyをギターが奏でるとマッタリ歌い上げるVocalが始まる。バックのHammondの響きがイイ感じ。するとギターとHammondのかけ合いからAggressiveなHammondソロが混沌へと誘う。

一転して初期CaravanのようなPastralLyricalな香りを放つ“Fiddling Fool”が始まる。ギターのカッティングやHammondソロが心地良い。バックのドラミングも効果を上げている。朴訥としたサウンドとVocalから一転して幻想的に展開していくところもイイ感じ。Hammondソロが延々と続く10分越えの大曲だが、不思議と飽きさせない独特の味わい深さがある。

ギターの抒情的なArpeggio哀感を湛えた泣きのVocalと共にどんよりとした薄暗い世界へ誘い込む“Super Body”。ところがHammondが摩訶不思議な浮遊感に満ちた空気を混入して、幻想の世界への旅が始まる。Ruddが吹く素朴で夢見心地のRecorderが効果的だ。

イントロのギターのカッティングHammondベースが絡むところが鳥肌モノにカッコイイDrifting”。躍動するリズム隊にのったFunkyなHammondがご機嫌である。

アルバム最後をシメるのはユッタリした懐の深いリズム隊にのってVocalが淡々と歌い上げていくMumbles I Wonder Why”。Procol Harum的な雰囲気も感じさせるが、ここでもHammondをバックにRecorderがイイ味を出している。

(Hit-C Fiore)